失敗談その1
私は大酒飲みである。
酒の失敗談は、まぁそれなりにある。
あるときは記憶のないまま電車に乗り、終電で乗り過ごした。
まだ20代前半のうら若き乙女である。
駅員さんに保護され、警察のお世話になった。
知人曰く、おっさんの場合、朝まで留置場で過ごし、朝ごはんをご馳走になって解放されるらしいが、そこは乙女。
しっかり実家に連絡が入り、帰りたくないと駄々をこね、ひっぱたかれて強制送還されたようだ。
全く記憶にないが、警察官の足にとりすがって帰りたくないと泣きわめいたのは覚えている。
病んでいる。
痛い。
つい最近もあった。
古い友人のご実家にお呼ばれしたときのこと。
ワイン一本と焼酎の五合瓶を開けたところまでは覚えている。
その後は、友人、友人の母上の証言から推察するしかない。
まず、こたつで一眠り。
それからどうも風呂を勝手に拝借したらしい。
風呂場で一暴れしたようで、朝母上が風呂場を覗いて悲鳴をあげたそうだ。
タオルを乗せていた棚の天板がはずれ、タオル、散乱。
洗面台の隅には使用済みのナプキンが張り付いていた。
ついでに母上のレギンスが行方不明になっていた。
翌朝、何がなんだかわからないがとにかく平謝りである。
レギンスは何故か私が履いていた。
寒かったんだろう。
いや、寒かったからといって人様の下着を無断借用するのも大概ではあるのだが、そう解釈するしかない。
風呂場で転倒したとき一瞬意識がもどったのだが、後で確認したところ、このときパンツを前後逆に身に付け、転けた拍子に爪を折り、舌を噛んで口内炎を作ったようだ。
女捨てすぎである。
と言うより、34歳の大人として、やっていいことと悪いことがある。
反省の渦である。
幸い、友人家族はとても温かく、私の数々の失態は伝説となって笑っていただけたようで、またおいで、と言っていただけたが、下手こけば出禁である。
ちなみにこれを書いている今もウィスキーを飲んでいる。
家で飲んでいるときの私は泣き上戸である。
箸が転んでも悲しい。
友人を電話でたたき起こし、延々と泣く。
私が友人ならとっくに縁を切っている。
鬱陶しい。
お陰さまで友人と呼べる人は大分少なくなってしまった。
そういう付き合いしかできなかった私の責任ではあるが、まぁ淋しいもんである。
そのうち肝臓いわしてぶっ倒れれば、酒を辞めるきっかけになるかもしれない。
まぁそれでも飲み続ける可能性のが高いが。
余談だが、カミングアウトしてしまうと、私は躁鬱病だ。
もうかれこれ10年ほどになる。
薬も飲んでいて、酒を飲むと体に負担になるだけでなく、薬の副作用が強く出るので、まぁ酒はご法度である。
だから主治医には勿論内緒である。
酒飲みとはこんなもんである。
さて、本腰入れて飲むか。