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Parallel Frontier  作者: 双晴 捺鬼(ふたば なつき)
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第8章 樹海の守護者

鍵の宝石が指し示す方向は、西南西——静岡県方面だった。グループは仮想の交通手段を駆使し、富士山麓へ向かった。富士山の姿が見えてきた時、誰もが息を呑んだ。山頂を貫くように、銀色に輝く巨大な塔がそびえ立っていた。塔は雲を突き抜け、頂上は光を放ち、底は富士の火口に沈んでいる。マップに表示された名前は——終焉の銀時塔 (しゅうえんのぎんじとう / Argent Chrono-Tower of Apocalypse)50フロア構成の未来の塔。時間、選択、運命を試す塔。しかし、塔へ向かう道は青木ヶ原樹海。仮想とはいえ、迷路のような森はプレイヤーを惑わせる。グループは樹海に入った瞬間、方向感覚を失った。鍵の宝石は輝いているが、道がわからない。木々が密集し、霧が立ち込め、コンパスも狂う。数時間彷徨った末、開けた場所に出た。そこに、一人のプレイヤーが立っていた。黒いマントに銀の仮面、腰に長い剣。アバター名は表示されない。「迷ってるようだな。塔へ行きたいのか?」声は低く、落ち着いている。兄鬼が前に出た。「ああ。お前は?」男は仮面の下で笑った気配がした。「道案内してやるよ。ついてこい」グループは警戒しつつも、他に選択肢がなく従った。しかし、数百メートル進んだ瞬間——男の体が歪み、兄鬼の周囲に転送陣が展開。兄鬼が刀を抜こうとしたが、遅い。光が爆発し、兄鬼の姿が消えた。「兄鬼!!」千歳が叫び、駆け寄るが、転送の残光だけが残る。男——いや、NPCは仮面を外した。顔は兄鬼に酷似しているが、目が冷たい。「ゼロ・リセットの用意した、囮だ。お前たちの兄は、すでに我々の手に」声は機械的。グループが攻撃を試みるが、NPCは光に包まれ消えた。千歳は膝をつき、震えた。「……兄鬼が……さらわれた……私のせい……?」クローネが千歳の肩を抱き、ルミナが静かに言った。「違うわ。敵の罠よ」ガントが拳を握りしめた。「救い出すぞ。絶対に」千歳は涙を拭き、立ち上がった。「……うん。兄鬼を、救わなきゃ」その時、樹海が震えた。木々が割れ、巨大な影が現れる。樹海の守護者 — Verdant Titan Guardian (ヴァーダント・タイタン・ガーディアン / 翠嵐の巨兵)高さ40〜50メートルを超える、緑の樹皮と苔に覆われた巨人のような兵士型モンスター。両手に巨大な樹木の斧を持ち、背中から蔓が鞭のように伸びる。咆哮一つで地震を起こし、グループを吹き飛ばす。戦闘開始。兄鬼がいない分、連携が乱れる。ガントが盾で斧を受け止め、クローネの氷魔法で足を凍らせようとするが、すぐに溶かされる。ルミナの重力砲弾は軌道を曲げられ、千歳の双桜滅鬼斬も樹皮の装甲で弾かれる。巨兵の斧が地面を割り、蔓がグループを絡め取ろうとする。クローネが氷の壁を張るが、斧の一撃で砕かれる。千歳は極鬼装を発動し、紅蓮の甲冑で突進。しかし、巨体に弾き飛ばされ、木に叩きつけられる。攻防が続く。巨兵の蔓がガントを絡め、投げ飛ばす。ルミナがオーバーチャージの重力砲で装甲を削るが、再生される。千歳は兄鬼のことを思い、悔しさと決意が爆発。——兄鬼を救うまで、絶対に死ねない!その想いが、システムに届いた。千歳の体が光に包まれ、空間が歪む。全プレイヤーの視界にシステム通知。【サポートビーストアビリティ アクティベート:『天空の覇者 (てんくうのはしゃ / Sky Sovereign)』

獲得者:捺鬼】【システムコール:未実装プログラム解放。バランス調整外アビリティ検出】【システム一部アクティベート確認。異常なし】巨大な青い隼のサポートビーストが実体化。体長20メートルを超える、鋭い眼光の隼型ビースト。隼が巨兵に襲いかかり、爪と嘴で装甲を切り裂く。隼がバトロイド形態へ変形。人型ロボットのような形態、胸に隼の顔。千歳が融合合体。融合体の姿が完成した瞬間、千歳は叫んだ。「ファルコリア!!」ファルコリアが、青い光を纏って立ち上がる。融合した状態で攻防が続く。巨兵の斧が振り下ろされ、ファルコリアが高速で回避。蔓が絡みつくが、隼の翼で切り払う。しかし、巨兵の再生力とパワーで押し込まれ、ファルコリアの装甲にひびが入る。ここでガントが立ち上がり、重槍を構えた。「今だ! 隙を作る!」槍先が変形し、花開くように開口。エネルギーが溜まり始める。「鉄壁穿滅砲!!」青白いビームが巨兵の胸を貫き、動きを一瞬止める。隙が生まれた。チェインアビリティが発動。ガントの鉄壁穿滅砲の隙に、千歳が繋いだ。「バーストロック!!」隼の翼が広がり、空間を固定。巨兵の体が動けなくなる。ファルコリアの胸の隼の顔が前を向き、嘴が開く。青い光が集まり、チャージ。「ファルコンバスター!!」嘴から放たれた青いビームが、巨兵を直撃。塵一つ残さず、焼き尽くす強力な砲撃。Verdant Titan Guardianが消滅。【Verdant Titan Guardian 討伐】融合が解け、千歳は着地。隼型ビーストが小さくなり、お守り型のデータに変換。千歳の腰に、青い隼のペンダントが括りつけられた。千歳はそれを優しく触り、名前を呟いた。「……君の名前は、『蒼隼 (そうじゅん)』」夕方になり、樹海の開けた場所でグループはキャンプを張った。焚き火を囲み、簡易テントを設営。兄鬼の不在が重くのしかかるが、みんなは千歳を励ました。クローネが静かに。「あなたの兄さんは、必ず救い出せます」ルミナが穏やかに。「新しい力も手に入ったわ。希望はある」ガントが拳を握り。「明日から、敵の本拠を探すぞ」千歳は焚き火を見つめ、頷いた。「……うん。兄鬼を、絶対に取り戻す」樹海の夜空の下、星が瞬く。グループは休息を取り、明日の戦いに備えた。兄鬼の行方、そして残り二つの塔。戦いは、まだ続く。



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