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Parallel Frontier  作者: 双晴 捺鬼(ふたば なつき)
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第7章 不滅の紅蓮塔 (ふめつのぐれんとう / Crimson Pagoda of Indomitable Will)

鍵の宝石が指し示す方向は、予想外に南西——九州方面だった。グループは仮想の新幹線や飛行アイテムを使い、仮想東京から九州へ移動した。阿蘇山の広大なカルデラ地帯に到着した時、鍵の宝石が激しく輝き始めた。大地が震え、阿蘇山の火口付近から、紅く燃える五重塔が突如として現れた。塔は炎に包まれ、周囲の空気が歪むほどの熱波を放っている。マップに表示された名前は——不滅の紅蓮塔 (ふめつのぐれんとう / Crimson Pagoda of Indomitable Will)50フロア構成の気力の塔。精神力、忍耐力、意志の強さを極限まで試す塔。炎と痛み、絶望がプレイヤーを襲う。兄鬼が静かに言った。「ここが三つ目か……熱いな」千歳は兄鬼を見て、鬼面を被り直した。「兄鬼、今度も一緒に」ガントが巨盾を掲げ、クローネが杖を握り、ルミナがガンを確認する。鍵の宝石は、まだ輝きを弱めていない。残り二つの塔が、どこかで待っている。紅蓮塔の入口が、炎を切り裂いて開いた。グループは一息つき、塔へ踏み入った。内部は灼熱の地獄だった。各フロアは炎の海、痛みの幻覚、恐怖の幻影が襲いかかる。精神攻撃が強く、HPだけでなくSAN値のような精神ゲージも削られる。特定のフロアでは、過去のトラウマを再現するモンスターが出現。グループは互いに声をかけ合い、支え合いながら進んだ。特に20フロア目は、プレイヤーの「後悔」を具現化した鏡の部屋。千歳は現実の自分——幼い見た目で孤立した大学生活——を映す鏡に苦しめられた。兄鬼は過去の失敗を、ガントは守れなかった仲間を。それでも、みんなで乗り越えた。そして、50フロア——最上階。灼熱の炎の玉座のような空間。中央に立つのは、塔の最終守護者。Inferno Behemoth (インフェルノ・ベヒーモス / 煉獄の巨獣)巨大な四足の獣型モンスター。体は溶岩のような紅い装甲で覆われ、分厚い皮膚はどんな攻撃も弾く。咆哮一つで炎の津波が襲い、グループのHPを一気に削る。戦闘開始。兄鬼の蒼穹絶影斬が装甲を削るが、すぐに再生。クローネの氷魔法は蒸発し、ルミナの重力砲弾は装甲で受け止められる。ガントがTauntで引きつけ、重槍で貫こうとするが——『絶鉄の穿孔』すら、装甲を貫けない。槍先が弾かれ、ガントが吹き飛ばされる。みんなの攻撃が通じず、グループは追い詰められた。千歳は二刀を握りしめ、前に出た。鬼装を解放し、紅蓮の甲冑を纏う。しかし、Inferno Behemothの炎が鬼装の炎すら上回り、甲冑が溶け始める。時間切れで解除され、千歳は膝をついた。自分の力のなさに、悔しさが込み上げる。——なんで……!なんで、私じゃダメなの……!みんなを守れない……!兄鬼が新しいアビリティを手に入れたのに、私じゃ……!悔しさは怒りに変わり、胸の奥で紅い炎が燃え上がる。千歳は立ち上がり、二本の刀を抜いた。瞳が鬼面の下で輝き、桜の花びらが炎とともに渦巻く。——もっと強く!この装甲すら、真っ二つに!怒りと意志が爆発。千歳は二本の刀を舞うように振り回し始めた。空間が歪み、紅い鬼の紋様が浮かび上がる。「——極鬼装、発動!!」次の瞬間、通常の鬼装をさらに超えた、真っ赤に燃えたぎる極限の紅蓮甲冑が体を包んだ。通常鬼装の10倍の速さと力が流れ込み、視界が完全に紅に染まる。持続時間はわずか3分——だが、その短時間で圧倒的な破壊力を発揮する究極形態。極鬼装の二刀が、Inferno Behemothの装甲を真っ二つに斬り裂いた。「——『双桜滅鬼斬 (そうおうめっきざん / Twin Sakura Annihilation Slash)』!!」桜の炎が爆発的に広がり、巨獣の体を両断。Inferno Behemothが最後の咆哮を上げ、崩れ落ちた。全プレイヤーの視界に、システム通知が響いた。【オリジナルクリエイティブアビリティ獲得:『双桜滅鬼斬 (そうおうめっきざん / Twin Sakura Annihilation Slash)』

獲得者:捺鬼】【Inferno Behemoth 討伐】【不滅の紅蓮塔 踏破】グループが呆然とする。兄鬼が最初に声を上げた。「……捺鬼、お前も……!?」クローネが目を丸くした。「兄に続いて妹まで……オリジナルクリエイティブアビリティが二つも……!」ルミナが珍しく興奮した声で。「伝説が連続で……! もしかして、私たちにもチャンスがあるのかしら?」ガントが笑みを浮かべ、拳を握った。「希望が……見えてきたぜ」千歳は息を荒げ、刀を下ろした。極鬼装の反動で体が震えるが、満足げに笑った。「……私も、できた……」兄鬼が千歳の肩を抱き、笑った。「すげえよ、捺鬼。お前、強くなったな」みんなの目に、希望の光が灯った。兄に続き妹が伝説のアビリティを手に入れた。もしかしたら、自分たちにも——光の柱から、新たな鍵が現れ——ラストアタックを決めた千歳の手に渡った。宝石が、次の方向を指し示す。塔が揺れ始め、グループは光に包まれて地上へ転移された。不滅の紅蓮塔が炎とともに消えていく。千歳の手にある鍵の宝石が、次の方向を指し示す。残り二つの塔。伝説のアビリティを二つ手にした兄妹と、希望を抱く仲間たち。戦いは、まだ終わらない。



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