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Parallel Frontier  作者: 双晴 捺鬼(ふたば なつき)
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第5章 絶技の蒼穹塔 (ぜつぎのそうきゅうとう / Azure Spire of Absolute Mastery

深智の黒曜塔の最上階、光の柱がグループを優しく包み込んだ。視界が白く染まり、体が浮かぶ感覚。次の瞬間、みんなは東京湾の海岸——お台場の砂浜に立っていた。背後では、黒曜塔がゆっくりと海面に沈んでいく。黒い塔体が波に飲まれ、泡を立てながら完全に消えるまで、数分かかった。誰も言葉を発しない。千歳が兄鬼の袖を掴んだ。「兄鬼……塔が……」兄鬼は頷き、周囲を見回した。グループのメンバーも同様に、沈む塔を呆然と見つめている。ガントが、巨い手をゆっくり開いた。掌に、一本の古びた銀の鍵が握られていた。表面に複雑な刻印が施され、中心に小さな宝石が埋め込まれている。宝石は微かに光り、まるで方位磁石のようにゆっくりと回転を始め、ある方向を指し示した。ルミナが静かに近づき、鍵を覗き込んだ。「……これが、報酬?」クローネが杖を下ろし、呟いた。「オリジナルアビリティの代わりに、ゼロ・リセットが言っていた『解放プログラム』……ではないわね」兄鬼が鍵をガントから受け取り、みんなに見せた。「見てみろ。この宝石、一定の方向を指してる」千歳が目を輝かせた。「次の塔の場所を示してるのかも!」グループの生存者たちがざわついた。「つまり、この鍵で次の塔が見つかるってことか」「最後の神座エテルノヴァの解除キーだろ、これ」「いや、まずは次の塔だ。五つ全部踏破しないと意味ない」ガントが重い声で言った。「……俺の手に出現した理由はわからんが、これが道標なら、従うしかねえな」鍵の宝石が指す方向は、西北西——仮想東京の内陸部、渋谷や新宿を越えた先。山手線の外側、仮想の住宅地と森が混在するエリア。誰も知らない場所に、次の塔が待っているはずだ。千歳は兄鬼を見て、決意を込めて頷いた。「兄鬼、次行こう」兄鬼も刀を構え直し、グループに声を掛けた。「休憩は終わりだ。鍵の示す方向へ向かうぞ」ルミナとクローネ、ガント、そして他の生存者たちも武器を握り直した。深智の黒曜塔は沈み、最初の試練は終わった。だが、手にした鍵が示す先——二つ目の塔が、静かに待っている。鍵の宝石が指す方向へ、グループは仮想東京の街を進んだ。渋谷を抜け、新宿の高層ビル群を越え、さらに西へ。住宅地が途切れ、仮想の森と丘陵地帯に入る。そして、鍵の宝石が激しく輝き始めた地点——突然、空が裂けた。雲が渦巻き、青く輝く超高層の塔が現れた。塔は空を突き、底は地面に固定されず、浮遊している。周囲に風のバリアが張られ、近づくだけで体が弾かれる。マップに表示された名前は——絶技の蒼穹塔 (ぜつぎのそうきゅうとう / Azure Spire of Absolute Mastery)50フロア構成の技の塔。戦闘技術と反射神経、ジョブの極限を試す塔。ゼロ・リセットのゲームは、まだ続く。兄鬼が刀を構え、言った。「ここが二つ目か……」千歳は兄鬼を見て、鬼面を被り直した。「兄鬼、今度も一緒に」ガントが巨盾を掲げ、クローネが杖を握り、ルミナがガンを確認する。鍵の宝石は、まだ輝きを弱めていない。残り三つの塔が、どこかで待っている。蒼穹塔の入口が、風を切り裂いて開いた。グループは一息つき、塔へ踏み入った。技の試練——純粋な戦闘の塔が、始まる。



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