表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

上手くは言えないな

作者: P4rn0s
掲載日:2025/12/12

少し世界に目を向けてみると居なくなったあの子と同じような声の人もいるし同じような顔の人もいる。

当たり前なんだけどやっぱり少し違う。


似ているだけで心はまったく動かないのが自分でも不思議で。

声が重なる瞬間があっても胸の奥のほうまでは全然届かない。

どれだけ遠くから聞こえてきてもあの子の声だけは一瞬で分かったのに。

街の雑踏のなかでふいに聞こえた笑い声が、ほんの少しだけあの子に似ていたときの感覚を今でも覚えている。

振り返る前から「違う」って分かってしまうんだよね。


似ているだけで、その似ているところが逆に欠けているみたいに感じてしまう。

あの子は世界に一人しかいなかったんだと、残酷なくらい単純なことが時間が経つほど骨の奥に沈んでいく。

記憶のなかの声は薄れていくのに、違う声には決してすり替わらない。


顔だってそうだ。

似ている輪郭や似ている目つきの人を街で見かけるたびに、どこかで期待してしまう自分が嫌になる。


でも近づけば近づくほど違いがはっきりして、たった一つの「同じ」が無いだけで別の人になってしまう。

当然なんだけど、それを当然だと納得するまでがずっと苦しい。


世界にはたくさんの声があって、たくさんの顔があって、そのどれもが誰かに似ているのに、たった一人だけは似ているだけでは代わりにならない。

まるで、残された空気そのものにあの子の形が刻まれているみたいに。


思い出すほど静かで、静かすぎて、いつまでもそこにいるのかいないのか、自分でも分からなくなる。


ただひとつ確かなのは、どれだけ似ている人を見つけても、「あの子じゃない」という結論だけは毎回変わらないということだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ