表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第一部完】皇女殿下の御心は ―冷遇されし皇女、帝位を目指す―  作者: 白雪花菜
第三章 生命の維持(プロローグの続きから)
14/48

第十三話 美しいものを見る

 ケルンテン公ニコラウスは、昨晩、伯父のクロイ公と喧嘩していた。

 昨日、皇女ユーリアが毒殺されかけんとした事件のことで揉めたのだった。


――ユーリアに手を出さぬ、と約束したはずです!


 そう、ニコラウスが詰め寄るも、クロイ公は、ことなげに、


――何を言いますか。あの小娘が死ねば、皇太子の位は貴方様のものでしょう。例え、イリア王になれずとも、ブルグント王太子の位は貴方様のもの。


 と言った。


――でも、ユーリアを殺したくありません。殺さずともよいでしょう。女であれば結婚すれば、この国を出ていくのですから。

――ケルンテン公、貴方様は、“阿婆擦れの子、愛人の子、妾の子、正しくない子”とこれからもずっと言われ続けたいのですか?


 呪詛を吐くような伯父の言葉は、昨晩から耳に残っていた。


 ニコラウスは胸にむかつきを覚え、美しいものが見たいと思った。彼は薔薇の庭園に向かって歩き出していたのだった。


 薔薇の庭園には、薄紫のローブを纏い、黒いタンプレットから月光のような銀髪が覗いている、美しき異母妹ユーリアと簡素な紅のローブを着ているユーリアの侍女のナタリー、それとニコラウスが見たことない、少し背が低いが、均整の取れた肢体の美女がいた。


「ニコラ!」


 ユーリアがニコラウスの姿を認めるや、声をかけて来た。

 ニコラウスは気まずかった。だが、ユーリアに声をかけられて観念した。


「久しぶりだね。どうしたの?」

「ブリュンヒルド様に薔薇水をいただきに来たの」


 ブリュンヒルド――薔薇の宮殿に出入りしながら、ニコラウスや母のグラティアを蔑むように見つめてくる修道女のことだった。

 その名前を聴いて、ニコラウス心は重く沈んだが、努めて平静を装った。


「そう、薔薇水をね……そちらの綺麗な娘は?」


 ニコラウスは話題を変えたかった。よって、薄紅色のローブの美女のこと聞くことにしたのだった。


「ゲルツ伯が長女、エルメンガルト・フォン・ゲルツでございます。皇后陛下の侍女を勤めております。ここは美しい場所でございますね。このよう離宮であること、初めて知りました」


 感嘆するエルメンガルトの声は非常に可愛らしく、また、エルメンガルトの青い瞳は、湖畔のさざ波のように輝いて見えた。ニコラウスにはそれが蠱惑的に見えた。


「そうか、よろしく、エルメンガルト嬢」


 ニコラウスはじっとエルメンガルト嬢の姿を見ていた。彼女の姿は胸の奥を微かにくすぐった。


 皇女ユーリアほどではないが、充分美しい娘だとニコラウスは思った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
一気に最新話まで読み進めました! めっちゃ面白いし、何やら不穏な動きもあってハラハラが止まりません。 クロイ公の呪詛のような言葉が嫌でも残りますね…… まだ何か起こりそうな予感がしますし、目が離せませ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ