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【第一部完】皇女殿下の御心は ―冷遇されし皇女、帝位を目指す―  作者: 白雪花菜
第三章 生命の維持(プロローグの続きから)
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第十一話 ささやかな願い

更新忘れました…

 夜になり、皇帝と皇后が皇女ユーリアを訪ねた。


 ナタリーは、皇帝と皇后が唯一の嫡子を気に留めていることに喜んでいた。

 ユーリアは寝台の上で上半身を起こして、両親の来訪を待っていた。既に寝巻に着替え、蠟燭の灯と月光で輝く柔らかな銀髪は背中を流れていた。


「お父様、お母様、来ていただきありがとうございます」


 ユーリアの声には疲れの様子はなく、ただ心から両親の来訪に歓喜しているかのようだった。


「ユーリアよ、よく休めたか」


 皇帝がユーリアに訊くと、ユーリアは少し微笑んで答えた。


「はい、でもお父様、お願いがあります」


 それは誕生日の贈り物をねだる子供のような様子だった。


「どうした?」

「犯人を……調べていただけませんか?」


 マクシミリアンは、一瞬、紫色の瞳を伏せた。

 マクシミリアンの横に立っているヘレーネは、静かに夫を見た。


「調べは進めている。だが、お前は無事だった」


 皇帝は、明確な回答をしない。ユーリアは父の言葉には何も返事はせず、話題を変えるかのように、小さな声で言った。


「今日の出来事で、夜眠るのが怖いので、今夜は一緒に眠ってくださいますか?」


 ユーリアの言葉に、皇帝と皇后はわずかに表情を曇らせた。


「お前はもう子供ではあるまい」


 と、マクシミリアンが言った。


 返事の代わりに、ヘレーネがユーリアの銀髪をそっと撫でた。


「では、ナタリーに側にいてもらいましょう。ナタリー、よろしく頼みますわね」


 ユーリアは、小さく、はい、と返事をした。

 ユーリアの返事を聞いて、皇帝と皇后は「おやすみなさい、ユーリア」と言って、退出をした。


 月明りと、蠟燭の光だけが明るい寝室が静まり返った。


 ナタリーは堪らず、皇女ユーリアに抱き着く。


「殿下、殿下――!」


 ナタリーは泣いていた。

 どうして。どうして。どうして、娘が殺されそうになったのに、皇帝と皇后は冷静なの。どうして、犯人を積極的に探す約束をしてくれないの。

 どうして、ささやかな願いすら聞き届けてくれないの。


 皇太子エーミールが薨去し、後継問題で宮廷が揺れる中、ユーリアの味方になるべき人は皇后であるはずであるのに。


 最早、皇女はケルンテン公よりも不安定な立場にいた。皇帝は、ケルンテン公側に傾いている可能性もある。


「ナタリー、泣かないで」


 ユーリアは優しく、ナタリーの頭を撫でた。


「大丈夫だから」


 その言葉は説得力に乏しかった。


 月明りに皇女の顔が照らされる。皇女の表情は何も心を映し出していなかった。

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