8話
すでにこの闘争にトゥルッカは興味を失くしている。心臓も脈拍も。普段と変わらない。
「どっちでもいい。早く始めよう。意味ないから、こんなの」
「なくはないだろう。一応、金が出るんだ。遊んで暮らすなら必要だろ?」
少なくとも、エイリークというチームはその荒々しさと派手さで人気はある、とラグナルは自負している。放送に絡んだスポンサーやらなにやら。そういうのにも一応、頭の片隅に。
だがそれすらもトゥルッカにとっては雑音。龍なら。龍だというなら。
「欲しいものは買うなよ、奪え」
理不尽を叩きつけるのが我々なのだから。それができる腕力も。知恵も。先祖から色濃く受け継いでいる。
ピリッとした空気がより強く。傍目から見ただけならば、どう考えても三人のほうに分があるように思えてならないはずなのだが、そんなものなど跳ね返すのが彼ら。
パチパチ、と乾いたラグナルの拍手がこだまする。
「素晴らしいね。『龍』のあるべき姿だ。どうだ。うちのチームに入らないか。キミなら歓迎するよ」
胆力。思考。どれをとっても尊敬に値する。命を奪い合う間柄だとしても、スカウトせずにはいられない。
呆れたようなウールヴル。
「かー、今から死ぬってのに。ったく」
チームをまとめるリーダーシップはある、と認めつつも、欲しいものはなんでも欲しくなってしまう子供のようなところ。嫌いではないが、たまに面倒な時がある。だがもしそうなったら。こいつがこっちに入ったら、誰が抜けるんだ? とも。
そしてそれを最後のメンバーであるリンドグレンは、無言でその状況を見つめるのみ。
「……」
鋭く。相手を射殺すように。
いつもながらにトゥルッカは思う。この挨拶のような時間の意味はあるのか、と。
「もういいだろ、審判。早くしてくれ」




