13話
戦いとは。さながらボードゲーム。相手の手を読み。機を読み。先を読み。思考を読む。そうすれば、自然と勝ちなど転がり込んでくるのだから。だからこそつまらない。なにもかもが読めて、見えてしまっていて。読めない、見えない相手がいないことがこんなにも退屈だなんて。
言葉の取っ掛かり。少年はまとめ上げる。
「つまり一パーセントは負ける、ということ。いいのかい? 負けたらキミも失うものはデカいんだろう?」
百回に一回、とは言わない。千回やっても勝つかもしれないし、もしかしたらその『一』を今。今日。引いてしまうかもしれない。そうしたら。どうなる?
もちろんそんなことはシシーにもわかっている。そうなったら。楽しいだろ?
「その時はその時さ。それに、オレにとって重要なものはここにはないからね。なくなってもまた手に入れるさ」
唯一。でもないが、失って悲しいものはあった。『あれ』は。そう、とても大事だった。気がする。なぜ大事だったのか、悲しかったのかはわからない。でも。泣きたくなるくらいに。
遠くに見える闘技場。まだ勝負は始まらない模様。なにやらモメてもいるらしい。が、少年にはそれよりも。
「気になっていたんだが、その金色の……駒みたいのは、なんなんだい? いつも大事そうにしてるね」
着眼したのは、少女が手遊びしている小さな金属の物体。なにに使うのだろう。健康グッズ?
キョトン、としながらシシーは「あぁ」と呟く。
「わからないんだ。だが、これがなにか大きな意味を持っていそうでね。肌身離さず持つようにしている。いつ、なにかがあってもいいようにね」
戦いは読めるのに。自分のこととなるとなにもわからない。シシー・リーフェンシュタール。龍。駒。なにも。だから生きているんだけどもね。




