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狂気のお嬢様
昔なじみの友達は、ある家にメイドとして仕えたらしい。
彼女の話では、まだ幼いのにしとやかでうるわしい方だそうだ。
「まさにお嬢様」
とはしゃぎながら私に話す彼女の深い青色の瞳は、美しく輝いていた。
だがそんな友達とは裏腹に、私は今、大いに悩んでいる。
この家にメイドとして勤めてから一か月。私の主は、まだ幼さが残る子だ。
それにもかかわらず顔立ちは整っており、秀才という、まさに友達の言う「お嬢様」のよう。
しかし、私は納得できない。
「通りま~~~~す!!!!!!!」
ゴォッ!!という疾走感のある音を立てて、廊下を高速移動するなにか。
やはり、友達は驚くだろうか。
私の仕えるお嬢様は、お城の通路をローラースケートで駆け抜けるような人だと言ったら。