第九話 『別次元の333号室』
「っ…!!」
この感じ…なんだ…?
ここだけ空気が重くて…苦しい感じがする…っ
他の場所とは全然違う…!
「ここ…ヤバイぞ…。なんかいきなり気持ち悪くなってきた…ッ!それに夏なのになんだよこの寒さ…」
「た、確かに…。なんでこんなに寒いんだよ…鳥肌も止まんないしっ…!!」
顔を真っ青にして急に怯え始める2人をよそに、俺は部屋中を懐中電灯で照らした。
「――やっぱりだ。誰かに見られている気がする…」
「え゛!?裕也!い、いきなり何言いだすんだよ!気味の悪い事言うなってぇ~!」
「そうだぞ裕也!やめろよぉ~!ただでさえ怖いんだからさぁ!」
「お前らは何も感じないのか?」
「はぁ!?感じるって何を?」
「慎吾みたいに霊感がある訳じゃないんだから、そんなの感じる訳ないだろ!?」
「俺だって霊感はねーよ。…でも、ホテルに入ってからずっと感じるこの違和感…霊感のない俺でも分かるのに、お前らは本当に気付いてないのか?」
「い、違和感ってなに…?」
「空気も重いし、誰かが近くにいる感じがするし、ホテルに入ってからずっと視線を感じるんだよ。俺たち以外は誰もいないはずなのに」
「ひいいい!!」
「や、やめろって!お前の気のせいだろ!気のせい!」
怖がる2人をよそに、何故か俺は冷静だった。
「気のせいじゃない。じゃあ聞くけど、1階と2階はあんなに荒らされていたのに、なんで3階はこんなに綺麗だと思う?」
「そ、そんなの知らねぇよぉ~~!」
「みんな怖くなって、3階には来れなかったんじゃないのか?」
「――それは考えられない。だって、事件が起きたのは3階なんだろ?心霊スポットと呼ばれる原因となった場所に来れば、幽霊を見る事が出来るんじゃないかって思ってみんな心霊スポットに来るんだろ?それなのに肝心の3階には来ないっておかしくね?」
「…まぁ…そう言われれば確かにおかしい気はするけど…」
「じゃ、じゃあネットに書いてあった女の幽霊が出るって噂は――ッ…」
「――多分本当なのかもしれない」
「「ひいいい!!」」
昌と裕貴の声が重なった。
「出るって噂の幽霊がかなりヤバイ霊だとしたら…3階が荒らされていないのも納得出来る気がするんだ。――まぁ、まだ幽霊を見た訳じゃないから何とも言えないけど…。ってん?」
部屋の奥から何か、音が聞こえる。
「…なぁ?昌、裕貴…奥の方から音が聞こえないか?」
「えっ!?音…?」
「…ほ、本当だ…なんか音がする」
俺に続くように、2人の視線が部屋の奥の方へと向いた。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
次回更新まで暫くお待ちください。
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