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#5 主要人物

「改めて紹介します。私はルナ、もしくは黒猫と呼ばれている人間。

役割は主にエージェントを担っています」

車の中、彼女が最初に語ったのは、俺が名前と顔を一致させる事の出来る人の紹介だった。

彼女がエージェントで、ルナという呼び名は元からあったそうだ。

次にリンさんで彼が彼女より上官だという事と名字が法寿ほうじゅという事だった。

『おい。俺の紹介は無いわけ?声ならルナ越しに聴いただろ?』

いきなりそんな声がどこからかして、俺は思わず、飛び退いてしまった。

彩貴あやき…。大丈夫です。超小型無線機からの音声に過ぎません」

凛さんが呆れたような声を出しかと思うと、飛び退いた俺に声を掛けてくれた。

ていうか小型無線機なんて本当に実在したのか。映画とか中だけかと思った。

比佐ひさ彩貴さん。主に情報分析解析と各メカの製造と修復を担っている人です」

俺が呆けていると、ルナが説明してくれた。きっとすぐに会うでしょうし、と微笑みながら。


「ふふ。相変わらずだねえ、君達」

「野郎がツンデレっても可愛かねぇのに。で?」

通信を終えた彩貴は子供と話していた。場所は本物のソウルルーツがある場所だ。

彩貴が横目で子供を追い越し、ソウルルーツを見つめる。

「ボクも振られちゃってね。“破片”の気すら察知できない」

子供は苦笑して言い置くと、ソウルルーツを愛おしげに撫でた。そうして呟く。

「ね、何処に隠したの…?予見より早く動いたのは君の方だよ……?」

ソウルルーツが微笑んだ。そんな気がした。彩貴はそれらを黙って見ていたが、静かに去って行った。


俺が通された場所は、全体的に白く無機質な感じがした。それは何処か、あの子に似ていた。

「今暫くお待ちください」

俺が勧められたソファに腰掛けてると、隣に誰かが座る気配と同時に目の前に珈琲が置かれた。

慌てて下にしていた顔をあげると、赤っぽいオレンジ色の髪色をした青年がニッと笑んでいた。

「綾貴だよ、比佐綾貴。宜しくな」

……なんというか、イメージと違う。もっとなんか、ワイルドな人かと思ってたな。

「んな固くなるなって。そらまあ、ウチらのカミサマは気難しいけど」

「神様?」

「俺らの総大将。俺もあんま詳しい事は知らねえけど付き合うのムズいぜー」

ぐっと伸びをしながら綾貴さんがダルそうに言うのを、俺は聞いてるだけだった。

そうして暫く綾貴さんと話していると、不意に空気が変わった。ずしりと重苦しい、そんな空気。

自然と体は緊張で強張り、どうも落ち着いていられない。隣の綾貴さんも緊張してるのか、さっきまでの笑い顔が無い。


「……君」


ぽつん、と、まるで一滴だけ水を垂らすみたいな呼びかけ。聴いてる此方が寂しくなりそうな細く小さい声。

そして何よりも……、恐いほどに美しく白いその姿。

見覚えがある筈なのに、初めて見るかのような錯覚に陥った。

先日のあの子、斉賀京司が神様なんだと理解した瞬間でもあった。


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