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リアシュルテの走馬灯

仲間、か……

一度たりともそんなものがいた経験はない。

ずっと一人だった。

人造神という特殊さ故でもあるだろうが、近寄ってくるやつなんていなかった。

ま、言ってしまえばどこにいても虐げられて蔑まれて、仲間どころか敵しかいなかったのが事実だが。

こうやって人と、まして殺す予定だった女神と肩を並べて戦うとは、私もおかしくなったなと思い返す。


神とて、下界に降りる際は弱体化される。

下界のステータスを参照に、丁度世界最強になれるよう調整がされる。

つまるところ、力がステータスに換算され、他の生き物と同じになるのだ。

ほんの一時、神でなくなると言えば早いか。

だからこそ、スキルの効果を受ける。

「服役中」

唯一私が喰らったスキル、投獄。

罪を償うまで放たれない。つまり、私のような者には出られない。

そもそも従う気などさらさらなく、さっさと適当に償って解放された途端にこいつらを殺してしまおうとか思ってたくらいにこのスキルを舐めていた。

けど今やどうか。

人を守るために怒りと記憶の力を使った。真っ当に罪を償っていると言えるのではないか。

しかしまだ、私はこのスキルに屈した訳ではない。

いや、屈した訳ではなかった。と言うべきか。

まだ私はこのスキルから解放されることを望んでいた。

しかし、解放されたところでもう、神々を滅ぼすとか人類と世界を壊すとか、そういうのはもうしないのだろう。


そう。それは一度たりともいたことはない。

ずっと一人だった。

しかし、あの時。

彼女の結界に阻まれ、彼女の変換を食らい、そして彼の剣に倒れたあの時。

散々に神々を、サクラにとっての同士を、言えば仲間を殺し、挙げ句サクラ本人を殺そうとした私を。

蹴るでも殴るでも糾弾するでもなく、ただ本気でくすぐった彼女たち。

いくら残虐な記憶を、いくら気持ちの悪い思い出を見せつけても、すっと手をさしのべた彼。

その手をとる資格を、その隣に立つ資格を、私はまだ持っていない。

まだ、仲間だとは思わない。

まだ、許されるとは思わない。

私のしたことは決して許されず、償いに見合うものはおそらくない。

神殺しと世界崩壊なぞ、禁忌に抵触どころかぐちゃぐちゃに掻き回すぐらいだ。

私一人の死ではなんともならない。

だからこそ、このスキルの束縛は解かれないかもしれない。

それでも、私は決めている。

どれだけ時間がかかろうと、例え彼らが死んでしまえど、幾度裏切られようと。

私は彼らの隣に立つ。

私はその隣に立てるまで、この力をキョウヤに委ねる。

この力をサクラに、この力をウェルに。

そしてまあ、一応エルルにも委ねる。

そして今はまだ自分の意思ではなく、スキルの強制力に従っているに過ぎない。

自分の意思でも同じことを出来るか。

いや、やる。

私は彼らの仲間になる。

今でも、そう望むのだ。

ああ、私はおかしくなったな。

復讐に燃えて狂う昔の私は何処にいったのだろう。

殺しを楽しみとする自分は、何処に。

それが何処だとしても、私はもう追いかけない。探さない。

彼の隣で立つ。彼と共に生きていく。仲間なのだから。

仲間のためになら、世界だろうがなんだろうが、神だろうがなんだろうが、どうにだってしてやる。

私の意思がそう叫んでいる。

それで隣に立てるなら。

それで始祖神がいいのなら。

どうか、隣に立てますように。

その思いを繋げながら、私の意識は次第に霞んで、やがて黒い夜へと変化していった。

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