心虚の影一片が
死霊共は立ち向かってくるものの、その腕が震えている。分かっているのか、自分は死ぬのだと。
分かっていてもなお、お前たちは牙を向けるというのか。
互いに互いへと突っ込む五体の死霊共と俺。
先頭の死霊が少しばかり速くこちらへ。
一対一をお望みか。
ならば、相討ちまで持ってきてみろ。俺のこのチートから、鮮血を奪って見せろ。
「ギュルアアアアアアッ!!!」
「せああああああッッ!!」
その両者が、間合いへと入り。
同時に爪と刀を斬り放つ。お互い背後へ交錯する。
双方の心も、片方はもうとうに忘れたはずの心を甦らせ、他方は絶大な自信と悲哀の心で、打ち付けあい、交錯した。
斬り放った状態で、二秒間の空白があった。
残りの死霊はまだ遠い。
だからこそ、この二秒間は必然だった。
1。
どちらに旗が上がる?
どちらが血を散らす?
答えは決まっていた。
必然なのはこの二秒間だけではなかった。
2。
炎が上がった。同時に、上がらなかったほうへ軍配が上がるわけで。
炎に包まれた死霊が、読み取ることの出来ない目で、勝者を目に焼き付ける。
その心の中は憎しみに溢れてはいない。
その心の中は悔しさに溢れてはいない。
その心の中は、
その心の中は。
その心の中は、優しげな暖かみで包まれた、感謝に満たされている。
ここで、この死霊の記憶は途絶えている。
そんなことも知らず、キョウヤは消え行く死霊を振り返らず。
残りの四体を待つ。
おそらく主将格であっただろうあの死霊を消したにも関わらず、立ち止まることもなく、戦意たぎらせてすらいる死霊共。
やっぱ、死霊の思考回路はまったくわからない。
もとはといえば同じのはずだが、根本的に……違う気がする。
死霊のほうが綺麗な心なんだろうか。不純な考えもなく、長い間縛られていたからかそういうものが消え失せ、ただ自らの存在を残すためだけに在る。というのか。
だからか彼らは、絶対に攻撃を止めない。
例え仲間がいくら消えようが、仲間が目の前で消されようが。
どの状況においても、ほら、この期に及んでも、止めない。
こういう心こそ、人間の失ったものだ。
この心が宿るのならば、前世の世界の人間、みんなこの世界で死霊になればいいのに。
そう思いながらも、当の死霊と肉薄する。
そのゼロ距離まで待ったのは、俺が未来全部見えてるからさっ!
……嘘です。本当は超視界による360度の視界で、あらかじめルートを張ってました。
見ていない、気付いていないと錯覚した死霊は一秒とたたず理解する。
そして、し終える前に死んでいくのだ。
ほんの一瞬の、死霊が間合いに入った瞬間の隙。
「そこっ!!」
神速でそこへ炎刀をぶちこむ。
胸に突き刺さり、背中から飛び出た刀。
そのまま、背中から出た少しの刀先で残り三匹の一匹を刺す。
あと一匹で三色団子だが、そこまで余裕がない。
すっ、と刀を抜き去る。と同時に燃え上がり、消え行く二匹。
あっけないな。
そして、最後の一匹をステップでかわし、背中を向けつつ首をはね、死霊は燃えた。
あっけなく、俺は何十もの魂を消しさった訳だ。
罪悪感というのが、何故だろう、ここにある。




