常識改変
燃え上がり、灰と化していく死霊共。
怒りを具現化したその灼熱。それを帯びた、怒りをより強く加えて具現化された剣、怒りの剣(仮)。
数十分前、あらかじめ耳打ちされていたから俺は迷わずに刀を抜けた。
システムに大きく関わっているリアシュルテのこと、こんなものをシステムに組み込むのは容易かっただろうが、にしても、にしてもだリアシュルテさん。
なんか前より強くなってねぇか?
前この剣を持ってたときは、怒りから直に生成された直後。ステータスを持ってはいないが、神直々の測定不能力を宿していた。
測定不能というのは、強すぎるからというのではなく、単にシステムが理解出来ない構造……つまりシステムよりも上位の存在だったからで。
システムに組み込むため、結局ステータスに著さなければいけないのだが……
何故。
何故。
何でシステムに卸された時のほうが強くなってんだよ!?
普通逆よ!?
普通は覚醒とか限界突破とかするから強くなるのよ。
なのに何で下位互換のほうが強いのかがわからんわ!
ほら!見ろこれ!
さらに襲いかかってきた別の死霊共。二波目のそれに、適当に刀を大きく降って、完。
ノールックだぞ!?
たった一度、その切っ先をその峰でさえ、相手に当てれば勝ちのようなもの。
なんだろう、面白味というかまったくもって手応えがない。
ただ襲い来る死霊に、剣を振り回せばいい作業ゲー。
三波目の死霊の集団が襲ってきたため、剣を大きく旋回させ、広範囲に攻撃がヒットするように斬撃を放つ。
直後、攻撃を喰らった死霊が燃え上がり、即座にその体を散らした。
ただ一匹、奇跡的に攻撃を喰らわなかった死霊が一匹。
仲間が消されたのを見て、逃げようと走り出した(足がないので走ってるかどうかは論議)その死霊は、次の一度を進む前に、俺の追撃に倒れ無念にも燃え上がった。
そこから、俺はひたすらに作業を。
"ただ機械的に殺す"という作業に没頭する。
俺の中にある人の心を、無理矢理押し込めて。閉じ込めて、斬る。
同情なんて出来ない。ただ斬る。それだけ。
作業なぞ楽しくはない。一方的な蹂躙よりも、思いをスキルの形で乗せる。その方が相手も悔いなく死ねるのではないか。
思うけれど、かといってこれを止めることは出来ない。
今は、今だけは。
勝たなければいけない。そう、選びとったから。
「せやあああっ!!」
新たに襲いかかってきた二匹を、無造作に凪ぎ払う。
次いで、背後に迫る別の二匹を、体を無理矢理に捻ってその反動で切り上げる。
そのまま体勢を立て直し、燃える死霊の合間を駆け抜け、手頃な群れへと突っ込んでいく。
「「ぎいやああえあああるああっ!!」」
死霊の叫びなんて聞かずに、俺は無慈悲に。
紅き炎を纏わせながら、命の残り火を灰へと変えていく。
もっと、もっともっともっと。
刀を大きく旋回、そのまま刃を逆さに立て直し、逆方向に旋回。
また炎が上がり、また一つの魂が消えていく。
もっともっともっと。もっとだ。
「ぜああああっ!!」
俺は次の固まりへと駆け出していく。




