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壮絶なれど汚き

ウェルが三人を引き連れて戻ってきたのは、およそ十分後。何があったのか、エルルさんだけものすごくボロボロだ。

「何があったんだ……?」

リアシュルテが呆れたように説明する。

「そういやすっかり、こいつが飛べないってことを忘れてたんだよ。だから…まあ、難しかった。これ以上聞くな」

最後の一言が物凄い圧力。ますます何があったのか気になるわ……

なので、頑固なリアシュルテではなく、やさしーいサクラ様に聞いてみる。

「サクラ~、エルルさんって何があったの?」

流石サクラ。ちょっと考える素振りを見せたのち、素直に回答してくれた。

「あの穴からおちたのじゃ。落ちたが、我の結界で辛うじて助かったのじゃ。が、それで結界が耐えられず、次に降りてきたリアシュルテが地面に激突してしまう事故も起きたのじゃが……これは、秘密じゃな」

最後はひそひそ声で、一部始終を簡単に伝えてくれた。

なるほど、リアシュルテ、そんな辛いことがあったんだな……

地面にめりこんだリアシュルテを連想してしまった。末期だなあ。

無言で、ウェルの隣のリアシュルテの背中を見つめた。

その割に傷は見えなかったけど、怒りで再生したのか。

なんか、色々と申し訳ないな……

この仕事が終わったら、少しは自由になってもらってもいいんじゃないか。

「にしても、これは見事な景色じゃのう。素直に絶景と言えるものじゃな」

サクラが話を代え、皆に聞こえる声量でそう掛けた。

確かに、絶景。この雄大な自然と尖塔の噛み合わせが素晴らしく見える。

それに乗ってきたのは、エルルさん。

「これだけ苦労してたどり着いたんだ……これぐらいの報いはあってもいいだろうな……」

あの、その姿で言われると説得力しかないから見てるこっちも辛いのよ。

「しかし、よく見るのじゃ。我らは騙されている。引けば騙せ、寄れば欺けぬ。この景色は、"偽"というものを体現しひとつに現しているのじゃ、まさに絶景よ……まあ、今からそれを潰しにいくのじゃがな……」

そう。まだこれは序盤中の序盤。ニズリス・ブールには入ってすらいない。

「おい、まだゴールじゃないからな?」

「ああ、わかってる」

俺の問いかけに、リアシュルテが答え

「これからどうすればいい、キョウヤ」

エルルさんが問う。

答える言葉は見つけてある。

「アンデットたちが進んできた道がある。それを伝ってニズリス・ブール、もとい黒幕のもとに向かう。申し訳ないけど、また落ちる」

崖を指差しながら、説明を終える。

残ったことは、皆の反応を待つのみ。

「またかよ!また落ちるのか!?まぁ、悪くはない」

「ここからが本番だね、みんなで頑張ろっ!」

「ふん、ならば従うのみだな」

「なに、心配など要らぬ。あればいいのは信頼のみぞ」

うん。これなら俺たちは大丈夫だ。

誰も失わない。だって最強ですから。

「さて。今度は地面にめり込むでないぞリアシュルテ」

「うるさいなこの婆!今度お前の結界が失敗するなら、お前を問答無用で殺すからな!」

「はあはあ……さて、ウェル。降りるのじゃ。それから我をキャッチしてくれ」


攻勢が、間もなく始まる。

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