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ブールへの到達

国境の山脈が奥側半分を囲い、それよりも手前はウネウネの木々による森林に囲われている。

なんというか、山脈にめり込むような形でこの峡谷、そしてニズリス・ブールは形成されている。

まるでその部分の大地だけを爆破させたかのように、クレーターと言うべきこの峡谷。その山脈寄りの中腹から最下の中心にかけて、斜めにニズリス・ブールは位置している。

上部たる中腹側の半分には尖塔や砦櫓、城郭と見られる塔群が見える。

対して下側の半分には、高めの城壁に囲われた市街地が目に映る。上層がおそらく司令部や位の高い人々の場所で、下層が兵士や市民の暮らし場であったんだろうなと想像させられる。

「あそこが……」

「そうだね。きっと、あそこに全部あるんだよ」

ここから臨むその風景こそ美しいが、目を細めて見てみると分かることがある。

上層の壮大な尖塔は、見れば大きく欠けている。

砦の櫓にしても、崩れたものと崩れかけのものとが存る。

城も焼けた跡に崩れた石垣、欠け落ちた壁が見える。

下層の市街とて、その半分は焼け落ちた跡だ。

城壁はところどころに大きく穴が開いており、ブール全体蔦や蔓に覆われているのが大半。まさに、廃墟というに相応しき。

あそこに、二人が。



「この穴、ほんとにアンデットだけで掘ったのかな」

振り返り、来た道を眺める。

おそらく俺たちに仕向けられたアンデットたちが空けたと思われるこの洞窟。

時間をかけて掘られたのなら、もっと広く小綺麗になっているべきである。まして、人でないものの産物であるから、この汚さも理解できる。

「いや、おそらくは違う」

それに、引っ掛かる点もある。

あのアンデットたちがここまでの行動を起こす意思を宿しているだろうか。ということだ。

なにせ、攻撃方法が突撃しかないような輩だ。穴を自力で掘ったかすら少し怪しく思えるほどのやつら。指揮などできる訳がない。

つまりは、あの襲撃もこの穴堀も、少なくともアンデット以上の知能を宿した何かで、アンデットを従えることの可能な何かが指揮していたのではないか。

それについて、思い当たる節が一つある。

「ウェル。とりあえず、戻って三人を連れてきてくれ。俺はここで待ってる」

「わかった、主」

指示を受け、敬礼でもと来た道を帰るウェル。

見送りながら、俺は崖のはじに近付き、しゃがみこんで下を覗く。

そして、見つけた。

断崖絶壁に入った、小さな爪痕のようなもの。

それが幾つも。

そして、その爪痕には見覚えがあった。

この洞窟の入り口。そこに数多くつけられていた、アンデットのものらしき堀跡。

それと、一致するのだ。

アンデットは、ここを登ってきたということ。

そして、崖の下。

そこから続く、草原に不自然に開かれた獣道に似た隙間。

その先、遥か遠くだが、きっと行き着く先となる場所がある。

俺は遠景色を臨む。

アンデットの根源、それはニズリス・ブールだ。

つまり、ヤツはそこにいる。

アンデットをけしかけたヤツ。

あの影という存在が、そこに。

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