表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/169

再来の最悪

エルルさんの周囲はあらかた片付けた。当分はアンデットも沸かないだろう。

少々粗めだったけれどエルルさんの状態確認をした後、現在ウェルに集る大量の……いや超大量の……いやいや、スーパーベリーウルトラ大量のアンデットを端から叩いている。

間合いに入ったアンデットからスキルなしで消し飛ばし、一塊でタゲを取られたなら、すかさず迫追白虎でごっそりと削ぐ。

幾度となくこの動作を繰り返すが、ウェルへの道はまだまだ遠い。まったく終わりが見えず、本当に進んでいるのかどうかすら怪しい。なんか怖くなる。

まあそれもそのはず、ウェルと俺との間にはアンデットの大元、謎の大穴が構えているからだ。

倒して進もうにもスポナーがある上、大量の戦力投入。進んでないといっても最早過言ではない。

このままMPと体力が尽きるのが先か。そうだ、それ以外のなんでもない。このままだとそろそろ限界。

このエンドレス、どうにかして打開せねば。

考えろ、考えろ……

広範囲の敵を強力かつ迅速に倒せるスキル……

そんなものがあったかどうか。分からないけれど、考えれば何か分かる気がする。

考えろ、考えろ……



ふと、心の片隅にあるものが浮かんだ。

同時に、「それはダメだ」と否定する自分も浮かんできた。

思い描いたのは、リアシュルテとの戦いで使ったあのスキル。魂に直接ダメージを与える、「アニマ・ワルツィング」だ。

このスキルであれば、未練と恨みの魂であるアンデットなんて百体でも千体でも消し去れるだろう。

しかし、そこには異常すぎる痛みと苦しみが伴う。リアシュルテであれほどの強さ、このアンデットならばさらに強く苦しむのは当然。

嫌だ。これは俺の倫理観が許せない。もう二度と、あのリアシュルテと同じ顔は見たくない。例え、それが人でなくとも、悪であっても、敵であっても。

けれど、これこそが唯一の打開策。これでなければ、勝てない。そう直感が言っているのも事実。

どうすればいい……何を信じればいい……

ここにいるアンデットは、もとはと言えばこの地の住民かもしれない。しかし、蹂躙した敵国の兵士なのかもしれない。またしかし兵士だとしても、その者たちは本当にそう望んでいたのか。悪でないのかもしれない。

わからない。何に従えばいいのか。何に……

せめぎあう倫理観と直感。安らかに消えることのできなかった魂たちにさらなる苦しみを与えて消すのか。

ウェルを助けられず、仲間を苦しませて消すのか。

どうすればいい?どうすればいい?

俺は、選ばなければいけないのか?

逃げたい。何もかも知らないフリをして逃げたい。

もういっそ死ねばいい。全部全員消えればいい。

そもそも、俺なんか転生しなければ。ガチャで爆死しなければ。

そもそも、俺が死ななければ。

そもそも。俺が生まれなければ。


いや、待て。

サクラだってこんなに頑張ってくれている。ここまでついてきてくれた。

リアシュルテだって、敵対していたし無理矢理拘束しているのに、ついてきてくれてる。一緒に戦ってくれてる。

エルルさんも、神に並ぶ奮戦で時間を稼いでくれた。それにエルルさんがいなきゃ、俺たちはなにもできなかったはずだ。

そして、ウェルは今も戦っている。戦っているんだ。これを見捨てないのは当たり前だ。仲間なのだから。

決めろ。決めろ。

ごめん。ごめんアンデットたち。過去の戦士たち。

過去の子供たち、過去の悪人たち。ごめん。

ここまで辛い痛みを与える理由、そんなのがこんなのでごめん。

でも俺は、仲間を救いたい。

ごめん。

「アニマ……ワルツィング……」

ごめん……

ごめんなさい……

ほんとうに……


断末魔の大嵐を聞きながら、儚い最後を横目にしながら、消えていく屍を踏み越えながら、仲間のもとへと向かいながら。

ただ、後悔は忘れないでいる。

心に刻まれる深い痛みを感じながら。

ごめんなさい、と。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ