一体、何者?
「なーんて、本当はエルルから聞いていたんです。『もしかするとこの数日の間に、こういった一行が来るかもしれんぞ』って。てことで、君が風間君ってことでいいのかな?」
「そ、そうです……」
さすれば、ご婦人はにっこりと笑って、
「なら良かった。私の名前はカテネア。わかってると思うけど、メルナの母親よ」
と言う。
本当に、この人がメルナさんの母親なのか……
見えない。というか、さっきは「婦人」といったが実際婦人にも見えない。15、6の少女のよう、というかそれにしか見えない。
年齢を聞くのはタブーなので、若見えなのだろうと解釈しておく。
にしても、よくこのテンションでいられるな~と思う。
普通娘が死んだり消えたりしたらもっとこう、落ち込んだり悲しんだりしない?
俺なら崩れ落ちて絶望するし、探しに行く。
「生きてる」ってのが証明出来るのなら。
でも、この人からはそんな悲しみは感じない。
何故だろう……
「あなた達、メルナのことで用があるのでしょ?なら立ち話は失礼だし、入って」
「あ、いえいえお気遣いなく」
「いいのよいいのよ、これはほんの気持ちだから」
これ以上は失礼になる。ならば丁重に従うのみだ。
「では、お言葉に甘えさせて頂きます」
玄関、入る。
なんだこの異常な高さは。
天井、ひろい高い、なんかスゴい。
俺で換算したらいくらになるだろうか。
三人?いや二人と半分くらいだ。
ずかずかと慣れで進んでいくカテネアさん。
手前から三つめの扉に近づき、そして開ける。
ダイニングらしい。
そして席には先着がいた。
「ああ、彼が噂の風間キョウヤくんか。よろしく」
見れば彼がどんな立ち位置であるか分かる。
彼がメルナさんのお父さんらしい。
片手に剣を持ってきて磨いていらっしゃるのは触れないでおく。
「私はドーラット。メルナの父親だ。君のことはエルルから」
「エルルとは二人とも、子供の頃から友達なのよ」
「私たち二人と、エルル、それからヨヅキの母親でな」
「さ、好きなところに座って」
指図され、四つある席を取り敢えずランダムで着席。
真正面にご夫婦と向かい合う形になった。
いやしかし、二人本当に若いなあ。
ドーラットさんのほうも、一瞬同じくらいかと思ってしまった。メルナさんには兄いたっけか、何てさえも思った。
あと、二人とも格好いいし可愛い。
人柄も合わさってよりお似合いだ。
そんな二人に、今から辛い話をさせるわけか……
しかし、これも二人のためでもある。
全ては、死霊とメルナさんの繋がりを明らかにするため。
「さて、何の話をすればいいの?」
すぅ……
落ち着くぞ。
「まず、ヨヅキくんについて知る限り全てのことを。それから、メルナさんがいなくなってから、お二人がどう過ごしていたのかお聞かせ願えませんか?」
「ええ、良いですよ」
そうして、優しい声色は語りだした。




