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真・俺、ガチャる。

というわけで、改めてガチャの前に立つ。

でかいなー。

大きさは大体そこらへんのエレベーターより2まわり大きくなったくらい。

それが4つもあるのだから、余計になんか、なんか、パネェ。

「では、今から一つづつ引いていくわけじゃが、まずはこの世界ガチャというのを引いてもらう。」

サクラが左端の赤色のガチャを指しながら言う。

「これは、そなたがこれから転生する世界を決める、実はけっこう重要なやつじゃ。排出対象の世界には、そなたのおった現実世界や近未来、異世界なんかが入っておる。確率は、今までの人気度を参考にしたオリジナルのランク付けで決めておる。ちなみに最近人気なのは異世界じゃ。なんかそういうのが流行りらしい。」

異世界転生が流行ってるのって本当なんだ、、。

てっきりラノベの話だと思っていた。

それに、やっぱ転生するなら異世界だよねー。

なんとなく。

「そしてそなたが捧げた寿命じゃが、このガチャの場合は確率に作用するのじゃ。選んだ世界の確率が全体の99%になるのじゃ。キョウヤ、どの世界に転生したい。いま一覧を見せるから選ぶのじゃ。」

「もうそれ外しようがないんじゃ、、。」

「戯け。そんなものガチャと言えんじゃろうが。黙っておれ。」

「へいへーい」

渋々ながらもサクラに歩み寄る。

するとサクラが右手を何やらヒラヒラさせる。

すると、虚空よりサクラの手元にパッとノートのようなものが落ちてきた。

それをサクラは俺のほうへと向けてくれた。

覗いてみると、どうやらそれは世界の種類が書いてあるようだった。

まず「現実世界」「仮想世界」など大まかなジャンルに分かれており、その中に、「現実世界 中世」や「異世界 魔族戦争」など細かい時代設定や背景でさらに分けられている。

だが俺は、その中からたったひとつ、あるものだけを探した。

そして、見つけた。

俺が探していたのは、「異世界 人魔調和」というもの。

文字列だけで一番平和そうなやつを探していたのだ。

何事も平和が一番だよね。

「これ、異世界 人魔調和ってやつにする。」

「ほう。平和にゆったり暮らしたいか。まあ、それもよい選択じゃな。では。」

サクラは左手をノートの選んだ文字にかざした。

するとその文字が青く淡く光り、サクラの左手に収まる。

そしてその手をガチャガチャへと向け、ふうっと息を吹きかけた。

文字だった青い光がガチャにぶつかり、そして溶け合う。ガチャがほのかに青く光り、そして消えた。

なんかかっこいい。俺もそれやりたーい。

「これでよい。さあ、まわすがよい。」

「よし、じゃあ、やるぞ?」

ゆっくり世界ガチャへと歩く。

ドラマチックにコツ、コツ、とかいう音を鳴らしてくれるよう音声さんに期待する。

俺はガチャの前に立った。

緊張するなあ。

たかがガチャ一つでこんなにビビるとは。人生ってわかんない。って、終わってるんだった、人生!

はい。

俺はレバーに手をかけ、ガララララっと音を立てて回した。

そして下部から、これまたビックなカプセルがこんにちは。

こんにちは。

大きさは大体バランスボールの安いやつみたいな感じ。

「これ、どうすんの?」

とりあえず持ってサクラにきく。

「開けてみい、そうすれば分かるぞ。」

「と、いわれてもねえ、開けらんねえよ?こんなでけぇの。」

「おお、そうじゃの。まあ貸してみろ。開けてやろう。」

サクラに向かってカプセルを全力で投げた。

サクラは腹立つかなそれを軽くキャッチした。

神を甘く見てはいけないらしい。

なら辛くしてやろうか!?

はい。

サクラがカプセルを地面に置いた。

そしてこっちを見て、

「見ておれよ?」

そういい、カプセルに踵落としを食らわせた。

「せえっ!!」

カプセルが粉々に砕け散った。

「えええ、、、。」

呆然としました(笑)

「見たか?これが我の力の片鱗じゃ!少しは敬う気になったのではないか?」

「ならねーよ!むしろこっちは破片が飛んでメイワク極まりないんだよ!」

「おぬしが我にやれといったのじゃろうが、、。というかそれよりも、はやくカプセルの中身をみい。」

サクラが足で粉々になったカプセルのほうを示した。

俺は破片に近づき、その中身を探した。

そのものはあっさり見つかった。

破片の中心の中の中心に、それはあった。

それは、ただの紙切れだった。

しかしそのただの紙切れには、こんなことが書いてあった。

異世界。と。

つまり、これに表されているものこそ、俺の転生先ということである。カプセルと中身の対比はどうなんだと思うが、それよりも。いま、俺はその紙切れに書かれた、異世界の3文字を見た。

俺が選んだのは、異世界 人魔調和。

これ、99%っていってたし、確定なんじゃね?

んんんんんんんん!

やったー!やっほーい!平和が舞い降りたー!これで幸せな人生を送れるよ!ありがとう神様!ありがとう17年!ありがとう前世!

「あはははは!」

そんなハイのまま、紙切れを人魔調和と書いてあるはずの裏側を向けた。

ん?

そこには、人魔調和なんて文字はなかった。

魔物闊歩、ただ4文字が、俺を嘲笑うように黒く光っていた。

ん、ん、んんんんんんん!

何故だああああああああああ!

「騙したなこのクソ女神ィ!!何が確率99%だ!全然違うじゃねえか!!」

抗議した。悪いのはサクラだし。

「我は騙してなぞおらんわ!お前の引き運がある意味神より強かったからなのじゃ!悪いのはお前じゃ!!」

反論された。悪いのは俺じゃないし。

悪いのは引き運とかいうのだし。

誰だよ、引き運とやら!

出てこい!

はい。

引き運に見放された俺は、サクラに聞く。

「ところでさ、魔物闊歩ってどんな世界なんだ?もう既に名前だけで悪い予想がついてるんだが。」

「名前の通り、その辺を魔物がうろついておる。いわゆる、典型的なRPGっぽい世界じゃな。完全ステータス・レベリングする型、戦闘はスキルがものを言う。まあつまりは、最近の異世界もんのド定番中のド定番じゃの。あと、ちなみにそれは当たり枠なんじゃぞ?」

「知らねーよ!俺は異世界スローライフを満喫するアットホームなラノベの主人公になりたかったんだよ!なのになんだよ、魔物って!闊歩って!ステータスとかレベルとか要らねーんだよ!またすぐ死ぬって!絶対死ぬって!死んだらお前のせいだからな!責任とらんと許さんからな!」

これで当たり枠とか最近の若いのはどうかしとるわい。命を危険に晒して何がいいんじゃ。

ほんとに神様は俺にだけ酷い。

今すぐその神とやらをぶん殴りたい。

というかこいつ神じゃなかったか?

うん、ぶん殴るか。

「仕方ないのじゃ。もう決まったもんは決まったんじゃ。神様がいうのじゃから結構ガチじゃ。じゃから諦めて次のガチャを引くのじゃ。」

「やだやだやだやだやーーーだ!こんな世界じゃやーーー!」

赤ちゃん帰りは早い。イヤイヤ期が再来してるよ。

「無理じゃって。大人しく認めるのじゃ。じゃないと今ここで消すぞ?」

「わかりました認めますだから消さないでください神様女神様サクラ様」

後半のサクラの台詞と顔がガチだったので大人しく降参した。

怖すぎ。

泣きそう。泣いていい?

うわあああああん

もういいか。

なんとかなるよきっと。なんとか。

、、、なるよね?

大人しく次のを引こう。

「よし、それでよい。では、次のガチャを引くぞ。次のは、お待ちかねのキャラガチャじゃ。キャラというのはそなたの旅の相棒のこと、つまりナビゲーターというやつじゃ。ラインナップには中二病の魔族や鬼メイド、吸血幼女とか自称神など、ロリ中心に多種多様なキャラを揃えており、お客様にも大変満足していただけるコンテンツとなっておるのじゃ。」

ああ、ついにこの時が来たね。

待ってたよナビゲーターの美少女たち!

なんかパロディすれすれというかアウトなラインナップだったけれど、その後のロリ中心という言葉を信じたい。

異世界で相棒と言えばロリか喋る武器って相場が決まってるんだよ!

俺の頭の中身では!

でもさっきの事件のせいで、信用しきることができない。

ほんとにロリは出るだろうか。

と、サクラがまた口を開けた。

「そして今回の寿命献上付与効果は、ずばりこれ、選べるSSRキャラ確定効果じゃ。意味は名前の通りじゃ。また好きなものを選ぶがよい。今度こそそれが排出されるからの。」

「おう。」

サクラが、どこから沸いて出たのか一覧ノートその2を俺に差し出す。

受け取って開いてみる。

うわあ。

これは、世界ガチャとは似ているが違う。

いわゆる、まさにキャラ図鑑。

というか俺が男主人公だからなのか、この一覧には美少女だけが表示されている。

つまりこれはナビゲーターガチャという皮を被った、ヒロインガチャだということか!

誰を選んでも損はなさそう。

うへ、うへへへ、うへへへへへへ!

我ながらキモいと思った。

しゅん、、、。

あ、これ選んじゃだめなやつだよな、、、。

凄い露出度の娘が何人かいた。

ほぼ完全露出の。

見なかったことにしよう。

邪な道に落ちちゃいけない。

何にも知らない、何にも視てない。

さて、本気で考えよう。

でも、実際もう決まってるようなもんなんだよね。

やっぱり、ナビゲーターといえば妖精でしょ!

異世界ゲームの定番賞品でしょ!

え?それだとヒロインガチャにならない?

ヒロインは遅れてやってくるものよ。

それはヒーローだって?

なんで俺がBLしないといけないんだよ。

死んでもやだね。

死んでるけどね!

それと人外さんは却下で。

なんか妖精のビジュアルが人外枠だと色々駄目なんだ。

性癖的に。

完結まで耐えられるかが心配。

というわけで、ほどよい妖精ちゃんを探す。

何分探しただろうか。

ついにその瞬間が訪れた。

それは、半ば一目惚れのようなものでした。

一目見て、この子となら一生旅でも戦でもトイレ掃除でも、何でも出来ると思いました。

その子の名前はユー。

いつも眠そうにしている幼女だそうです。

何、眠たげ幼女って流行ってんの?

いや、俺の趣味な気がするな。

ユーは長めの金髪をしている。

当たり前だけど幼女です。

そして、睡魔に取り憑かれた人間です。

妖精?なんのことだい?

ユーちゃんはある意味俺にとっての妖精なんだよ!

だから俺は間違ってない。

あれだけ妖精妖精って尺を使ったが、どうやらただの尺稼ぎだったようだ。

サクラにその旨を伝えるべく、一覧を渡し口を開く。

「サクラ、このユーって子でよろしく」

「お前、年下好きじゃったのか、、、。その顔でその趣味は、、頷けんなあ、、、。」

「悪いかよ!俺だって自分の趣味くらい好きにさせろよ!」

「はいはい、わかったわ」

そういいながら、サクラは2台目のガチャにもたれかかり、先程同様に確定枠を飛ばした。

非常に姿勢が悪いね。

「よし、これでよい。さあ引け。」

というわけで2度目のガチャガチャTIME!

これをぐるっと回せば、ユーちゃんは俺の隣。

これを、ぐるっと。

ぐるっ、と。

カプセルが出てこない。

でもガチャガチャはしっかり回る。

3回回してしまったが、最初のようなガコンという手応えが全くない。

スカスカしている。

もう一回。

出ない。

もう一度、もう一度。

ダメ出しにガチャガチャをキック!

でもう一度回す。

出ない。

足が痛い。

「出ねえ。」

「あれ?おかしいのう。出んのか?ちょっと待っとれよ」

サクラがそう言ってガチャガチャの後ろに回り込む。

ついていってみると、ガチャガチャの後ろ部分下部にパネルみたいなものがあった。

サクラがそれをいじる。

いじっていじっていじりまくった結果、パネルからビーと音が鳴り、サクラが手を止める。

「なんだ?結果が出たのか?」

「出た。には出たのじゃが、ちとおかしなことになっとるのじゃ。ほれ、見てみろ。」

サクラが体をどけた、その先に。

「使用済み」

とでかでかと表記されたパネルがあった。

「お前、今だったら許すから聞くけど、ぼったくりとかじゃないのか?」

「違うわい!女神様はそんなことをせんわ!」

信用性が皆無なのは周知である。

「おい、どうすんだよ。俺のユーちゃんはどこにいったんだよ。俺、あの子がいないとこれから先人生に幸せを感じなくなりそうだよ。責任とれよ。」

「わかっておるわ。それに多分ガチャガチャが壊れとるだけじゃ。業者に頼んで修理してもらえばいいのじゃ。」

このガチャガチャに業者なんているんだ。

そしてこれ修理とかあるんだ。

てっきり神のスーパーパワーかなんかで創ったもんだとばかり思っていた。

というかダレトクなんだその業者。

一体どうやって儲けてるんだろう。

神相手に商売するとそんなにガッポガポなんだろうか。

ところで、俺はその業者さんが来るまでまたなければいかんのだろうか。

「なあ、俺はいつまでここにいなきゃいけないんだよ。業者待つなんてやだぞ?」

「その辺はまかせておくのじゃ。本日そなたが転生したのち、修理され次第キャラをそなたのもとへ召喚してやろう。よいか?」

「結果としてユーちゃんが来るなら良い。」

ちょっと待つくらいは出来る。多分。

ガキじゃねえんだ。多分。

心はいつまでも6歳だけどね!

「まあそういうことで、では気をとりなおせ。3つ目のガチャガチャを引くぞ。」


待ってましたよ3回目!

神様、次こそまともなガチャガチャを恵んで下さい。

って、サクラって神だったよな。

「続いてはお待ちかね、職業ガチャなのじゃ。」

「剣士でお願いします。」

「説明を聞け!そういうのは即決してはいかんのじゃ。それと我の高めのテンションから空気読んで黙って説明を聞くのじゃ。」

空気なんて読めねーし。

読むのはラノベと漫画とエロ本だけだって決めたんだ!

まだエロ本は買えないけどね!

良い子は聞かなかったことにしよう。

職業か。そんなの剣士以外負けだと思っている。

だって俺、主人公だし。

異世界で主人公が魔法使いじゃだめでしょ。

どこぞのメガネじゃあるまいし。

あととくに回復担当もだめでしょ。

画面真っ黒になっちゃうよ。

放送デキナイヨ。

主人公は剣士。

でもイキりすぎるといつかyou are deadってなるから気を付ける。

で、剣士は鉄則でしょ。

そういえば主人公ってゲームじゃ弱くてすぐ捨てられるよね。

そんなとき主人公って剣士だよね。

捨てないで!僕を捨てないで!!

うん。

サクラの説明を聞こう。

「この職業ガチャ、普通の職業ガチャとは違うのじゃ。」

いや普通、職業ガチャは存在しねえだろ。

「このガチャではの。およそ200に及ぶ初期職業が内容されておる。そして、その職業の熟練度がマックスにとどいた場合、進化することが可能なのじゃ。そして進化先もさまざま。『剣士』の道ならば『魔法剣士』や『聖騎士』に。『魔法使い』なら『聖者』や『巫女』などになれる。最上位には『勇者』や『陰陽師』なんかもある。そしてじゃ。そなたの17年の命の特典じゃが、今回はなんと最上位職がランダムで一つ確定なのじゃ!」

「え、まじ?」

「まじなのじゃ!」

職業の熟練度あげなくていいとか助かるわー

最初から最強かよ。

でも最強系主人公ってなろうに大量発生してるんでしょ?飽きない?

俺はそんなの気にしないけどな!

作品がどうなろうとしらねー!

俺はあくまで楽したいからな!

サクラさんに感謝である。

そのサクラさんが続ける。

「ちなみに、職業は転生したあとも変えられるのじゃが、そのためには世界の果てにある激ヤバな迷宮の裏ボスを倒す必要がある上、熟練度がリセットされるのじゃ。どうしても変えたいのならば言うのじゃ。そこらへんに落としてやるからの。では、引くぞ。」

理不尽だな。

たかが転職1つするためにそんな苦労をするなんて。

でもまあ、最上位なら問題ないっしょ。

さっさといいやつ引いて最強になってやる。


ただ、それで上手くいくなら物語にならない。

物語にはフラグが付き物。

さっきの発言がそれである。

10秒後、絶望に呑まれ立ち尽くす俺が持っていた紙切れには、「自宅警備員」という文字が俺を嘲笑うかのように書かれていた。






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― 新着の感想 ―
[気になる点] 今回はなんと最上位スキルがランダムで一つ確定なのじゃ!」 「スキル」じゃなくて「職業」だよね?
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