表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/169

落天(神の)スーパーセール

「うおおおおおっ!」

「たああああ!」

ボコンバコンズガーン、ドーン。

カキィィイン(?)、ボーーン!

よくミニキャラがボコボコ殴り合ってグルグルなる絵面ってあるじゃん?

今、そんな情況。

「えいえいっ」って言いながらポカポカとサクラを叩いている、最近の俺。

対したサクラは、目が >_< 的な感じになってて、「おりゃああっ」と対抗してくる。

それが、2分続きました。

そして、息切れで二人同時に、

「はあ、はあっ、はーっ。」

と幾つも深呼吸。

でまたすぐに、

「うおおおおおっー」

「おりゃああっ」

ボコンズガーンドンッ!

これがだいぶ続いた。

10分経ったくらいで、ようやく二人倒れ込んだ。

フラフラと芝生に落ちる。

そして仰向けになった。

俺は寝そべって言う。

「ああ、スッキリしたぁ」

「お前なあ……人にいきなり殴り掛かってきた挙げ句、勝手に1人満足するとは……どんな心境しとるんじゃ……」

「お前女神だろ、人じゃねえだろ」

「ぬ……」

食い付きのいい魚だなあ。

ま、それを突き落とすのが俺なんだけど。

「ところでキョウヤ。さっき一体、何を使ったのじゃ?我の結界を破る程の力、そんなものをどこから手に入れたのじゃ?」

まあ、聞かれると思ってましたよ。

だからその為の答えもある。

「『転職』だよ。あれでほら、この『裁判長』って職業に就いた。さっき使ったのは固有スキルの『アブソリュート・ルール』ってやつ。なんでも、全てのスキルを無効化アンド封印できるらしい。」

「なるほど。チートを使ったんじゃな。なら負けても悔しくない。うむ。」

「チートってなんだし。悔しくないってなんだし。」

「ノーコメントじゃ。」

自己解決してやがる。

これ、別にチートじゃねえだろ。

チートならこんな職業既に消されてるよ。

あ、でも現に消えてねえな、フリーター。

まあ、それはそれだということにしておこう。

悔しくないかどうかは、知らん。


ああ、お空が綺麗だなあ。

このまま昼寝しようかな。

「ふわあぁぁあ」

アクビをかいた。

平和だなあ。


あ、そうだ。

気になったことを聞いておく。

「なあ、そういやサクラ、どうして自分が案内役になったってことがわかるんだ?」

「ああ、そうか言ってなかったのう。どれ、見せてやろう。」

そう言ってサクラは立ち上がり、俺の方へと歩み寄って来た。

ちなみに俺は今仰向けに寝ている。

サクラが俺の足下に立ち。

「そのままでおれ。」

覆い被さろうとした。

「え?何すんの何すんの?え?え?」

予想外のイベントに、俺の顔は噴火寸前の灼熱で包まれる。

サンタクロースのような赤。

それは昨日言うべきネタだった。

サクラは、俺の上に馬乗りになった。

これ、普通ラブコメとかであるやつだよね?ね?

そんな経験あるわけないから焦ってるよ。

冷や汗冷や汗。

するとサクラは馬乗りのまま、胸に手を突っ込んでゴソゴソしだした。

この態勢この情況この俺の心境だと、それされると結構ドキドキ。

棒読みだけど、ドキドキ。

そして何かを手にして、サクラが胸から手を引っ張りあげた。

それを俺に見せつけながらサクラは言った。

「ほれ、見てみろ。」

何をーーー!?

と思ったけどその手のやつに決まってる。

そんなイベント(意味深)が起きるわけないのだから。

見るとそれは、ネックレスだった。

まあまあな大きさの十字がついている。

「これが案内役、つまり我がそなたの所有物だという証じゃ。名を『誓証核(せいしょうかく)』と言う。これは所有物となった者の特性によって形を変えるのじゃが、我の場合はネックレスだったようなのじゃ。そして……ほれ、この十字をよく見てみろ。」

よく見ろと言われる程小さいこともないその十字をよーく見る。

と、何か文字が刻まれているのがわかる。

さらに目を凝らして見れば、それには英語でこう書かれていた。


    k

    a

k y o   u y a

    z

    a

    m

    a


風間梟弥、と読める。

つまりこいつは俺の物ってことか。

「ここには、所有者の名が刻まれる。どうじゃ?これでわかったじゃろう。我はそなたの物じゃ。そなたが言えば、何であろうとするのじゃ。そなたのために戦い、死ねる。そなたのために苦しみ、去れる。もちろん、子をはらむことも……」

「最後のは絶ッッッッッッ対ないから。」

「むう。面白くないのう。」

この情況で子をはらむとか言われると余計ダメなんだよ。

消されるぞ?

「うむ、まあ、これでわかったじゃろう。」

と、サクラが立ち上がりながらネックレスを首にかける。

似合ってるとかは決して言わない。

「さて、キョウヤ。他に何か聞いておきたいことはあるかの?聞ける範囲なら応える。」

なら、気になっているのはもうひとつある。

「それじゃあ、この頭の中で喋ってらっしゃるこのお方について教えてほしいなあ。」

「ああ、アシルテのことか。」

いきなり知らない名前が出てきた。

「アシルテ……?誰?」

言ってから、オペさんというのは俺が勝手につけたアダ名だったなあ、と思い出す。

「その声の主の名じゃよ。正式名は"リーンカーネイショナー・オペレーティング・サポートヴォイス・システム"とか何とかじゃったが、長すぎたので製作者が自分の名を少し弄って"アシルテ"と名付けたのじゃ。」

ちょっと横文字とカタカナが多いね。

ほぼ理解出来てない。

というかさっきからこいつ、あの女とか彼女とか、開発者さんの名前出さずにうるさい。

「あの女って、誰なんだ?」

「名は、リアシュルテ。女神じゃが、とんでもない阿呆じゃ。やつは、厄災と発見。その交わりのない二つを司っておった。そして、始祖神に選ばれたのではなく、とある人間が禁忌を幾つも犯し、悪魔と契約した結果生み出された『人造神』。つまり偽者じゃ。それでも最初の頃は、毎日発見に明け暮れておった。幾つもの発明を生み出した。それは今の神々になければならぬものばかりであった。じゃがいつからか、彼女は他の神々に偽者と蔑まれるようになった。発明も認められなくなった。誰も彼女を見なくなった。じゃから彼女はそうして、神々を嫌った。復讐を誓った。ワルキューレを皆殺しにしたり、天界と冥界で戦争を起こしたり。ビフレストを破壊しようとしたり、世界樹を伐採しかけたりと、我々神の呪いであった。一度討伐を仕掛けたのじゃが、35の神々が命を落とし、誰もやつに触れることすらできなかった。そして更に阿呆が実って、数年前に突然、神界から姿を消した。」

なんかそいつがただのヤバいやつだというのがしっかりわかった。

そんなやつには一生涯会いたくない。

というか、アシルテって、そのヤバいやつが作ったやつだよね?大丈夫なの?ねえ?ねえ?

不安だなあ。

そんな不安を察知されたのか。

『私は正真正銘100.0%安心安全な正義のシステムです。心配なさらずとも、脳を支配したり破壊したり記憶をいじったりなんてことは決してしませんから。』

こんなことを言うアシルテ。

ダメじゃん!こいつ絶対やっちゃうよ!?

「なあサクラ。ほんとにアシルテって大丈夫なのか?俺突然死んじゃったりしなよな?」

「大丈夫じゃ。安心せえ。リアシュルテの発明はこれ以外にも多く残っておるし、それは狂う前のものばかりなのじゃ。それに、その全てに……あ、いやだいたい全てに不具合とか暴走とかは起きとらん。いい例はあのガチャガチャじゃ。あれも彼女の設計じゃ。」

「思いっきり不具合起きてたじゃねーか!?例えが悪いわ!」

より安心出来なくなった。

サクラが咳払いして、また話しだす。

「ともかく、このシステムは安全じゃ。ただリアシュルの阿呆が安全でないだけなのじゃ。」

誰が言ってるんだか。

「まったく……あの阿呆、今頃どこにいるのじゃろうか。あんなものを野放しにしておけば、そのうち世界が終わってしまうぞ……」

凶悪殺人犯とか最重要指名手配とかと同類なんだね。

この顔にピンと来たらすぐに近くの神まで。

いないけど。

あと多分伝える前に殺されるんじゃない?

「折角下界に降りたのじゃし、この世界にやつがいないか探すのもよいな。まあ、数分とたたず終わるじゃろう。というか、そもそもこんな世界にはおらんじゃろうけど。」

サクラが結構凄いことを言った気がした。

無視だ無視。

そう思った刹那。

『探す必要はないぜ?』

俺の頭から声がした。

アシルテの声だが、口調が全く違う。

そして、それはサクラにも聞こえているらしく。

サクラの顔が一変した。

恐怖に。

『私は、ここにいるからなァ!』



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ