表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おかしな日記'20  作者: 明智 颯茄
6/9

国語について

 私は高校生の時、理数系だった。二年生へ上がる前に、文系か理数系かを選択しなければならないのだが、ずいぶんと迷った。

 なぜなら、私は英語が得意だったからである。これだけなら、文系を即チョイスだが、国語と社会が得意ではなかった。ということで、一応、理数系のクラスになった。

 

 大学を受験する時だ。英語科に行きたかった。推薦入試があったのだが、筆記試験の他に、英語の受け答えによる面接があった。その対策のため、受けたい生徒だけが英会話の授業を週に二、三度受けるのだが、それは文系の人が対象で、理数系の私は突然呼び出されて、受けさせていただいて、無事合格したのである。


 それから、十年以上の時が過ぎ、テレビゲームにいっときハマった。ストーリーがとても面白く、自分でも書いてみたいと思った。それが作家の道への第一歩だ。しかし、現実は夢のまた夢だった。


 国語が苦手。小説家になるには不利だ。しかも、国語ができなければ、他の教科の問題も、何について問われているのかが読み取れない。自分の気持ちを相手に伝えられない。相手の言っていることを理解できない。生きていくためにも大損だった。


 その当時の配偶者に、半ばスパルタ的に国語の勉強をやり直しさせられた。高校で使う『国語便覧』をわざわざ買って、一からのやり直し。

 やり慣れていないものだから、非常な苦痛が私を襲った。中でも、音読には過去に苦い経験があった。


 私は口数は少ないほうだ。それは、こういう理由からだ。なぜ、下々の者に私が声をかけねばならぬ――傲慢にも程がある性格だった。今では違うが。


 声に出して、他の生徒に聞かせる音読など言語道断で、何度、先生に教科書を読むように言われても、私はかたくなに拒否し続け、チャイムが鳴り時間切れとなったが、先生が私に取った対策は――次も国語の授業にする――だった。


 その後、どうなったのかまったく覚えていないが、おそらく音読をしたのだろうと思う。

 あれから、三十年以上の時が経ち、今は音読を進んでやっている。文章を作るには、音読以外に勝るものはない。だが、これが意外と楽しいのだ。


 中学の頃、演劇部に入っていた。主役を務めたこともある。セリフなんかは、感情を込めて読むと、なんとも気持ちがよいものだ。


 あぁ、自分らしい時間ときを過ごしているなあ。


 今週は、『ハツカネズミと人間』を読んでいる、ジョージとレニーの掛け合いが、私を幸福の渦へ連れて行ってくれるのだ。


 2020年6月28日、日曜日

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ