女神との密約
「………アナタは誰ぞ?」
絶世の美女に対してなんという間抜けな一言をォォオ!
心の中でジタバタ暴れながらも、美女の瞳を真っ直ぐに見つめる康男。
(歳は20代前半。髪型はショート。スタイルの良さは既に確認済み。服装はドレス…きわどい!見えますよね?見えてしまいますよねソコ!いや、そんなことより顔!ナニコレCG!?パーツが全て美しい!チートか!?美の権化か!?特にこの大きなお目々。。。たまらん…美しく、そして怖さすら感じさせるこの強気な瞳…ヤバいですぞコレは…!)
童貞戦士には、いささか刺激が強過ぎたようだ
『やはり…私のことが見えているみたいね。ハァ…マジめんどくさ。しかも精子臭いガキじゃん…話通じるのかよ。仕事増やしてくれるなよ、ったく』
!!??
康男の目が点になる。
ナンダロウ、コノ毒舌女ハ…。
童貞戦士の、儚い美女のイメージが音を立てて崩れていく…
茫然自失の康男に対し、捲し立てるかのように説明していく美女。
『一度しか言わないからな?よく聞けよ。あなたは死にました。…バイクに轢かれてな。まぁ、私に見惚れてたってんなら納得だわ。まぁ、あれだ…それは謝る、ごめんな。それで、上に知られるとコレは明らかに私のミスになるんだわ。だから、示談、いや取引しようってことで、この空間に呼んだわけ。おわかり?』
目を点にしたまま、コクコクと頷く康男ロボット。
『よしっ、ちゃんと会話は出来るガキみたいだな。おっと、自己紹介がまだだったな。私はまぁ…現世公安治ぁ…いや、女神、そう女神だ。ハッハッ、運がいいなボウズ、神に会えるなんてよ。』
ロボットの首振りは止まらない…
『さて、取引の内容だが…ここからは魂に絡めて言質を取るからな?お前とワタシとの契約ってことになる。こっちの要求は[私に関する記憶を消して、以後、私達の存在を認識できなくしてから、お前を蘇らせる]。お前の要求は、そうだなぁ。[この私、ミーレの胸を触る]ってとこで良いだろ。』
刹那ーーーー康男ロボは首振り機能を停止させた。
『ウブいねー、いいね。そういう手間の掛からないガキは扱い易くて好きだ。いいな?さあ、ちゃんと肯定しな。』
康男ロボはプルプルと身を震わせ出した。オーバーヒートだろうか、無理もない。この絶世の美女の胸を触るなど、童貞の康男にはしげき…
「断る!このビィィッッチがぁぁ!!」
否。故障の間違いだったようだ。
肩で息をしながら、康男は自我と冷静さを取り戻す。
「危ない危ない、その美貌と安い色仕掛けに流されるとこだった。……申し訳ないがミーレ。あなたの提案は却下だ。俺の要求は他にある。。。」
康男は大きく息を吸い込み…
「てゆーか勝手に決めんな。大体胸を触ったことを覚えていられないのに許可するわけねーだろ!童貞舐めんなよ?オカズにできないだろうがぁぁぁあ!」
(よしっ、よし!言ってやったぞ?この自称女神がビッチの毒舌でよかった…!なんという僥倖。もし優しく語りかけられていたら、くそッ、俺は胸モミモミを選んでいた…!!)
一瞬でミーレの目つきが鋭くなる。
『…チッ…マジきめえな…。まあ、一応要求を聞こうか。』
(よしっ…来たぞ、言い間違えるなよ?俺。ふっふっふへっへへへ…)
康男の顔がどんどんニヤけていく。とても気持ち悪いのは言うまでもないが…見間違いだろうか。康男の背後に決意のオーラが見えるのは。
そんな様子を見て、顔を引きつらせ康男と対峙するミーレ。
彼女は知らない。
この童貞戦士の要求が
彼女の運命すら変えてしまうことに。。。




