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あの日見た流星  作者: カルバリン
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第4話


「確かこっちだった…よし!」


中に人の気配が無いことを確認してダクトの蓋を蹴り飛ばしたロイはそのまま中へと入っていく。


「…………本当に見たこと無い機体だね。もしかしたら今回のフィッティング機体ってこれかな?」


「かもな、緊急事態だから少し借りるぜ…ってまぁ誰も居ねえけど」


目の前のハンガートラックの荷台に固定されているAFをまじまじと眺めるニールはニヤリと笑った。


「…こいつ、すげぇ格好いいな!」


「そんなのいいから起動準備手伝ってよ!……ってなにこれ……!」


「ん?どうした?」


アリアは起動準備の為にコンソールを弄りながら段々と険しい表情へ変わっていく。


「…このAF、"レムレース"って言うみたいだけど起動システムが拙いというか、未完成?ぽい。こんなんじゃ起動出来ないよ」


「どうにか出来ねーのか?」


「…今やってる、…これの数値を………いや、こう……エネルギーバイパス……姿勢…………あ、これは並列稼働で…火器管制システムオンライン……各部駆動制御……もうすぐだからニールはコックピットに移動して!後は指示するから!」


アリアの指示通りに機体設定を変えていくと表示灯が全てグリーンに点灯する。


動力に火が入った機体が唸るように駆動音を響かせる。


「流石アリアだな!行けるみたいだからとりあえずアリアとロイも乗れ!機体起こすぞ!』


ロイとアリアがコックピットに入ったのを確認してハッチを閉める。


「せ、狭い…」

「コックピットに3人は無謀じゃないか?」

「仕方ねぇじゃん、これ一機しか無かったんだからな…起こすぞ」


排気ダクトから蒸気を排出しながらゆっくりと機体が上半身を起こしていく。


「とりあえず真正面から戦っても勝ち目は無い、けれど俺達はイリスを連れていったAFに仕掛けないと駄目だ」


「それはそうなんだけどよ?イリスが人質になってる以上下手に仕掛けたらヤバくないか?」


「…そこは、ダリウスさんに何とか…」


「おい。ここまできてそれはどうなんだよ…」


「…ハッチを強制解除する事が出来れば……」


「あーもう!ここでグダグダ言っててもどうしようもないでしょ!男なら何とかしてみせなさいよ!AFのハッチはココ!この部分にある装置を破壊したら強制解除出来るの、だからニールはどうにかしてその部分をピンポイントで破壊して!」


「…分かった、それしか無いならやるだけだ!アリア、機体の調整は任せた、ロイは…」


「俺は、イリスが脱出した後だな…活躍出来そうなのは」


レムレースをゆっくりと立ち上がらせたニールだがそれと同時に格納庫の扉が勢い良く開く。


「おい!誰だ!その機体は…」


『やっべ!見つかったぞ?!』『ば、ばか!マイク切りなさいよ!』


「子供?!やめろ!今すぐそいつから降りろ!ソイツはまだ未完成なんだぞ!」


『スミマセン!スミマセン!ちゃんと起動はしましたから!!後から必ず返します!』


レムレースが背中に背負った武装…ハルバートを取り出すとそれで何をする気か察した男性は走って逃げていった。


「うし!んじゃま派手にお姫様を助けに行こうぜ!」


近くに誰も居なくなったのを確認するとニールはハルバートを格納庫の扉へ向けて振り下ろし破壊して飛び出していった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


『ダリウス中佐…これは…』


途中で仕掛けてきた敵をあしらって駆け付けた二人だったが、目の前には破壊された施設と混乱している生徒達の姿があった。


「遅かったか…!ハロルド、お前は残って生徒達の誘導を頼む」


『了解しました、終わり次第合流します』


「任せる、俺は先程反応がロストした2機を追う」


これはどういう事だ?何故こうも後手に回っているんだ…!


今回の移送計画の情報が洩れていたにしてはファントムが格納してある格納庫へは向かっていない。


それと、先程入った通信ではオストローデンの外でも所属不明機が駐留軍と交戦中らしい…


「状況が不明瞭すぎる。早めにカタをつけないと不味い」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


少し時間は戻り…オストローデン内第4ドックにて


「艦長!緊急事態です!」


「どうしたエイミ?緊急事態とは穏やかではないね」


「駐留軍司令からの通信で『現在このオストローデンを宇宙海賊が襲撃中、狙いは貴艦である可能性アリ、急ぎ出航の準備されたし』とのことです!」


報告を受けた艦長と呼ばれた女性…ジークリンデ=ドーウィルと呼ばれた赤髪の女性は困った表情で答える。


「…そいつは困ったねぇ。まだクルーも揃っていないというのに…"レムレース"の搬入もまだ、パイロットも到着してない、それで出航したところでどうしようも無い。とにかく受領に向かったカークス整備士長が戻るまでは…」


「た、大変だ!レムレースが子供に盗まれた!」


「盗まれたって…そんな簡単に盗まれるようなものじゃないでしょう!?」


「…これはまたどうなってるのやら………あたしは多分今日が厄日みたいだ。…とはいえこのまま何もしない、という選択肢は無い。この船"ソルシエール"までここで失う事は許されない…盗まれた物はどうしようもない!予定外の事態ばかりだが出来る事をやるだけだよ!」


軍服を翻しソルシエールへと向かうジークリンデを追うようにカークスとオペレーターのエイミも走る。


艦橋まで辿り着いたジークリンデは艦長席に座ると号令を掛けた。


「総員第2種警戒配備!!急げ、敵は待ってはくれないぞ!」


『第2種警戒配備発令!これは訓練ではない!』


「エンジン始動、エネルギー充填まで後740秒」


「全武装オンライン、広域レーダーユニット起動、迎撃システム正常稼働確認、待機状態に移行」


「よし、エネルギー充填が終わり次第いつでも発進出来る状態を維持、残りの物資搬入急げ!」


「了解、…艦長、レムレースはどういたしますか?」


「…カークス整備士長曰く返すと言っていたらしいが…あてにはならんだろう。一応通信は送っておくように」


「了解しました」


ふぅ。まさか試験運用の日にこんな事態に陥るとは…


中々に厳しい船出になりそうね…。


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