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あの日見た流星  作者: カルバリン
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第40話


地球近辺…統合軍宇宙要塞”デモイン”


「付近にいる全艦隊に通達!至急迎撃部隊を出せ!!」


「了解、全艦隊へ通達します!」


「多少遠くだろうがアサルトフレーム各機に巡航ブースターを装着させて先に出撃させろ!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


『ドレイク隊発進してください!』


「…了解、ドレイク1出るぞ!」

「ドレイク2了解」

「ドレイク3了解!」


次々と要塞から発進していくアサルトフレーム…その先頭を行っていたアサルトフレーム隊が敵のアサルトフレームと交戦を開始する。


「ファルコン12大破!イーグル8、9、16ロスト!!発進したドレイク隊が援護に入ります!」


「……なんという、これ程の数の宙賊が集まるとは…!」


『レタングル隊は俺しか残ってねえ!誰か…!』


叫び声はすぐに消えてシグナルロストする。


「れ、レタングル隊…全滅…」


「戦闘部隊は何をしている!?」


「現在交戦中の部隊は優先して隊長機を狙われている模様!戦闘指揮を他の隊が引き継いでいますが…」


「直接こちらから指揮出来んのか?!」


「無理です!そもそもカーラ大隊長が出撃していない以上…」


「むぅ…カーラか…仕方ない。カーラを呼び出せ」


了解、といってオペレーターが通信を繋ぐ。すぐにモニターには凄まじく不機嫌な顔をした女性が映る。


『…何でしょうか、私は貴方に用はありませんが?』


「…カーラ大隊長、現刻をもって貴様の隊の謹慎処分を解除する。至急出撃せよ」


『…………』


「どうした!復唱せんか!!」


『お断りよ!!ふざけんな!ウチの息子や友達を軍の都合に巻き込んでおいて…!!』


『た、隊長!壊れる!モニターが壊れるから落ち着いて!』


「貴様の息子は鋭意捜索中だと言ったはずだ!それなのに貴様は勝手に出撃しようと…」


『黙れ!ダリウスんとこの娘まで隠したからダリウスは脱走した!』


「貴様…ダリウスの件をどこで…いや、そんな事はどうでもよい!とにかく出撃せんか!」


『そんな事…だあ?!ウチの息子を誘拐しておいて…上等だこのタヌキジジイ!!…離せジェイク!あのジジイの面しばき倒……』


暴れるカーラを引き離した所で別の男性がモニターに映る。


『…すみませんね、隊長は頭に血が昇ってまして…』


「ふん!上官に対する態度ではないな!これだから…」


『勘違いしないで下さいよ?隊長だけがキレてるわけじゃねえんです、俺達全員隊長と同じ気持ちですんで…それをお忘れなく』


静かに話す男性の後ろで抑えられて暴れているカーラが投げた靴がモニターに当たる。


「…すまん、だが今は協力してくれ。こうしている間に我が軍のパイロットがやられているのだ」


『…了解しました。隊長は我々が宥めます、それと…ダリウス中隊の連中も連れていって良いですね?』


「ああ、構わん!とにかくすぐに出てくれ!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


『隊長!こいつぁやべえ!あの戦争以来だぞこんな修羅場はよぉ』


サーベルを抜いて迫る宙賊を躱してからライフルで撃ち落としながらそう叫ぶジェイク


『ジェイク!無駄口叩く前にもっと働きな!まだ近くの部隊が苦戦してる!』


『へいへい!…メーヴェル、残存部隊の合流状況はどうなってる!?』


『んー、一応ある程度戦える一部の奴らは被弾した機体の回収!残りは宙賊部隊と交戦中~!』


『ダリウス中隊の連中は?』


『12時の方角にいる巡洋艦隊とやりあってるよ!あの様子ならそんなかからずに落とすんじゃない?』


『…隊長、副隊長、さらに矛盾コンビもいないってのによくやるぜ』


『ジェイク!何度も言わせるな!さっさと全員ブッ殺せ!落ち着いたらこの宙域から離脱するわよ!』


カーラの言葉を聞きながら次々と宙賊の機体を撃破していくジェイク。


『隊長~!敵のど真ん中で交戦している味方がいますよー?』


『はぁ??ど真ん中って…どこの部隊の馬鹿よ!?』


『識別信号はメテオ1、所属は…不明?』


『メーヴェル、その馬鹿は間違いなく味方の識別?』


『ですね、ただデモインから出撃した機体じゃないですし…周辺艦隊からの機体もまだ到着してない筈ですけどねー』


カーラはすぐにカメラを望遠モードに切り替える。


『……!?あれは…』


最大望遠のせいで鮮明には映らないがカーラはすぐにその機体が何なのか分かった。


『ファントム…!リースが生きてた?!』


ファントムは敵のど真ん中で次々と敵を破壊していた。


肩に担いだバズーカ砲から発射された弾丸で敵のアサルトフレームを爆散させながら反対の腕に持ったアサルトライフルで別の一機を落としていく。


『やりますねーあのパイロット。ただあの辺にいる宙賊の動きが鈍い感じもしますけどねー』


『…取り押さえようとしているみたいだな。メーヴェル、ジェイク、行くわよ!』


カーラがバーニアを吹かして加速すると慌てて2人もついていく。


『まじですか隊長?!』

『ちょ!離脱出来なくなっちゃうんですけど!?』


あれがリースなら言いたい事が山ほどある


『作戦変更よ!…ダリウス中隊の連中にも伝えろ、”さっさと片付けて突撃!”ってね!』


言いながら更に加速して敵の中へと突っ込んだカーラは周りにいた宙賊を両手に持ったサーベルで次々と破壊していく。


『ほらほらぁ!!逃げないと死ぬよぉ!!!』


暴れるカーラを落とそうと宙賊が集まってくるがそれをジェイクとメーヴェルが阻む。


『ここを抜ければ…』


かなり近くなったファントムに視線を投げるとファントムがこちらに振り向いてバズーカを構え…


『!!』


バズーカの弾丸がカーラへ向けて発射される


っ!まっずい!!


直撃を覚悟してシールドを構えたカーラだがその脇を弾丸は通過して後ろから迫っていた宙賊に直撃して爆発した。


『大丈夫ですか!?統合軍の方なら至急司令官へ伝えて下さい!…あと三時間もしないうちにアルテミスが地球に…っ!邪魔!』


途中でファントムに宙賊の弾丸が直撃してよろけるとすぐにバズーカを撃ち込んで黙らせる。


『その声は…イリスちゃんかい?!』


『カーラさん!?』


『無事だったんだね!ならウチの馬鹿息子は…』


『はい!みんな無事です!それよりも今は…』


『アルテミスがどうのって話だったね』


『アルテミスがもうすぐこの宙域に到着するんです!そしてこのまま加速し続ければ地球へ落ちるんです!』


『なんだって?!…メーヴェル、そっちではアルテミスの存在は探知出来るか?』


『何にも反応は無いですね、デモインでも観測はされてないです』


『アルテミス全体を何か特殊な方法で隠してるんです、アルテミス周辺はレーダーも役に立ちません!』


いきなりこんな数の宙賊が現れたのはそういう事か!


『ジェイク!すぐに他の部隊をまとめて宙賊の戦列に穴を開けろ、メーヴェルはデモインに通信で今の話を伝えて周辺艦隊には拠点攻撃仕様のアサルトフレームをすぐに回せと!』


それぞれが了解と言って行動する。


『カーラさん、ここはお任せしていいですか?私はすぐに引き返してアルテミスを…』


イリスがバズーカのカートリッジを装填してバーニアを展開した所でカーラが止める。


『待ちなさい!イリスちゃんには聞きたい事が色々あるけど…それよりも!1人で行くのは許可出来ないわ』


『だけどすぐに行かないと!』


『だから待ちなさいって!すぐに味方の増援が到着するからそれから…』


『だけど…!』


『おい、嬢ちゃん…いきなり暴れたって聞いてきてみりゃ…お前さん統合軍だったのか?』


通信に割り込んで来たのは…アルテミスで一緒だったあのおじさんだった。


『…まぁいい、それよりさっきの話は本当なのか?』


『本当です、すぐにアルテミスを止めないと…』


『…分かった、俺達も協力させてくれ。アルテミスにはファミリーの非戦闘員も残ってるんだ』


『ちょっと待ちなよ!あんたらがアルテミスを落とそうとしてるのに何を…』


『俺達はそんな話聞かされてない。今回の作戦は軌道エレベーターの制圧だとしかな…!』


『カーラさん、ここで時間を無駄にしてたら間に合わなくなります、今はアルテミスを止められるなら宙賊も統合軍も関係ありません!』


『…分かったわ。一旦協力としましょう、ただし裏切ったら容赦なく撃つ』


『それでいい、急ごう』


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「そろそろだ、私も出る」


「了解、なら俺の部隊も予定通り動きます」


「…気を付けろ、もうじき奴がくる。アルベルト達がアレをどうにか出来たとは思えん」


「本当に来ますかね?一応彼女は厳重にガードしながら移送しますが」


「来るとも。彼女が生きている限り必ずな」


「さいですか、まぁ死神とやりあえるなんて願ってもないチャンスですから楽しみですよ」


「やめておけ。戦ったら生きて帰れないぞ?」


「ははは、上等ですよ!昔は最新スペックだったんでしょうが今の技術でカスタムした俺の”ラーヴェイル”なら負けやしませんて」


…分かっていない。実際に対峙した事があればあんな事は言える訳がない。


「…とにかく、バンガードへ移送が最優先だ。敵はアレだけではないからな」

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