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あの日見た流星  作者: カルバリン
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第38話


「急速転回!味方の撤退まで我がソルシエールは盾となる!敵機を近づかせるな!」


ジークリンデの号令と共にソルシエールの全武装が火を吹き接近していた敵のアサルトフレーム数機を撃墜する。


「ファントムはまだ見つからないのか!?」


「駄目です!ファントムが最後にロストした地点はレーダーが阻害されていて…」


「引き続き捜索を、ギリギリまで捜索しなさい

!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ソルシエールが激しい戦闘を繰り広げている最中…アルテミス内部にて


「…馬鹿な老人どもが。欲を出すからこうなる」


アルテミス内部にある隠し部屋でそう呟く女性に隣にいた男は肩を竦める。


「お嬢、それよりもアルベルトが彼女を連れ去ったと報告がありましたが?」


「…追跡部隊は出したのだろう?それに…あれは偽物だ。アルベルトが影で動いていたのは知っていたさ、だがどのみちアイツにはどうすることも出来んよ」


「ではどうしますかね?予定通り“バンガード“に向かいますか?」


「そうだ、予定は変わらん。まずは統合軍の地球防衛ラインを壊滅させる…全部隊に通達しろ、これより我々はアルテミスの移動を開始、統合軍直轄“軌道エレベーター“を襲撃する」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


『ヒャッハー!統合軍の奴ら大したこたぁねぇぜ!』


『お頭の話じゃ1機落とす毎にボーナス貰えるって話だ!ぶっ殺しまくれ!』


次々と統合軍の機体を破壊していく宙賊達だったが…その途中であるモノを見つける。


『おい、あれ…故障して脱出したんじゃね?』


モニターに映るのは黒いアサルトフレームで見た目には損傷がないにも関わらずコックピットハッチが解放された状態で漂っていた。


『統合軍のスピアじゃねぇな…一応回収してみるか?』


『使えるパーツもありそうだしな、よっしゃ!ちとワイヤーかけてくるぜ』


そういって近づいたが…


『ありゃ?まだ中身が居やがったぜ?…死んでるのか??』


中を覗くとベルトをつけた状態でピクリとも動かないパイロット…ヘルメットのバイザーは赤く染まっていて中はどうなっているのか分からなかったが…


『…こりゃ死んでるだろ。バイザーが血塗れだぜ』


『早くその死体を捨てて回収しようぜ、また統合軍の奴らが来るぞ?』


『わかってらぁ!急かすなよ…!ちょいと失礼すんぜ…』


男がベルトの固定を外そうとして手を伸ばした時…それまで沈黙していた機体が起動して唸りをあげる。


『…?!』


『お?なんだ動かせるなら楽だな』


『違う!俺じゃねえ!!』


すぐにコックピットから飛び出して自分の機体に戻り、黒いアサルトフレームから離れる。


『パイロットは死んでたんじゃなかったのか?!』


『バイザーが血で汚れてて確認なんてしてねえよ!普通死んでると思うだろ!』


……う、ん…?私…どうなって…


イリスが目を開けると目の前は真っ赤に染まっていて所々しか見えない


「……確か…ファントムの負荷に耐えられなかったから…」


ぼんやりとした意識が次第にハッキリとしてきたイリスは慌ててヘルメットのバイザーを解除するとモニターに視線を投げてファントムがすぐに動ける状態である事を確認する。


敵は2機…武器は……アサルトライフルは無い、ランチャーはチャージしないと使えない…なら格闘戦でやるしかない。


『全軍に通達する!我々はこれより“メテオストライク“を発動、ローレライ傘下の艦隊は速やかに作戦を遂行せよ!』


オープンチャンネルで宙域全てに発せられたこの号令ですぐに戦場の流れが変わった。


今まで目の前の統合軍と戦っていた宙賊連中は次々とスモークを展開して離脱、アルテミスの側へと戻っていく。

当然イリスの目の前にいた2機もすぐに離脱していった。


「さっきの通信…それにメテオストライク?…考えても仕方ない、一旦ソルシエールに戻ろう」


ソルシエールに通信を繋ごうとしたイリスだったがアルテミスに起こった異変に気がついて手が止まる。


「…え?あれは…」


モニターに捉えたアルテミスに起こった異変…それはアルテミスの移動用ブースターが次々と火を吹いていき少しずつ移動を始めたのだ。


「アルテミスが移動してる…?」


困惑している間にアルテミスは加速していきそれに追従する形で宙賊も周囲に展開していた統合軍艦隊に攻撃を加えつつ移動していた。


周辺に集まったのは何か意味が…?そうイリスが考えていた時、その答えはすぐにわかった。


アルテミスに集まっていた敵の艦隊ごとアルテミスが見えなくなっていく…まるで消え去るかのように。


レーダーからも完全に消えて…いやこれは多分…


「ステルス、だよねあれ…あんな大規模な範囲を覆ってまで消える意味は…!!」


イリスは一気にスラスターを吹かしてアルテミスが消えた方角へと向かう


「さっきの通信が私の考え通りだとしたらアルテミスが向かってるのは…」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「艦長!ファントムから通信が入りました!イリスさんは無事です!!」


「…良かった。…イリス君はいま何処だ?」


「正面モニターに映します!」


ソルシエールのモニターにイリスの顔が映ったがそれを見てエイミが青ざめる。


「イリスさん…!血が!」


『少しだけですから問題ありません、それよりもアルテミスが消えたのは確認しましたよね?』


「あ、あぁ…レーダー、熱源、視界…すべてから消えている」


『今私はアルテミスを追ってそのステルス範囲内に居ます、今からアルテミスの予想進路をそちらへ送りますからすぐに統合軍艦隊と…!』


イリスの映像が乱れる。


『…う……今はそれどこ…………に!!……アルテ…スの……は…地球…す!ソルシエールが来るまで…』


そこまでで通信が途切れてしまった


「…地球だと?エイミ、イリス君から送られてきたデータを出しなさい」


エイミがモニターへと表示したデータを見てジークリンデは気付く。


「…まさか!すぐにバサル准将へ通信を!奴らの狙いは…統合軍本部メルトラスだ!!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ジーク、それは間違いないか?」


『はい、イリス君から送信されたデータからみてほぼ間違いないかと。奴らの通信にあったメテオストライク…その意味は…』


「アルテミスを落とす、か」


『私はこれからこの宙域に残存している艦隊をまとめて追撃を…』


「いや、お前達はすぐにアルテミスを追え。そっちにはデリスが向かってる」


『デリス大佐が?あの方が向かっているなら心配ありませんね。では私はすぐにアルテミスを追います』


「あぁ、頼む。…くれぐれも無茶はするな、イリスにも無理は…させないでくれ」


『……了解です』


通信が切れるとバサルはすぐに執務室を出る。


「どうにも嫌な感じだな、ダリウス…間に合わせろよ…」

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