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あの日見た流星  作者: カルバリン
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第1話


「……イリス」


はぁ、今日の晩御飯何にしようかなぁ。


「イリス!先生から当てられてるわよ!!」


「ふぁ?!」


「…イリス君、君にしては珍しく授業に集中していないね?」


「すみません…以後気をつけます」


「いいだろう、では続きを話そうか…今君たちが通うこの学院…AF技術専門学院はAF…アサルトフレームの操縦技術、整備知識、戦術運用といった様々な分野を学ぶ為に設立された学院であるのは皆も入学時に説明をされたと思うが…ではここでもう一度質問だイリス君、まずアサルトフレームとは?」


質問されたイリスはその場で起立して口を開く。


「アサルトフレーム、通称AF…人型機動兵器であり、長年の研究、研鑽によって戦争の手段…または生活する為に傭兵…フリーランスとして働く為に必要な兵器、その他にも作業用や商業用など多様なバリエーションを持つ汎用人型機動兵器です」


「その通り。アサルトフレームは我々の生活に無くてはならないものです。あなた方も来週行われる適正検査で戦闘、支援、その他の分野と分かれる事になります」


一番人気なのは戦闘に適正があるパイロット職よね。フリーランスとして働くか軍へ仕官するか等選択肢は多いし、さらに稼げる。…それも腕が良ければ、だけど。


次に人気なのは支援かな?アサルトフレームの整備から戦闘艦や商業用貨物船の整備とこれも仕事に困る事は無い。


最後に…アサルトフレームの適正が無い、またはあっても適正が低い場合…これは苦労するパターンだと言える。何故ならアサルトフレームに乗れない人が働くとまず賃金がやはり少ない。これはアサルトフレーム乗りに必ず支払われる危険手当て等の高額手当てが無いことが理由だ。


そして例外的にどれにも属さないのが…


「そして一番問題視されているのが…宇宙海賊と呼ばれるアサルトフレームを使った輸送艦やプラネットを襲撃する連中です、軍やクランは彼らを討伐するのも仕事ですが…彼らは独自のカスタム技術で非常に高性能なアサルトフレームを所有している場合が多い為に討伐には多大な犠牲を払う危険性が常にあり、軍もクランも中々手を出しにくいというのが現状です」


そういえばお父さんも宇宙海賊が出たら面倒だって言ってたなぁ


「ねぇ、イリスのお父さんは有名なAF乗りだけどさ、普段ってどんな感じ?やっぱり厳しいとかあるの??」


隣の席に座っているこの子はアリア、私がこの学院に入学する時に知り合ってから仲良くなった1人だ。


「…んー?まぁ普段はだらしない時もあるけど、仕事に行く前はカッコいい…かな?」


私を引き取ってくれたダリウスさん…今ではお父さんと呼ぶあの人は私をしっかりと育ててくれた。


私が大きくなってからは割りと気を抜いてる事が多いけれど、私はそれについては文句なんて言うこともないし、言う気もない。

今まで男1人で全てを背負ってきたお父さんには感謝しかないし、赤の他人の子供を引き取って育てる、これは本当に大変な事だと思う、最初の頃なんて毎晩泣き続ける私にずっとついてくれて、出来もしない料理や洗濯とかも一生懸命やってくれてた。


「イリスってお父さん大好きっこだもんね~クラスの男子諸君は可哀想に」


「え??」


「べっつにぃ~、この前もニールの誘いを断ってたし、その前は…」


「だって家の事で忙しいし…放課後に遊ぶってカフェとかに行くんでしょ?私は無駄遣いしたくないし…」


そんな話をしていたら授業も終わって、お昼になった。


アリアと食堂に行くといつも通り食堂は戦争だった


「…ねぇ、アリアもお弁当にしたら?毎回あれに突撃するのって…」


「私はイリスみたいに料理上手じゃないしさー、イリスが作ってくれたら助かるんだけど?」


「……まぁ二人分から1人増えても大して変わらないからいいけど……」


「それ、俺も作ってくれよ?」


唐突に後ろから声がかかったので振り返ると


「私がお弁当を作る事によってニールがお父さんからなにをされても良いっていう覚悟があるなら作るけど?」


「…うへぇ、それは勘弁!ダリウスさんには勝てる気がしねぇ」


お父さんが常に言っている事で『男と付き合うなら俺を倒せる奴じゃないと駄目だ』って言うのだ。

付き合うとかそんなのは無いけど、男にお弁当を作ってるというのがバレると色んな意味で怖い。


「だよねぇ、イリスのお父さんって凄腕のAF乗りでしょ?有名だもんね、『レッドライトニング』ダリウス=バーンハイト中佐はさ」


そうらしい。私も最近知ってからお父さんに聞いたんだけど…


『俺よりイリスの母、リースの方が凄かったぞ?アイツの二つ名は『漆黒の死神』多分俺よりも撃墜数は上だし、模擬戦でも手加減してたっぽいからな』


家に飾ってある母の遺品の中に靄がかかった骸骨の絵が書かれたパーソナルマークがあるからお父さんの話は本当だと思う。…けどお母さん、このパーソナルマークはどうなの……?とても女性が使うものじゃないと思うよ。


「お母さんには勝てなかったらしいけどね」


「世の中の親父は大体母親には勝てないようになってんの!俺の親父もかーちゃんには勝てないしな」


夫婦じゃないから厳密には違うし、そういう意味で勝てないとかじゃないけども…敢えて言う必要もない。


いつの間にか居なくなっていたアリアがトレーに載ったカレーを持って戻ってきた。


「まぁ、いつも通りカレーしか無かったよ」


「買えただけマシだよ、そのカレーも今売り切れになったみたいだし」


「…早いよね、売り切れた後は皆外に買いに行くしか無くなるから大変だよ」


いつも通りの日常、毎日学校へ行って勉強して、帰って料理や洗濯をして帰ってきたお父さんと喋ったりして…こんな毎日が続くと思ってた…だけど


あの日、AF適正検査の日あんな事件が起こるまでは…

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