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あの日見た流星  作者: カルバリン
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プロローグ


昔、お母さんがまだ家に居た頃だった。


空を見上げると幾つもの光の筋が流れては消え、また流れていく。


「ねぇ、あの光はなぁに?」


そう問いかけた私に母は少し寂しげな顔をしていたのが私の記憶に残っている。


「…あれはね…そう、流星。……零れ落ちた命。イリスにはまだ分からないでしょうけど…これから先もあの流星は流れ続けるわ」


「……?」


「…イリス、お母さんはまた暫く帰ってこれないけれど…待っててくれる?」


母は仕事で家に居る方が少ないのをあの当時寂しく、そして不満に思っていたけれど…必ず帰って来てくれてたので我慢していた。


父とは違う。


そう思いながら。


頷いた私の頭を優しく撫でてくれた母は決まっていつもの話をしてくれた。


「私はね、昔こことは違う世界を見てきたのよ?偶然だったけれど、素晴らしい事だったわ」


父との馴れ初めや、その世界で起こった出来事を話す母はいつもより楽しそうで…そんな母を見てるのは嬉しかった。


「イリスには普通の人生を歩んで欲しい。でもこんな世の中じゃ…いつ何があるか分からない」


そう言って母はポケットからペンダントを取り出すと私の首にかけてくれた。


「16歳になったらAFの適正を測る事になるから、必ずそれを身に付けて行きなさい。…私が側に居れたら……」


「えーえふ??」


「イリスもその内学校で習うのよ?お母さんのAF、見たことあるでしょう?」


「ゆーれい!カッコいい!」


「ふふ、イリスはそっちの呼び方を覚えたのね…あの子の名前はファントムって言うのよ?」


母が極稀に乗せてくれる黒い巨人を私は好きだった。あの頃はそれが何なのかも知らなかったし、母もファントムの事を詳しく教えてはくれなかった。


いや、敢えて教えなかったのかもしれない。


それが人殺しの兵器だということを。



思えば、あの日母は最初から少し様子がおかしかったのだと思う。


まるで…自分が居なくなった後の事を見据えているような、そんな感じだった。


「お母さん…?」


「…大丈夫、それを持っていればきっと…」


最後に母は強く私を抱き締めてくれた。金属の義手とかが痛かったけれど、それでも…離れたくないと思った。


夜中だった事もあって母に抱き締められながら眠りにつく。


『イリス…………私は………ファ…トム……』


ぼんやりした意識の中で何か言われた気がしたけれど、眠気に勝てなかった私はそのまま深い眠りに落ちた。





次の日、母は仕事へと出ていったきり戻っては来なかった。


暫くして母が任務中に行方不明になった事を知らされた。


「…イリスちゃん、君のお母さん…リースは…行方不明になった」


母の上司…ダリウスさんが私の家に訪れ、私にそう告げた。


涙が止まらなかった。父に続いて母までも居なくなった、それが悲しくて泣きじゃくった私をダリウスさんは抱き締めてくれた。


「リースから常々頼まれてた。もし自分に何かあった時は…『イリスを頼みます』と」


そう言って泣きじゃくる私を抱き上げてくれたダリウスさん。


その後、様々な手続きをしながらもダリウスさんは私から離れる事なく一年間仕事を休んで一緒に過ごしてくれた。


私が落ち着いてからは仕事にも復帰したが毎日帰って来て必ず週に1日は休みを取ってくれていた。


結婚もしてないダリウスさんが私みたいな子供を育てるというのは相当大変だったと思う。


最初の頃なんて料理を覚えるといって料理教室に通ってたりもしたしね。

私もダリウスさんの負担にならないように出来る事は自分でやると決めて一生懸命色んな事を覚えた。

そうしているとあっという間に月日は経って私は学校へと入学、歳ももうすぐで16になる。


そう、もうすぐ16歳になるのだ。


他の同級生と一緒に来週AFの適正検査を受け、適正があればそのまま自分用のAFを探す事になる。


……さてそろそろ夜も遅いし、寝よう。


ふと窓から夜空を見上げると今日もまた流星が流れていった。

誤字脱字ご指摘大歓迎!確認してますが見落とし等あるかと思いますので(*^^*)

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