晴れた日。
別段理由などない。そのような感覚なのだから仕方がない。
そもそも行動に理由など必要なのかと私は思う。
食べ物を口にした時、風景を目にした時、感じる事が重要なのだ。
そしてもっと重要な事は、その感覚に従う事だ。
そうやって生きてきた。
現状に不満があるわけではない、なるべくしてなった、その時々で努力しなかった結果だ。
他人より努力せずして、羨ましがるなんて、おこがましいにも程がある。
全て自分で選んだ結果なのだ。
目覚めた時、久しぶりに熟睡できたと感じた。
普段はすぐに忘れてしまう夢も、ぼんやりとだが覚えている。
窓を開けた時、この時期にしては暖かかったのだ。
だから私は車に乗り海に来た。
日差しが温かく、塩風も心地よかった。
余計なことを考えず、波の音を聞いたのは何時ぶりだろうか。
あぁ、こんな日に死ぬ事ができれば最高だ。
一瞬、自分は何を考えているのか?と思ったが、
悪くない考えだと思えた。
さて、どう死のうかと考えたが、道具を用意してあるわけではない。
このまま海に入れば死ねるのだろうか?
あの崖まで行き、ポケットや服に詰めるだけの石を詰めて飛び降りよう。
準備が終わり、先端まで行ったところで海を眺めた。
とても美しい色合いだった。深さや潮のせいなのか、
濃艶な個所もあれば、とても透明な青色もあった。
キラキラと太陽を反射してるのを見た時、空を眺めた。
眩しかった。
私なんかが死ぬのに、こんなに空が青いのは、悪い気がした。
すこし曇って、日が陰ったら飛び出そう。
しかし、いっこうに雲がかかる事はなかった。
やがて、夕焼けへと変わり、沈んでいった。
まいったな。夕飯の準備をしてないな。
どこか途中で食べればよいか。
私は車に戻り、家へと向かった。
今日みたいな日は、次はいつ訪れるんだろうか。
そのときは、少し曇ってて欲しいな。