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第一話 [人事異動]
私は、東北にある雪深い所の生まれだ。
冬の寒い時期は、山に冬眠する熊のように食べ物を備蓄して、内職しながら過ごす。
そんな場所だからこそ、隣近所とのやり取りは大切で、助け合って過ごすから、仲間意識が強い。
私も例にもれず、仲間意識が強い方だったのだろう。
どうせ生きるなら、家族を守るためにと軍に入隊した私は、いつの間にか小隊長の地位に着いていた。
だが、前に居た大隊は全滅判定を受け、残った人員は各方面に移動した。
そして、大怪我で戦えなくなった連中も居るが、そんなやつらは全員除隊した。
もっとも、除隊した連中は、仲間を故郷に送る役目がある。
俺の手にあった遺品もすべて渡した。前の大隊での気がかりと言えば、それぐらいだ。