第十七話 大暴露飲み会
朝、屋上で煙草を毎度の如く、吸っていた。
今日は隣に綾音がいた。
やっくんから連絡が来た。
「もしもし、どったの?」
「久しぶりにまた昼から飲み会やらないか?って思ってよ」
「そういや前回は結構前だったもんな。了解。また一応、許可もらってくるわ。
「おう、場所はまたラインで送るわ」
「了解」
通話を切った。すると綾音が
「飲み会って楽しいの?」
「友達と飲む場合は楽しいかな。気兼ねなく話を出来るから」
「はふん、楽しそう。私も行きたい」
「なんでお前を連れて行かなきゃならんのだ」
「ヤダ!行くの。行きたいの」
と、駄々をこね始めた。
「・・・解ったよ。二人に聞いてみる」
俺はため息を吐きながら、ラインで綾音が来てもいいか訊いた。
やっくん、なーさんともオッケーだった。
「やっくんとな~さんはオッケーだけど、でもお前、許可もらえるのか?」
「お父さんに訊いてみる」
俺も許可をもらいに行かないといけないから、一緒に行くことにした。
ラインの通知が来た。今度の日曜に焼き鳥バカ一代。というお店らしい。割とここから近い場所だった。
所長を見つけ、声をかける。
「所長、また今度の日曜にまた昼から飲み会があるのですがお酒呑んできても良いですか?」
「あぁ、この前は世話になったからねぇ。構わないよ」
よし、これで万事オッケーだな。
「お父さん、私も飲み会っていうのに行ってみたいんだけど。行ってもいいでしょ。お願い!」
綾音が頼み込んでいた。
「ん~、まぁ、社会経験にはなるか。いいよ。行ってきなさい」
と、許可を出した。
マジかよ。綾音を連れて行くのか。俺は少ししょんぼりしていた。
そして、当日。
徒歩で最寄駅まで歩き、電車に乗って出かけた。
切符代は俺から出した。
電車内では綾音は景色を楽しんでいた。普段外出しないから新鮮なんだろうな。
こういうところはまだ子どもっぽくて少し微笑ましく感じた。
目的の駅に着くと降りて、お店へ向かった。
お店に着くと相変わらず二人が先に待っていた。
「すまん。今日は綾音がどうしても来たいって言って聞かなかったんで連れてきた」
「全然構わないよ~、むしろ可愛いしウェルカム~」
開口一番に綾音にハグをした。
「じゃあ、メンツも揃ったし中に入ろうぜ」
店内に入ってテーブル席に座る。対面にやっくん・な~さんで俺と綾音が隣同士だった。
ドリンクを注文して一斉に乾杯をする。
「やっぱり、昼から呑む酒は最高だな!ハマりそうだわ」
「そうね~、でも悪い大人になりそう~」
と、言いながらもいい呑みっぷりである。メニューを開いて食べたい物を決めていった。
「綾音も好きな物を頼んでいいからな」
と、促す。
「ここのお店、焼き鳥の中でココロがうまいらしいんだよ」
やっくんが教えてくれた。じゃあそれも頼むか。
「はふん、私食べたことない」
若干不安そうだった。
「もし食べられないなら代わりに食べてやるから一度試してみたらどうだ」
提案した。
「はふん、じゃあ食べてみる」
店員を呼んで各々好きな物・食べたい物を頼んだ。
料理が運ばれてきて、目的のココロもきた。
一口食べる。焼き加減はレアで柔らかく、ジューシーだった。
「はふん、口の中が幸せになるぅ」
綾音も気に入ったみたいだ。みんなも美味しそうに食べていた。
「この店、当たりだな」
やっくんの言葉に俺達は頷いた。
「さて、今回はい~ちゃんの近況から聞こうぜ?」
「っても仕事自体は変わらずだけどな。綾音のわがままで何度も同じ夢を見たり」
「でもい~ちゃんもなんだかんだでノリノリだったじゃない」
「俺は早く終わらせたかったんだ!」
その時の経緯を二人に話した。
「あっはっは。銃器の扱いにゲームやらせるんかよ」
「他に方法を思いつかなかったんだよ」
「まぁ~、アニメを見せるよりは効果あるかな~」
「はふん。怖かったけど、い~ちゃんがいっぱい助けてくれたの」
「その後はファンタジーな夢を見たりな」
夢の話で盛り上がっていた。
ふと、綾音が何かに気づいた。
「はふん、やっくんとな~さん、お揃いの指輪つけてる?」
「ん、あぁ、俺達付き合うことになったんだ」
やっくんは少し恥ずかしそうに答えた。
ファッションじゃなかったのね。知らなかった。
「前回の飲み会の後に~、やっくんから告白されたの~」
そういや、前回でお互い認め合ってたもんな。二人ともその後、呑んで大分酔っ払ってたけど。
「よく告白したな」
「あぁ、酔った勢いってのもあったのかもな」
ハハッと笑っていた。
「今はお互いのオススメアニメを一緒に見たりしてるの~。
そうか。それは良かったな。
「ってか、なんで付き合うことになった時に連絡くれなかったんだよ」
ちょっと拗ねた風に言った。
「本当は今日言うつもりだったんだよ。でもその前に綾音ちゃんに見抜かれちまった」
「なかなか洞察力はあるのね~。」
な~さんは綾音の頭を撫でて褒めていた。
何はともあれ、友人が付き合うのはめでたい。ここは俺が一つ奮発するか。
「じゃあ、今日は付き合った記念日ということで俺が奢るよ。給料も入ったしな」
「よ~し、じゃんじゃん呑んで食べるぞ~」
「私もめいっぱい呑んじゃおうかしら~」
「せめて多少は自重してくれ」
不安になった俺は財布の中身を確認した。三千円しか入ってなかった。
「すまん!金を下ろすの忘れてた。今からちょっと行ってくるわ」
俺は席を外して金を下ろしに外に出た。
「ねぇ~、綾音ちゃん。もうい~ちゃんには告白はしたの?」
突然の事を言われ、私はビックリしました。
「は、はふん!・・・し、したけど、はぐらされちゃった」
私は素直に答えました。
「まぁ、あいつが素直になるなんてなかなかねえもんな」
「そうねぇ~、今のままじゃ難しいかもね~」
そうなんだ。じゃあどうすればいいんだろう。二人の顔を見ました。
「酔いつぶれたら、案外素直になるかもな」
「それいいアイデアだわ~。綾音ちゃん、お姉さん達に任せなさい」
二人で何やら悪巧みを考えているようでした。
「ただいま~」
い~ちゃんが声をかけました。
「遅いよ~、バツとしてかけつけ三杯ね~」
「カッコいいところを見せろよ」
はやし立てていました。
「マジかよ。三杯はキツいって」
そう言いながらもハイペースで呑んでいました。
「くっはぁ~。これでいいか?」
「よっ、流石い~ちゃん」
「これで綾音ちゃんに格好良いところを見せられたわね~」
「なんでこいつにそんなところ見せなきゃいかんのだ」
「なんだ。まだまだ余裕って感じだな」
「ったりめえだろ!」
若干語気が強くなった気がしました。な~さんが耳打ちしてくれました。
「アレは若干酔いはじめてるのよ~」
と、教えてくれました。
その後、三人は呑み続けていました。
「それにしても、綾音ちゃん、本当に可愛いわ~」
席を立ち私の元にやってきました。
そして抱きついてきて
「お姉さんと~、イイコトしましょうか~」
顎を持ち上げて顔を近づけてきました。
その時、い~ちゃんが私を引きがして私は彼の胸元に埋もれる形になりました。
「ったく、だから綾音をそっちの道に行かそうとするんじゃねえよ」
な~さんを注意してくれました。
「ふふっ、なんだかんだ言って気になってるんじゃないの~?」
「ば~か。そんなわけあるか。綾音にそっちの道に行かないようにしてるだけだ!」
「愛されてるわね~、綾音ちゃん♪」
頭を撫でてくれました。
「そんなんじゃねえって言ってんだろ・・・」
「んもう~、まだまだ呑み足りないようね~」
店員さんを呼んでお酒を注文していました。
い~ちゃんもそれに付き合わされて大分呑んでいました。
その後も色んなお話を聞けて楽しかったのですが帰る時間となりました。
私達は二人と別れ、歩き出しました。
い~ちゃんは少し足取りが怪しく、時々千鳥足になっていました。
「くっそ~、あいつら遠慮なしに人に呑ませやがって~」
ちょっと奢ると言ったことを後悔しているようでした。
電車に乗り、最寄駅で降りるとい~ちゃんは更に酔いが回ったのかふらついていました。
帰り道も途中で立ち止まる事がありました。
「はふん、大丈夫?」
と、声をかけても
「俺は大丈夫・・・。一人ででも帰れる」
何か意地を張っているような気がしました。
以前な~さんが言っていた一線を超えないことっていうのは、一人で帰れるというところに触れちゃいけない事なんだと思いました。けど・・・。
「い~ちゃん、私もいるんだよ。甘えてとは言わないけど、少しは頼ってよ」
懇願するように言いました。すると彼は少し考えているようで
「・・・すまん」
一言だけ言いました。
「はふん、肩を貸すよ。・・・よっと」
彼の右手を右肩に乗せ、左手で腰を支えるようにして歩きました。
「い~ちゃん。あのね、ひとつだけ確認したいの。いい?」
覚悟を決めて彼に訊くことにしました。
「私のこと、子どもとしてしか見れないの?」
すると彼は、
「子どもね・・・。妹がいたらこんな感じなのかな。俺は末っ子だから解んないけど」
素直に答えてくれました。
「けど俺は、綾音の事は、一人の、女性として、見ているつもり、だけどな」
ポツリ、ポツリとでしたがハッキリと答えてくれました。
これはひょっとしてチャンスはあるんでしょうか?
そして研究所へ帰り、彼の部屋の前まで送ると
「・・・ありがとう」
ただ一言だけでしたが、初めてお礼を言われました。
私はその日は嬉しくてぬいぐるみを抱きしめ、足をバタバタさせて、なかなか寝付けないでいたのでした。
「あ~、頭いてえ」
飲みすぎたせいで軽い二日酔いになってしまった。昨日の帰る時からの記憶が全く覚えていなかった。
俺は屋上へ行くと。綾音がいた。
「おはよう、い~ちゃん」
「あぁ、おはよう」
「昨日初めてい~ちゃんにお礼言われて嬉しかった。そして一人の女性として見てるって言ってくれたことも嬉しかった」
「ちょっとまて、俺そんな事言った覚えはないぞ」
「はふん!確かに言ってたもん!」
「大声を出さないでくれ、二日酔いで頭に響く」
俺はうなだれた。記憶がないとは恐ろしい。
もう、酒はほどほどにしようと心に誓うのだった。




