「通達」
「はいはーい。今出ますよー。」
ドアが開けられていく。それがまるで走馬灯のようにゆっくりに見える。
多分今出てきているのだろう。このままではどうなるかわからない。
隠れようか?いや、それだとピンポンダッシュだと思われてしまう。
それはやっぱりだめだ。子供ならいいかもしれないが、俺とばれたら大変なことになる。
・・・・・・いよーし!そのままいよう。そうしよう。
決意すると、スローになっていた世界は急に早くなりすぐに扉は開く。
「よ、よぉ。奥見。」
「・・・・・・?誰?幼女?」
幼女?!幼児とか児童とかならわからんこともないが、幼女とか何事だ!
「まぁ、いったん上がるな。」
「え?ちょっと待って?うちの学校の生徒?・・・・・いや、でも小学生はいないはずだし。」
「うぉい、ちょっと待て?俺が誰かわからないのか?」
「うん。ごめんね・・・・・?って俺?」
まだ理解していないのだろうか?俺は俺であるがゆえに俺なのだ。
「うん・・・・・?じゃ、じゃあいったん上がってよ・・・・?」
「お、おぅ。わかったぜ。」
「つまり、君は蒼臥なんだね?」
いろんな情報をかいつまんで、親友に対していろいろと説明した。
「あぁ、その認識でオッケーだ。」
「で、いくつか質問するけどさ。なんで幼女になってんの?」
「それは俺も知らん。起きたら公園で幼くなっていたといってるだろう?」
「じゃあ、次だね。なんでここに来たの?」
「そりゃ、ここから家に帰ったとしても時間がかかるし、この体だから補導される危険性もあるしな。」
「一応、蒼臥も考えて行動してるんだね。よし、じゃあ最後の質問だよ。それ、蒼臥が小さくなったんじゃなくて、幼女だよね?」
「んなわきゃねぇだろ!これのどこが幼女だ、ぼけぇ!」
「どこからどう見ても幼女だけど?トイレで確認してみる?」
「それは・・・・・・。いやだ。」
「自覚してるじゃないか。認めちゃえば?」
「・・・・!それはいいっ!次だつぎっ!ということで、これさ。どう直せばいいと思う?」
俺はここまで思っていたが、話を進めるためにまだしていなかったこの質問をする。強かなこいつのことだ。なにか、いい案があると思っていたのだが。
「あー。それはね。多分治らないと思うよ?」
「は?いやいや、やってないうちから・・・・。って、なんで『らない』なんだ?」
こいつが治すことができないのならば治『せない』のはずだ。ということは、こいつが何かを知っていつということだな。
「うん。説明するから落ち着いてね?とりあえず、これ読んでよ。」
奴はそう言って俺に一通の手紙を差し出してくる。手紙というか、何かの連絡のような紙だな。
『この度は当選おめでとうございます。まず、今回、我々のプログラムに対してご応募いただきましてありがとうございます。また、様々な通達しなければならないことがありますのでこの後も見ていただければ幸いです。』
「特段、おかしなところはないように思えるし、俺のこの状況に対して説明になってない気がするんだけどさ。」
うん。特におかしなところはない。強いてあげるならちょっとだけ文法がおかしいところはあるにはあるがな。
「そこは単なる前文みたいなものだよ。そのあと読んでみて。」
『当選、ということで3つほどお知らせすることがございます。まず、当選の副賞として少女王をお送りいたします。これにつきましては、別紙に書いております住所まで迎えに来ていただけると幸いです。』
「お?なんか応募したのか?つーか、少女王って何?」
一切聞きなれない言葉なのだが?こいつ結構、こういうことにも応募したりするんだな。
「いやいや、応募してないよ。こんな危なさそうなのに応募するわけないでしょ?というかね、僕にも心当たりがないんだよ。」
「は?じゃあ、なんでこれが送られてきてるの?」
「・・・・・続き見てみてよ?というか、今の君が怒るとすっごいかわいいんだけど。怒られてる気がしないよ。」
『次に、選択していただきましたスキルと種族についてですがスキルについては選択があったのですが種族についての選択欄に記載がありませんので後ほど職員を派遣いたしますのでその時にお願いいたします。』
「おい、ちょっと待て。なんでこんなことが書かれてるんだ?どう見ても非現実的じゃねぇか。」
「そうなんだよねー。これ、いたずらじゃなかったんだよねー。」
「ん?いや、いたずらだろ?」
「じゃあ、続き読んでみて。というか、とっとと読んでよ。読むの遅いよ?」
『最後に謝罪なのですが、予想外に成長魂の数が足りなくなりまして急死されましたご友人様を使用させていただきます。ですが、その代わりといっては何ですが意思のない成長魂をご友人様の意思につけてお待ちしております。』
「おい、原因わかった気がするぞ。」
「よし、わかってくれたならいいよ。」
「いや、お前のせいだろが。」