「人間は吸血鬼へと化す」
俺は今、とてもダボっとした服を着ている。自分の体には合わず、横にも縦にも長い。
さて、なぜこんなことになっているかだが。
・・・・・美少女になりました。
順を追って話そう。まず、俺はとあるすごい会社の就職試験に受かってしまった。
たまたま、その年の倍率が前年より落ち込んでおり、更に募集されていた職歴が俺にぴったりだったのがプラスに働いたのだろう。
見事試験に受かったという連絡が来た後、喜び勇んで親友に連絡した。
そこからが地獄の始まりだった。
親友からの電話を切った後、会社の方に「今すぐ来てほしい」と言われて、会社に行った。
そうして会社につき、俺が配属される予定の部署に行ってみると、すぐに仕事を頼まれる。
その仕事の量は結構な量があり、その日中には終わらなかった。そうして俺は初めて”シャワー、冷暖房、生活用品完備!”といううたい文句に恐怖を覚えた。
シャワーは頭を覚ますため、冷暖房は寝ないため、生活用品は帰れなくてもいいように。ということを知ったのだ。
それから3年が経過した。この3年間で会社のほとんどのメンツは変わっていった。
それもそのはず、週5の連勤は普通で、下手すれ1か月ほどの連勤があった。老体になれば必ず持たなくなる。
鬱になったもの。病気になったもの。過労死直前までいったもの。
ストレスで来なくなった奴もいた。
それでも給料はよかったのでいくらでも補充されてくるのだ。
いつしか、たった3年で俺が最年長になっていた。
人というのは慣れる生き物だというが、慣れなければならなかった。
まだ20代前半というのに髪は真っ白。顔にはたくさんのしわが刻まれ、ほぼ死にかけの状態だった。
そうして俺は急性何とかという病気で病院に搬送され、会社を首にされた。
首、と言っても自主退職扱いだから、退職金は出る。
救い、というか会社のしたたかな点はそこにある。ちゃんとすべての給料を払うのである。サービス残業はない。
ただ、これは社員のことを考えているというよりは裁判になったとしても勝てるようにしているだけだろう。
そのおかげで入院費は一切心配する必要のない俺が言うことでもないか。
そして話は最初に戻る。
朝起きると、病院にいたはずの俺はいつの間にか公園にいた。だぶだぶの服というのは俺が病院で着ていた私服だった。
とある県のゆるキャラでみんなはあまりかわいくないというのだが、俺的にはとてもかわいいと思うのだ。
顔がほにゃっとなっていて、体はだらりーんとしている。総合するとふにゃとでもいうべき野ゆるkyらなのだが、それがとてもいい。
・・・・・っと。そんなことより、冷静に分析しようか。まず、だぶだぶの服を着ていることから、体以外はそのままというのがわかる。
だが、それにしては体に違和感がある。上半身にも、下半身にも。だが、こんなとこでいろいろ確認するのはただの変態なのでやめておこう。
身長は低くなり、体感的には小学校高学年くらいか?公園のベンチより少し高いほどなので予想より大きく違うことはないだろう。
それに応じているのか、少しはあった筋肉も今はほとんどないといってもいい。
いろいろなことに落胆しつつ歩いていると、ここが親友の家の近くの公園だということに気づく。3かいくらい来たことがあり、少しだが道は覚えている・・・・・気がしないこともない。
歩いていると、噴水があるところにつく。噴水場には冷水器もあり、飲みたくなってくる。
のどが渇いていたので水を飲もうとしたのだが、背が足りなくて断念せざるを得なかった。
いやいやあともう少しなんだよ?あと数CM。数CMなんだよ!あぁ、身長が欲しい。
「お嬢ちゃん。水を、飲みたいのかい?」
・・・・・?後ろを振り向くと。筋肉の塊がいた。