僕の小さな大冒険 9話
「ピーターパンだ!」
海賊船に警報が鳴り響いた。
僕は、船長室から空を見上げると、月に影が映っていた。
急いで甲板に駆け上がると、船は蜂の巣を突いたような大騒ぎなっていた。
「いやっほー」
ピーターが自由に空を飛び回り、ひとり、またひとりと海賊達を切り倒して行く。
その残虐で一方的な殺戮に僕は、恐怖を覚えてしまった。
「ピーターパン!勝負だ!」
フック船長が、剣を掲げピーターパンに叫んだ。
ピーターパンは、空中でにやりと笑うと船長に急降下してきた。
「船長!」
僕は、思わず叫んでしまった。
二人の剣が火花を散らすのを見て、僕はドキドキして胸が締め付けられた。
「あれ?君は。どこへ行ったのかと思ったら。こんな所にいたのか」
ピーターパンは、無邪気な笑顔を僕に向けたんだ。
「さっさと終わらせるから、一緒に行こう。仲間が待ってる」
「良く言った!お前の負けで終わらせよう」
船長の鈎爪が踊る。
「フック!僕は負けないよ!」
ピーターパンが口笛を吹くと、別の音が応えた。
カチ、カチ、カチ。
みるみる船長の顔色が青ざめていくんだ、とても不安に駆られたよ。
「ワニがくるぞ」
ピーターパンが意地悪な笑みをこぼすんだ。
どっちが悪者か分かったもんじゃ無い。
船長は、必死に留まろうとしたけど、力がどんどん抜けて行くみたいだったよ。
「錨をあげろ~!」
船長の号令で、船がゆるゆると動き始めた。
「さぁ、今のうちに!」
ピーターパンは、僕の手を取って船の縁から躍り出た。
もちろん、彼は空を飛んで僕は海へ落ちた。
「あれ?空を飛べなくなってしまったの?」
その時、僕は空を飛べなくなっている事を思い出した。
でも、ちっともイヤじゃ無かった。
それより、夜の海を遠ざかる海賊船の明かりがとても懐かしくて寂しかった。




