表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネバーランドの鬼と僕  作者: 薬売り
8/27

僕の小さな大冒険 8話

 船長が大仰に両手を広げると海賊の船員達は口々に歌った。


「愚かな子供に死の制裁を♪、夜寝ない悪い子には、永遠の眠りを♪」


 月明かりに照らされて、歌声に包まれる船長は、鳥肌が立つくらい恰好よかった。


「恐ろしい、フック船長にも慈悲はある。さあ、名も無きロストチャイルド。最後に何か願いがあるかな?」


「本が読みたい」


 なんで、そんなこと言ったのか自分でも分からなかった。


 でも、ネバーランドへ辿り着く途中で、本を読む人達を見たからなのかな?


「ほほー、遊ぶ事しか知らないバカなロストチャイルドが本を読みたいだと!?」


 海賊達からバカにした笑い声が降って来たんだ。


 くそー、バカにしているけどこの中のほとんどの海賊は、本なんか読んだ事ないのに。


「いいだろう、最後の願いだ。ついてこい」


 僕は、船長室へ連れて行かれた。


「さぁ、どれがいい?」


 船長室の壁一面の本棚に、びっしり本が並んでいる。


 僕は、自分の状況も忘れて心が踊ったんだ。


「ぜ、全部、読んでみたい」


 船長は、なぜか嬉しそうだった。


「でも、僕・・・文字が読めないんです・・・」


「覚える気があるか?」


「もちろんです!」


 僕は、すがりつくように船長を見上げた。


 なぜか、船長は笑顔だったな。


 忘れられない。


「よかろう、我が輩が、文字も礼儀作法も教えてやろう」


「ありがとう」


 本当は、敵であるはずの船長が僕に喜びを教えてくれた。


 それからしばらく僕は船長から沢山の事を教わった。


 文字や文学、数学。航海術に礼儀作法、剣術まで教えてくれた。


 まるで、自分の全てを伝えるように。


 それは、とても厳しくて優しくて。


 僕は、自分が何者か忘れてしまうくらい。


 終りは、突然やって来た。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ