僕の小さな大冒険 最終話
僕は、部屋に戻ってベットに横になったけど眠れなかった。
眠れるわけもなかった。
きっと、他の親も同じだろう。
やっと出発しても、子供が無事な保証はないんだ。
1日でも、一秒でもと心がはやる。
天井を見上げると、窓から月明かりが射し込んでいた。
何か変だ。
さっきから結構時間が経っているのに、月明かりが一点を指したままだ。
僕は、月明かりが当たる壁に近付いてみた。
今まで気がつかなかったけど、この壁、色が微妙に他と違う。
カリッと爪を立ててみると、ポロポロと簡単に剥がれた。
「やばい!こりゃ怒られる」
とっさに手を引っ込めるが、大きく表面が剥がれてしまったんだ。
こんなの妻にバレたら、怒られる。
「あれ?」
剥がれた壁の中に何かある。
さらに剥がしてみると、中にクローゼットが埋まっていた。
僕は、この中に何が入っているか何故か分かっていた。
ゆっくりと開けると、中には見覚えのある服が掛かっている。
真紅のマント、白い羽の付いた深紅の鍔広帽、そして輝くサーベルと、鈎爪。
「さすがに右手は無理だ」
僕は、懐かしい匂いに苦笑いしながら見に纏った。
僕の右手は健在なので、鈎爪は腰に着けることにした。
翌朝、僕の姿を見てスメーは泣いていた。
さぁ、行こう!
ネバーランドへ!子供たちを取り返しに!
そして、こう名乗るんだ。
僕の名は、ジェームス!ジェームス・フックだ!
次作へ、つづく




