僕の小さな大冒険 19話
「ピーターパンは、そんな悪い子じゃないわ。子供たちも絶対に戻って来ます」
「貴方は?」
「私の名前は、ウェンディ。私もネバーランドに行った事があります。そして無事に戻って来ました」
とても意外な事だった。
僕の他にもネバーランドから戻って来た子供が居たなんて。
「私の娘の名はジェーン。大掃除の時だけネバーランドへ出かけているわ」
彼女は、ピーターパンの素晴らしさ、ネバーランドの素晴らしさを唱えた。
そして、それに賛同する者もいた。
「ピーターパンが娘さんを返す保証は?お言葉ですがおありになるのですか?」
「ピーターパンは、約束したわ」
ウェンディと名乗った婦人は、胸に手を当てて暖かい思い出に浸るようでもあって、僕は胸くそ悪かった。
「ピーターパンが大掃除の時だけと時間を約束したんですか?」
「え?ええ、そうよ」
「時間の概念が無い彼が?ネバーランドに行った事がおありなら知っているでしょう?」
ウェンディの顔がみるみる青ざめていく。
「そういつかは戻ってくるでしょう。その時は何年後ですか?何十年後ですか?」
ウェンディは、わなわなと両手で顔を覆った。
彼女のリアクションは、もっともだ。ピーターパンというものを知っているなら。
「かわいそうにジェーンが戻ってくる頃には、もうお家がないかもしれないですね」




