僕の小さな大冒険 12話
ピーターパンは、朝からどこかへ冒険に飛んで行った。
お昼を少し回った頃、ジョンを見つけた。
虫の息だ。
生きているのが不思議なくらい血が出ている。
「逃げろ、逃げろ」
ジョンは、空ろな目のまま、口から血を吐きながら僕に伝えた。
「逃げろ、この国から。僕達はいつか大人になる。でもピーターは、それを許さない」
僕の目から涙がポロポロと落ちた。
生まれて初めての涙。
こんなにボロボロにされたのに、他の子を心配するジョンの優しさに。
「逃げろ!遠くへ・・・」
ごぼっと血を吐き出して、仰け反って息を引き取った。
僕は、その時ジョンの言う通りすぐに逃げるべきだった。
でも、でも。
ジョンをそのままにしておけなかった。
穴を掘って、ジョンを埋めた。
奇麗に拭いて、眠れるように。
十字架を立てた。彼を忘れないように。
「ジェームズ、何をしているんだい?」
十字架に向かって座っていると、空から声がした。
「別に・・・」
「ふーん、まぁいい。家に戻るぞ!晩御飯だ!」
もう、戻らない。
「なにか言ったかい?」
僕は、歩き出した。家とは反対方向へ。
「隊長の言う事が聞けないのか!家に帰るんだ!」
僕は、走り出した。
必死で走った。
追って来られたら、逃げ切れない。
追い付かれたら殺される。
ジョンのように。
でも、ピーターパンは追って来なかった。
僕の事より、晩御飯の方に気をとられたんだろう。
必死に走った。
そして、波の静かな入り江に辿り着いた。
そこで、懐かしい物を見た。




