表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

序文/冷たい雨

これはとても不愉快な話だ。


 これはとても不愉快な話だ。自分がただの虫籠いれものにすぎないという事実は、とてもとても胸クソの悪くなる話だ。


 この話はあんたに読んでもらうために書いてはいるが、その実、あんたそのものにはなにも伝わらないようになっている。これはむしの話だ、いや、正確に言うなら、蟲に語りかけるための話だ。あんたはきっと嫌がるだろうが、これはあんたの中にいる蟲に向かってあんたを通して語りかける為に書かれた話だ。


 この話を読むのはやめた方がいい、この話はきっとあんたの中の蟲を活性化させる。この話はきっとあんたの中にむ蟲を活性化させる。

冷たい雨


雨の日は嫌いだ。


 それは、たったそれだけの行為だった。雨が上がったばかりの街の中、たたまれた安物の傘の先端を地面から、わずかに百二十度、上に傾ける。他人の事を考えないやつなら|無意識的( ふ つ う)にやる動作ことだ。

それからかっきり三時間後、そいつはこの世とは別などっかへ行っていた。


 それは、彼にとってはささいな行為だったかもしれない。しかしかれにとっては脅威きょうい的な行為だった。安物の傘の尖った金属の先端が彼の瞳の数センチ前にあった。それは男にとって重要な行為コトだった。

『傘の先端をコッチに向けるんじゃない』

『傘の先をコッチに向けるんじゃない』

『傘の先をコッチに向けるんじゃない』

『傘の先をコッチに向けるんじゃない』

『傘の先をコッチに向けるんじゃない』

『傘の先をコッチに向けるんじゃない』

『傘の先をコッチに向けるんじゃない』

『傘の先をコッチに向けるんじゃない』

『傘の先をコッチに向けるんじゃない』

『雨の日は嫌いだ、こういう怖い行為コトを平気でするヤツが一杯だ、一杯なんだ。雨の日は嫌いだ』

トン、と背中を押された感覚がした。気がつけば、彼は相手の傘を奪い取りその傘で、男をメッタ差しにしていた。

『わかるか、わかるか、わかるか、おまえはオレにこういう恐怖を与えたんだ、身を持ってしれ、身を持ってしれ、』『雨の日は嫌いなんだ』『雨の日は嫌いなんだ』『雨の日は嫌いなんだ』『雨の日は嫌いなんだ』『雨の日は嫌いなんだ』『雨の日は嫌いなんだ』『雨の日は嫌いなんだ』『雨の日は嫌いなんだ』『雨の日は嫌いなんだ』『雨の日は嫌いなんだ』『雨の日は嫌いなんだ』『雨の日は嫌いなんだ』『雨の日は嫌いなんだ』


『雨の日は嫌い、なんだよ』


本作品はフィクションであり、実在の団体や人物等とは全くの無関係です。また、不適切な表現が混じっている場合がありますが、表現上の演出とご理解頂きたく存じます。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ