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BAD END

 とあるお墓の前に僕は来ていた。

 僕が大好きだった人がそこに眠っている。

 あの日、氷のせいでスリップしたトラックに跳ねられた少女がいたという。

 その少女の腕の中にはまだ幼い子供が抱きしめられていて、奇跡的に子供は助かったらしい。

 まるで、その子供を庇うような体勢だったという。


 「君らしいよ、ほんとに」


 いつの間にか、僕の手の平は君よりも一回りくらい大きくなってたと思う。

 身長だって、今は僕のほうが大きい。


 「そうだろ・・? ゆう」

 

 そう思ってることが、全部自分の妄想に過ぎないことを僕は知っている。


 だってそれを知ることはもう出来ないんだから。

 あの雪の降る日を境に、君の時間は止まってしまった。

 

 でも、僕の時間は止まらない。

 そっと墓石に花を供える。生前彼女が好きだった花。

 慎重だってもっと大きくなって、スポーツも勉強もゆうが驚くほどに成長してるかもしれない。


 「でもね、ゆう。一つだけ変わらないものがあるんだ」

 

 ピンク色の花びらが一つだけ舞い散る。

 あの日、ぎゅっと握った手の平を見返す。

 冬の寒い日だったのにゆうの手はすごく暖かくて。


 「たとえこの手がしわしわになっても、きっと忘れることはないよ」


 あの時、差し出した僕のわがままな手の平は、ゆうの温もりを決して忘れることはないだろう。

 

 「おーい、なにやってんだー、遅れるぞー」

 「お、わりぃ、今行く!」

 

 そうして、時間は動き出す。

 ゆうのいない時間を、僕は走り抜ける。

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