記者会見の報道により問い合わせが殺到。電話回線はパンク。お客様の問い合わせ対応のまずさが新たなクレームに発展する可能性が・・・
(26):報道対応
「今日は、この後は?」
「ニュース報道への対応です・・・社告原稿を出したうえで記者会見をしています・・・新聞社は、報道と営業は別と言っていますので、社告を出したからといって報道が配慮されるということはないでしょう。夕刊と夕方以降のテレビとラジオのニュースで流されると思います・・・その対応に掛かります」
「PSRの説明によりますと、全国ネットのニュースで流れた場合の反応は大変なものだそうです。特に、NHKのニュースへの反響はすごいようです」
「フリーダイヤルは、本日は9時までで、その旨報道してもらえると思いますが、当社直通を調べて電話を掛けてくるお客様の居られますから、それはMAMで対応しようと思っています」
「女性社員も?」
「9時以降は、幹部と男性社員で対応します
」
「特にクレームは、早く対応したいと思います」
「そのほうがいい」
「俺も、役に立たないかも知れないが、部屋に残っているよ。報道や業界に協力を求めることがあったら言ってくれ・・・」
「有難う御座います」
「テレビつけておいて!」
「伊東さん。夕方のニュースは何時から始まる?」
「フジの4時55分が一番早いです。NHKの全国ニュースは、6時です」
「記者会見が終わったのが4時頃だったからなあ。ニュース性についてどのように評価しているかによります」
「広報か宣伝から、PSR、或いは、局の営業通して放映の有無だけでも聞けないのかなあ・・・内容まで教えてくれって言わないから・・・」
「無理でしょうねえ・・・」
「広報室の宮田部長が探ってくれているようですが・・・」
「今朝、常務と経産省に届け出たとき、担当官が『NHKには放映させる・・・』って言ってたから、7時のニュースでは何らかの報道があると思う」
「記者会見には、テレビカメラも入ったのでしょう?」
「ああ。在京6社に配信2社・・・まあ、主要どころ全社だ・・・」
「プレスリリース資料でニュース性あると判断されたのでしょうか?・・・」
「それほど衝撃的ではないと思うけどなあ」
「最近、記者会見が上手くいかなくて不祥事に発展するケースが多いじゃないですか。それを狙ったのでしょう」
「でも、今日は問題なかったのでしょう?平尾さん」
「うん。石塚社長がほとんど応対されたが、全く問題なかったと思う・・・少し、意地悪い質問もあったけど、問題なかったと思う・
・・というか、どちらかと言うと、常務も芦田さんも、有川さんもきちんと応対して、俺なんか・・・こんな問題起こした商品企画担当が言ってはいけないけど、きちんと対応された勉強になったというか・・・」
「ニュース始まるぞ、平尾・・・」
「出ませんでしたねえ・・・」
「ニュース性が無いということだろうか?」
「さすがに4時終了で5時に放送というほどのニュースでもないというわけでしょうか・
・・それとも単に時間的に間に合わなかったということでしょうか・・・」
「わからん・・・」
「平尾。山野には連絡したか?」
「いえ、まだ・・・」
「記者会見で、山野の名前出したから連絡入れておいて・・・それで、もし報道関係から問い合わせがあった場合の答え方について、宮田部長か伊東に聞いて、山野に教えておいてくれる・・・伊東が直接話した方がいいかも知れんなあ・・・じゃあ、平尾が記者会見の概要説明して、伊東が問い合わせの受け答えを説明してくれる?・・・頼む・・・」
「了解しました」
「記者会見で、山野電機の名前を出したのですか?」
「ああ。協力会社の件の質問があった・・・
余計なことを話すこともないけど、余計なことを隠して『隠蔽体質の問題』といったような痛くない腹を探られて問題を大きくしたり手間が掛かかるようなことになってもつまらないとう判断だ・・・ということですよね常務」
「ああ。隠す理由も隠すほどのこともない。だいいち業界では皆知っているから、少し調べればわかる・・・」
「ただ、山野が受け答えを間違うとまずいので、その辺りきっちりしておいてくれる」
「あの会社・・・報道対応なんて慣れてないだろうから・・・それに、ちょっと脇が甘いところあるから・・・」
「はい了解しました」
「じゃあ、5時台の民放のニュースは、伊東のところにチームで見て放映されたら呼んでくれる?・・・ビデオは?」
「我々広報チームでも撮っていますが、PSRがNHKと民放全国各地のニュースを撮ってくれています。注意するような内容があれば知らせてくれますし、DVDにまとめてくれます」
「OK。次は、NHKの6時のニュースの時に集まろう」
「部長は出来るだけライブで確認して欲しい」
「了解しました」
「石川部長!平尾です。シンセンではお手数お掛けしました」
「いえいえ、こちらこそお手数お掛けしました。自分のところの工場のことなのに、何から何まで御社におんぶに抱っこで・・・。これじゃあ、やっぱり下請けから脱皮できていないと改めて反省しました。中川が指示して
品質管理の清水課長と若手3人が今日シンセンに向かいました。自分たちも何かしないといけないと思って・・・」
「ああ、そうですか。ご対応お願いします」
「はい、Xさんの指示に即対応できるようにします」
「・・・電話したのは・・・今日、正式に経済産業省に、回収の届出をして報道発表を行い記者会見を行いました」
「ご苦労さまです」
「それで、今後そちらにも各方面から問い合わせが来るかも知れません。御社と当社の受け答えが違ってつまらぬ問題となってはまずいですから・・・」
「特に、難しいことを発表されましたか?」
「いえいえ、発表したことは、起こった事実、現在わかっていることだけです・・・」
「なるほど、では、ありのまま答えれば良いわけですね」
「石川さん・・・そのありのまま答えるというのが結構難しいわけです。過不足なく、誤解を生まないように的確に説明しなくてはいけないわけです」
「・・・」
「報道関係、記者の皆さんを悪く言っているわけではないのですが、中には非常に厳しい人もいますので、言葉の行き違いからこちらの意図しない方向に話が進んでいって事実と異なる広報になってしまって想定外の問題に発展するようなことがあってはまずいと言うことです」
「なるほど、難しいものですね・・・」
「危機管理は、慎重を期さなければなりません。その辺りが甘くて発生した問題を大きくして不祥事に発展させてしまった企業があります・・・というか、最近の不祥事は、その危機管理の甘さから起こったものがほとんどです」
「で、どのように対応したら良いですか?」
「広報担当を決めて下さい」
「うちは、広報と言っても、総務の中に担当者はいますが、会社案内やホームページを何年かに一度作ったり、日常的にはそのメンテナンスをしているだけで、報道と言っても、地元紙の取材を受ける社内の手配をしているだけですから・・・」
「・・・総務の広報で対応するのではなくて、
今回の事態を一番理解している人間で広報チームを組んで広報情報を一元化して対応願いたいのです」
「平尾部長の方で、何か、提案かアイデアかはありますか?」
「こういった体制はどうでしょう?・・・窓口は、やはり応対に慣れている営業にお願いして石川部長にご対応頂く。それで、生産技術的な質問は、石川部長でも対応できるでしょうが、やはり技術的なことは、専門の技術担当が技術的な受け答えで対応したほうが記者の心象も違うかと思います」
「私一人では答えきれないこともあるかと思、いますので体制組んだ方が良いと思います」
「品質管理の中川部長・・・現場的な質問の対応を考えると清水課長が良いかもしれませんね・・・設計に関しては、渋川部長に対応頂ければ良いのではないでしょうか・・・」
「3人だけですか?」
「ええ、担当者は絞らないと情報を統一できません。説明のニュアンスが違って、こちらの思いとは別にあいまいな対応と取られるようなことになってはまずいですから・・・」
「3人はいつも会社にいないとまずいわけですね?」
「・・・誰かおいででしょう?・・・電話の前で張り付いている必要はなく、報道関係からの問い合わせがあった時の受け答えをする担当が決まっていれば良いわけです・・・御三人がいない時は、折り返し連絡する旨を伝えればいいわけですから・・・」
「それなら問題ないですね・・・今、あれやこれやで3人とも結構バタバタしているものですから・・・」
「プレスリリース資料を送りましたけれど、ご覧頂けましたか?」
「ええ、見ました。事実だけがシンプルに書かれてわかりやすい内容でした。あれなら、記者さん達にも理解し易いでしょう。質問もあまり来ないのではないでしょうか?」
「・・・回収に至った製造に関して、御社のこと、御社の品質管理体制、当社との製造委託の関係、責任問題・・・細かいことまで、御社の見解を聞いてくるかもしれません」
「責任って言ったって・・・どう答えるのですか・・・当社は御社に対して責任あるとは思っていますが、言わば黒子の製造委託メーカーとしては、社会的問題に至った責任を理解していますが、御社が市場や社会に対して謝罪されている横からしゃしゃり出るわけにはいかないでしょう?・・・」
「・・・答えにくい質問があったら、広く一般的に答えておいて、詳しくは後ほど回答するようにして、こちらに確認して下さい」
「わかりました。そのようにします」
「とにかく、どのような内容になるかはわかりませんが、6時前のニュースから取り上げられると思いますので、幹部の皆様は確認して下さい。NHKの7時のニュースには確実に取り上げられると思います。ライブで確認して下さい」
「わかりました」
「社長は、今日はそちらに居られますか?」
「はい、いるはずです」
「ニュースは必ず見るようにお伝え下さい」
「はい」
「常務にも社長にも今回の件についてまだ何もお伺いしていませんが・・・先週に松本がお伺いした時にもお会いできなかったようですし・・・」
「ええ、出張で不在だったもので・・・大変失礼したと申しておりました・・・それに・
・・とにかく不良の原因をはっきりさせて、回収にはXさんに全社あげて協力するように申しております・・・近々にそちらにご挨拶にお伺いすると思います」
「挨拶って?・・・とにかく、夕方のニュースは確認するようにして下さい」
「はい。必ず皆で確認します」
「何でトップで来たんだ?」
「他にニュースはないの?」
「特になかったようですね・・・ニュース性があったということでしょうか」
「企業の不祥事続きの中で、人気商品の不良が原因で火災事故発生、そして回収となると社会的問題でニュース性があるということだろう」
「記者会見の様子も長かったですね」
「社長が出たからなあ・・・石塚社長は、いい意味で売れているからなあ」
「これまでは、イノベーション、高品質で業績を上げて、規制緩和やなんかで政府の委員会に出て業界の代表者で、いい意味で評価されて、業績も良くて、まっとうな経営者として世間的にも評価されているからなあ・・・
」
「その経営者の企業で失態があって、記者会見に出てきた・・・これまで、大手企業の経営者が記者の追及で以外にもろいところ見せたから、今度もどうなるかって、意地悪な期待感もあるってのも、報道の本音の一部ではないのかなあ」
「でも、社長はさすがでしたねえ・・・」
「まあねえ・・・石塚さんらしい対応だったよね・・・腹据えて、真正面から対応する・
・・」
「だから概して好意的な内容だったよね。強い非難で視聴者を刺激するような内容もなかった・・・」
「ああ、でも、それが気に食わないって人もいて、『絶対何か隠しているに違いないから、自分が暴いてやる』ってクレームしてくる人もいるから気をつけないと・・・」
「コールセンターの状況はどうかな?確認してくれる?」
「どう?」
「・・・大変な状況みたいです。6時前の最初のニュースでフリーダイヤルが案内されると電話が次々に鳴り出してあっとの間に東京がフル稼働になったようです。米沢のコールセンターは少し余裕があったようですが、それでも100本の回線で空いているのが10本程度のようです」
「お前どうやってそれぞれのセンターに連絡したの?・・・携帯で?」
「そうです・・・が、てんやわんやっていうか混乱していまして、課長のXXもあわてていました・・・やはり、NHKのニュースが一番すごくって、空きがひとつもない状況だったようです」
「おい、7時のニュースって、視聴率というより、視聴者数で圧倒的だろう・・・全国ネットで・・・対応できるか?」
「民放のニュースは重なりません」
「9時は?」
「ニュース番組が重なるのは、10時です。ニュースステーションとNHKと平行してます」
「コールセンターは、9時までだろう?」
「それでも掛けてきた人に対応する?」
「やってないって言っておいて実はやってましたっていう対応は、サービスに差が出てまずいだろう・・・」
「でも、こういう事態ですから、臨機応変に対応したっていうことは理解されるでしょう」
「そう思うけどねえ」
「コールセンターが開いてないからって代表電話に掛けてくる人っていますかね」
「いるだろう・・・」
「どういう体制になっていたっけ?」
「今、各事業部各担当直通になっていますので、会社代表の回線も少なく交換手も数名しかいません。今日は、残業で9時までいてもらって、リコールの問い合わせは、コールセンターに回してもらうことになっています」
「各事業部の代表電話は、交換手ではなくて各総務か庶務に直接だろう?」
「残業で対応してもらい、同じくコールセンターに転送してもらっています・・・さっき、芦田さんが説明されていましたよ」
「すまない。ちょっと聞き逃していた・・・
で、9時以降はどうなる?」
「留守番電話状態で、明日の営業時間をテープで案内します」
「サービスセンターも同じ体制?」
「そうです」
「MAMの代表も同じ?」
「そうです」
「代表以外にも電話帳登録してある番号ある?」
「それはありません」
「じゃ、そこに集中するな」
「代表や他の事業部が閉まっているのは言い訳が立つ・・・苦しいけど何とか説明がつくかもしれないが、MAMにはこういう事態で誰か社に居るのがわかっているのに居留守をするってのはまずくないか?反対に誰もいないと思われて、この事態の問題をわかっていないと思われてもまずい・・・」
「コールセンターのオペレーターは残業できない?」
「派遣会社の手配ですから急には・・・」
「それに女性のオペレーターがほとんどです」
「MAMの社員で対応するか?」
「そうせざるを得ないんじゃない?」
「だよねえ・・・MAMの代表調べて掛けてくる人ってどれ位いるかわからないけど、そうやって調べてきて、回収担当部署の電話がつれなかったら怒るよねえ・・・」
「青木部長!平尾部長!MAMの電話は開けておいたほうがいいのじゃないですか?」
「うん」
「常務と芦田さんは?」
「常務の部屋でニュースを確認してるんじゃないですか!」
「じゃあ、説明しよう・・・」
「おい。男は全員残れ、場合によったら徹夜だ!」
「常務・・・」
「今、芦田と決めたんだが、MAMの電話は開けておこう・・・で、我々で対応する」
「どれ位掛かってくるか、或いは杞憂でかかってこないかも知れない。でも、留守電話まずいだろう・・・で、常務と相談してMAMAの代表電話は開けておこうということになった。9時以降の状況にもよるが、掛かってくる状況によって、女性は、深夜残業も良いのかもしれないけど、10時で全員帰宅。その後は、担当から順番に帰宅しよう。部長と我々はここに泊まる。いい?」
「了解」
「じゃ、それ皆に流してくれる?」
「了解」
「おいおい・・・どうなってんだ。内線電話、全部鳴っているじゃないか!」
「こっちお願い・・・」
「全員、電話対応に集中してくれ!」
「フリーダイヤルじゃないから、受付票にメモして掛けなおすようにな!」
「常務もお願いします」
「OK!」
「お電話有難う御座います・・・はい、そうで御座います・・・今、どちらからお掛けでしょうか?この電話は生憎フリーダイヤルでは御座いません。お電話代が掛かるといけませんので、宜しければこちらからお掛け直しします。お電話番号をお教えいただけますでしょうか?お聞きしました内容は、本件の対応のみに使用します。私、MAM事業部の松本が承っております・・・有難う御座います
・・・それでは、すぐに掛けなおしますので
電話の前でお待ち下さい」
「・・・おいだめだ!受話器を置くと次のがすぐに掛かってくる・・・折り返し電話できないぞ!」
「常務携帯で電話してください!」
「OK!でも、この電話どうする」
「私出ます!」
「すまない」
「青木!体制を考えろ!」
「・・・」
「青木部長!電話を取る係りと掛ける係りを分けましょう!」
「電話をとって受付票を書く係り・・・それを取って電話を掛ける係り・・・分けてくれ
・・・電話を取ったもにが、お客様には、電話が立て込んでいるけれど直ぐに掛け直す旨を説明してくれ
「X社の松本でございます」
「すぐっておしゃったから電話の前で待っていたのに・・・」
「申し訳御座いません。沢山のお問い合わせを頂き回線が一杯になったものですから・・
・お待たせし申し訳御座いません」
「X社とあろうものが、随分手際が悪いなあ
・・・そんなことだからこんな問題起こすんじゃあないの?」
「誠にお恥ずかしい限りです。申し訳御座いません」
「・・・それでねえ・・・ニュースを見たのだけど、該当品を持っているようなんだ。交換してくれる」
「はい、かしこまりました。まず、お買い上げ頂きました商品が該当する製造時期のものか確認さえて頂けますでしょうか」
「ああいいよ・・・ニュースを見て確認したけど今一よくわからないんだ・・・」
「お客様。お手数ですが、商品を電話口までお持ち頂けますか?」
「いま目の前にあるよ」
「お手数お掛けします・・・充電クレードルの底の部分をご覧頂けますか?」
「底?・・・」
「大変小さい文字で恐縮ですが、弊社の社名、商品の品番、それからAC100Vといった文字が英語で書かれていると思います」
「ああ、書いてあるというより、掘り込みで表示でされているけど・・・」
「失礼しました。型掘りで表記している部分です・・・その表示部分は四角の線で囲まれていると思うのですが如何でしょう」
「ああ、底のとこね・・・ああ、書いてあるね・・・」
「その枠の下にシルバーのシールでアルファベットと数字が書いてあるものが貼ってあると思うのですが、如何でしょうか?」
「ああ、あるある、買いてあるは・・・」
「小さい字で恐縮ですが、そのアルファベットと数字を読み上げて頂けますか?」
「ああ、いいよ・・・でも、小さいなあ・・・」
「恐縮ですXYC41102・・・かなあ・・・待ってね、もう一度確認するから・・・
XYC41102」
「お客様!大変申し訳御座いませんが、いまお持ちの商品は、今回回収をお願いしております該当品で御座います」
「・・・えっ!そうなの!」
「発火が起きる可能性も御座いますので、すぐにご使用をお止め頂きますようお願い申し上げます・・・」
「よく火が出なかったなあ・・・危ないなあ」
「・・・お客様。その商品は、私どもがお引取りに伺いますので、決してお使いにならないよう保管頂きたいと思います」
「ああ、使わないよ。そんな危険なもの!」
「手前どもが委託します宅急便業者が、お伺いし該当品を回収させて頂きますとともに、良品の充電クレードルをお渡し致したいと思います・・・」
「何時?・・・何時でも家にいるわけではないからねえ・・・」
「はい。明日になると思いますが、再度弊社よりお電話を入れさせて頂きますので、ご訪問の日にちと時間のご都合をお伺いし調整させて頂きたいと思います」
「ああ、わかったよ・・・」
「誠にご不便とお手数をお掛けします」
「ところで、いいんだけど参考までに教えてくれる?・・・さっきの番号はどういう意味があるの?」
「はい、頭のアルファベットのXYCは、多頭のXが弊社で、次のYが記者会見でも発表しました製造協力会社の山野電機のイニシャルのYです。Cは、その山野電機の中国工場のCです。従いまして、弊社Xが企画開発設計をし、協力会社の山野電機の中国工場で製造する商品であることを表しております・・・次に番号ですが、41102の4は2004年を表し、次の11は11月、最後の02は第2ロットという意味です。即ち、2004年11月の第2ロットで製造された商品ということを表しています。今回回収させて頂く商品は、2004年10月から200r5年5月製造までの商品です。従いまして、お客様がお持ちの商品は、この製造期間の商品ということで該当品となります。明日の朝刊にも社告という形で掲載しますのでご確認頂けますと幸いです・・・お手数お掛けします」
「あなたアルバイトのオペレーター?それとも社員の方?」
「はい、オーデイオ事業部の松本と申します」
「声の感じから年配の感じだけど・・・幹部か窓際で苦労されているのか知らないけど・・・こんな電話対応させられているってことは苦労させられているのかな・・・」
「恐縮です・・・」
「僕は、御社の音や映像に対するこだわりやデザインが洗練されているのが好きで、テレビもラジオもステレオも御社のものばかり買って来たのですよ・・・それに、品質に対する安心感は絶対に信用していたのに・・・今回のことは本当に残念だよね・・・がっくりだよ・・・」
「ご信頼を裏切り誠に申し訳御座いません」
「今回のことをどう対するかが問題だよね・・・こういった意見は、幹部の方に伝えてね
・・・あんたの立場では言いにくいこともあるだろうから、ホームページにも書いてあげるけど・・・」
「お気遣い頂きすみません」
「とにかく、きちんと対応してね!・・・きちんとしてくれれば、Xブランドに対する忠誠は続けるから・・・お名前なんだっけ?」
「松本と申します・・・ご意見とご示唆、かしこまりました。お電話有難う御座いました。回収と商品にお手数お掛けしますが宜しくお願いします」
「常務!」
「はいよ!」
「常務は、受け取りを担当して下さい」
「OK!」
「電話を話とって受付票に記入してあの箱に入れて下さい。コールバックするチームが携帯電話で順番に掛け直していきます」
「コールセンターは?」
「東京も米沢もあふれています。本社も、大代表とMAMの代表電話は回線が一杯で、HAMとPAMにまわして協力してもらっています。問題ないですよね?」
「ああ、オーデイオ事業部総出で対応だ!」「それでも、溢れるものは、管理本部の広報にまわして対応してもらっています」
「全国ネットのテレビの力はすごいな!」
「ええ、想像以上です・・・」
「次は、9時か?MAMだけで大丈夫か?」
「21時以降のニュースでは、コールセンターは明日9時からということがアナウンスされます。フリーダイヤルは、明日のサービスについて案内します」
「おい!問題ないか?」
「あります。しくじりました・・・すみません」
「それはいいけれど・・・まず、7時のニュースにはコールセンターが対応して9時以降のニュースを見た人は明日の対応ということを消費者に理解されるか・・・それと、そうは言っても当社の電話を探して問い合わせしてくる人達がどれ位いるかだ。その対応については、MAMの男性陣で対応するということになっているが、数的に問題ないか?」
「それに、そういった場合はクレーム的なものが多いと思います」
「応対が難しいなあ・・・2次クレームに発展しないようにしないといけない」
「社内援軍を頼みます?」
「・・・コールセンターの体制は今変更できないだろう?」
「派遣契約ですから、手続き的には男性だけ契約し直さなければいけません。あとから書類で対応も可能ですが、手続き的には、派遣業者との関係の中で、下請け法、労働者派遣法の絡みがあって、コンプライアンスの問題が出てきます」
「つまらないミスで副次的な問題を発生させて不祥事なんて言われたくない。ここは、シンプルにいこう・・・社員で力勝負しかないか・・・」
「そうですね・・・大丈夫でしょう」
「・・・オーデイオ事業部の男性は9時以降も残ってくれ・・・それと、管理本部の広報と庶務の電話担当も残って貰うよう頼んでくれ・・・その後の対応は、電話の掛かり具合を見て決めよう・・・内線回線への優先を確認して状況みながら体制を考えよう。それぞれの本部長と部長には私からも電話を入れるけど、まずは青木から依頼してくれ」
「了解しました」
「ユーザー消費者からの問い合わせは、フリーダイヤルからのコールセンターで、朝8時から夜9時までの12時間対応を基本とするが本社への問い合わせは、MAMで対応。状況によっては、オーデイオ事業部内HAMとPAMが協力する。それでも対応が不十分なときは、他の管理本部広報、サービス企画本部に協力を貰い、さらに援軍が必要なときには他の事業部に応援を頼む。管理本部には、庶務部には電話の交換業務があるので本社大代表への電話の係り具合により時間外対応願う・・・これをまとめて全社各本部、事業部に連絡票を流してくれ!庶務部には合わせて俺が電話入れる」
「了解しました。でも・・・電話は大丈夫ですよ・・・皆わかってくれますよ・・・」
「ああ、もちろん・・・でも、気は心ってもんだ・・・」
「9時のニュースで見たんだけど・・・なんでフリーダイヤルがつながらないんだ・・・」
「申し訳御座いません。明日朝8時からの対応となっております」
「何で?9時のニュースで報道される事を知らなかったの?大体、リコールする時は24時間体制で対応するのが企業の責任ってもんじゃないの?起こしてる問題をわかっていないんじゃない?」
「申し訳御座いません・・・」
「大したことないって思ってるんだろう!」
「いえ、決してそんなこと・・・お客様。お電話をこちらからお掛けなおし致します。頂いたお電話では電話料金も掛りますのでお掛けなおしさせて頂けますでしょうか?お電話番号頂戴できますでしょうか?」
「直ぐに掛けなおしてくれるんだろうなあ?」
「はい、直ぐに折り返し電話致します」
「名前は?」
「平尾と申します」
「部署は?」
「モバイル・オーデイオ・マーケテイング事業部の商品企画部の平尾で御座います」
「平尾さん・・・ね!・・・00―0000―0000・・・名前は梶井です・・・電話口で待ってるから・・・」
「梶井様、了解致しました。お手数お掛けいたします」
「X社の平尾で御座います」
「・・・ああ・・・それでねえ・・・僕の場合はこうやって電話がつながって説明受けることが出来たからいいけど、7時のニュースを見た人と9時のニュースを見た人間で受けるサービスに差が出るってのはおかしいんじゃない?」
「誠に申し訳ございません。発表を急いだものですから、準備不足で24時間体制を組めなかったというが実情で御座います」
「回収のような問題を起こしておきながら不誠実だよ!自分達の起こした問題の重要性を認識しているの?真剣味が感じられない」
「申し訳御座いません」
「誤るってことは、真剣みがないってことを認めるわけ?」
「決してそのようなことは・・・手落ちなところは重々あると思います・・・サービスが行き届かないところや不快な思いをさせましたことお詫び申し上げます。私どもとしましては、とにかく早く発表して当社商品をお使いのお客様での事故を防ごうと思ったというのが正直なところでして・・・」
「だったら、何としても、発表の当日は深夜でも対応するのが企業の良心というものじゃないの?・・・」
「ごもっともです・・・至りませんで申し訳御座いません」
「コールセンターだってアルバイトで対応してんだろうけど自社の社員で対応すれば24時間対応できるだろう?楽して対応しようとい思うからいけないんだよ!」
「・・・」
「コールセンター閉めたってこうやって代表電話で対応しなくてはならなくなるんだよ!」
「はい、ご指摘どおりで、現在全社で対応しておりますが追いついておりませんで、電話がつながり難い状況が続きまして、かえってご迷惑をお掛けしております・・・」
「そうだろう・・・結局そうなるんだ・・・その程度のことが想定できないんだから、X社も大したことないね・・・で、今晩は徹夜?」
「はい、そのつもりでご対応致したいと思います」
「深夜残業の問題は大丈夫?こちらが心配することないけど・・・『貧すれば鈍する』で
リコール対応でコンプライアンス違反で企業不祥事に発展したんじゃみっともないよ!」
「はい、ご示唆有難う御座います。幹部社員で対応致すべく進めております」
「・・・で、俺の商品はどうしてくれるの?明日にでも来て新品に交換してくれるの?」
「梶井様。今お手元に商品をお持ちでしょうか?」
「ああ、持っているよ」
「商品の確認をさせて下さい・・・充電クレードルの底に銘版がありますので、そこに商品の品番と製造番号が明記されておりますので確認させて下さい」
「商品の底・・・ああ、何か小さい字で彫ってあるね・・・」
「銘版の1行目にアスリートX、2行目にRCC―100という表記はありますでしょうか?」
「アスリートって、何か書いてあるけど、これ英語で書いてあるんじゃないか?・・・俺英語なんか読めないよ・・・その下は、確かに100って数字は書いてあるよ・・・こんな小さい字を見ていたら、何か目が痛くなってきたよ・・・」
「申し訳御座いません・・・では、梶井様・・・」
「いちいち名前呼ばなくてもいいよ・・・いっとくけど、俺クレーマーじゃないからな」
「いえいえ、私どもそのようには思っておりません」
「クレーマーにはそのように対応するってこと何かで読んだことあるぞ・・・」
「いえ、決して手前どもはそのように理解申し上げておりません・・・」
「俺は、お前とこの商品かったら該当品かも知れないってニュースで見て問い合わせしているだけだからな」
「ええ、ご理解申し上げております」
「ならいいけど・・・」
「・・・それで、商品の件ですけど・・・掘り込みの銘版の右下にアルミのステッカーが貼って御座いまして、そこに数字が書いてあると思いますが、その数字を確認して頂けますでしょうか・・・」
「お前、これも小さいなあ・・・読めないぞ」
「お待ち致しますので、電気スタンドの下など明るいところで一度ご覧頂けないでしょうか?」
「お前、手を掛けさせるなあ・・・」
「いかがでしようか」
「・・・良く見えないけど、04123って書いてあるんじゃないか・・・」
「有難う御座います・・・大変申し訳御座いませんが、お持ちの商品は回収させて頂く該当品と思われます・・・」
「おい、ということは火事になる恐れがあったってこと?・・・危ねえなあ・・・で、どうしてくれるの?」
「手前どもの指定業者がご都合の良い時間に引き取りに伺わせて頂き、安全が確認された新品の充電クレードルと交換させて頂きます」
「何だよ、充電器だけ交換?だいいちお前が持って来るんじゃないのか?」
「はい、申し訳御座いませんが、弊社指定の業者がお引取りするか、或いは、大変お手数ですが、お買い上げ頂いた販売店、もしくは当社商品の取り扱い店、当社支店営業所サービスセンターの窓口で対応させて頂きます」
「ふーん、お前ら本社の人間は謝らないんだ・・・業者や現場に謝らせて自分達は立派なビルでぬくぬくと過ごすんだ・・・だいいち、この電話だってどれだけ時間と手間を取らしているんだよ・・・大手ってのは勝手だよな・・・社会的責任っていったって口だけだよな!」
「・・・お手数お掛けして大変申し訳御座いません。何卒ご理解頂きご協力頂くこと伏してお願い申し上げます・・・」
「伏してっていったって、こちらからは見えないからなあ・・・」
「・・・」
「平尾さんって言ったっけ?」
「平尾で御座います」
「あんたは、どうしても来ないわけね」
「・・・大変申し訳御座いません。該当品お持ちのお客様皆様に弊社と致しまして迅速に
ご対応させて頂くにはそれぞれの地域で対応させて頂くことが良いかと思っています・・
・」
「あっそう!商品を交換すれば済むと思っているのね」
「決してそのように思っていません・・・今回のことに関する弊社と致しましてのお詫びと今後の事業展開につきまして、文章では御座いますが述べさせて頂いたものを同封させて頂いております・・・重ねて、お手数お掛けしてご協力頂いておりますことに対するお礼と致しまして、大変ささやかでありますが、
音楽ギフト券を同封しております。CD等ソフトの購入にご利用頂けたらと思います」
「ふ~ん。音楽ギフト券ねえ・・・幾らのものなの?」
「はい。ささやかですが1000円のギフト券を同封させて頂いております」
「ふ~ん・・・俺は、別にそんなものを貰おうと思ってガミガミ言っているわkじゃないんだ」
「はい。理解致しております」
「X社の商品が好きで、ブランドを信頼して色んな商品を購入してきて、結構大事に使っているのに裏切られた気持ちなんだ」
「誠にすみません・・・」
「会って聞きたいこともあるんだけど・・・」
「申し訳御座いません・・・本来ならお伺いして、お詫びの上ご説明申し上げなくてはならないところ、お恥ずかしながら手間えどもでも混乱しておりましてなかなか対応できかねることが多く恐縮です」
「危機管理があまいって言うか出来てないんじゃないの?」
「おっしゃる通りでございます・・・」
「梶井様!私のデスクの直通電話の番号をご案内申し上げますので、何かご不審な点がございましたら何時でもご連絡下さい」
「携帯の番号は教えてくれないの?」
「携帯電話は、会議や移動中はマナーモードにしております。直通電話は、私が降りますときは直ぐに出ることができますし、外出時や席を離れております時、それに営業終了後も事業部の担当者が対応させて頂きたいと思います。ご質問ある時はいつでもお電話下さい」
「・・・」
「ご遠慮なくいつでもどうぞ・・・」
「・・・ほんじゃそうするよ・・・で、交換は何時するの?」
「実は、代替品の生産手配をしておりますので、一旦ご住所電話等お預かりしたうえで、ご選択頂ける確かな日程が決まりましたら再度こちらからご連絡させて頂き、お伺いする日時を決めさせて頂くといようにさせて頂きたいと思います。本当にお手数をおかけします・・・」
「いったい何時まで待てばいいの?一両日には連絡させて頂きます。そこで日程をご案内させて頂きます」
「まあどこまでも不手際だよな・・・じゃ、連絡先言うから控えてよ!」
「はい、お願いします」
「神奈川県藤沢市・・・」
「はい、有難う御座います。明日あさってのうちに必ず弊社のほうから電話させて頂きます。ご不在のようでしたらメッセージ入れさせて頂きますし、連絡がつくまで掛けさせて頂きます」
「あんたが掛けてくるんじゃないの?」
「はい。担当から掛けさせて頂こうかと思っております」
「なんだそれ・・・わかってないなあ!」
「では、私が連絡させて頂きます」
「そうだろうよ!こうやって長々話してるんだから、あんたが掛けてくるのが普通だろ!
」
「はい。申し訳御座いません」
「それに、あんた個人情報のことについて一言も言ってないけど、個人情報を取得するときのきまりってのはⅩにはないの?」
「申し訳御座いません。頂きました個人情報は、回収させて頂きます商品の配送、ならびにその連絡以外には使用しないことお約束申し上げます・・・お預かりしました個人情報の取り扱いにつきましてのご案内をお送りする商品に同梱致しますのでご確認頂ければと思います」
「・・・ああ・・・」
「では、長くお時間頂戴し申し訳ありませんでした。一両日お待ち頂けますよう宜しくお願いします」
「・・・ああ、待っているから・・・」
「お電話有難う御座いました・・・」
「平尾さん!ご苦労さまでした」
「いええ・・・」
「怒ってました?」
「そうでもないけど・・・」
「クレーマーは手が掛かりますよねえ!」
「うん・・・でも、そんな厳しくはなかったよ。当社のファンって感じもしたよ・・・」
「でも、音楽ギフト券の話をされたら何かトーンが変わったの、聞いててわかりましたよ
・・・」
「ああ、でも、自分はそういったものを要求してんじゃないってことだと思うよ・・・何か筋を通したいって感じだったよ・・・でも
自宅まで来いってのはちょっと厳しすぎるけどなあ・・・」
「そういう人って、会うと結構大人しいんですよね」
「まあ、そおゆうな・・・悪いのはうちなんだから・・・」
「すみません」
「で、どうな感じ?ちょっと収まっているようだけど・・・で、今何時だ?」
「ニュースステーションでも取り上げられて一瞬電話が増えました。でも、今は少し減っています」
「コールセンターはどうなってるの?」
「わかりません。でも、本社は、MAMだけでなくオーデイオ三事業部と管理本部全員対応になっています。電話回線は目一杯みたいです・・・今、うち静かなら他も収まっていると思います・・・」
「難しいなあ。アウトオブコントロールだなあ」
「それぞれがその場で対応って感じでしたねえ・・・役員は、松本常務だけでなく、本部長全員手を貸してくれたみたいです」
「皆、現場主義の人達だから・・・」
「次は、十一時のニュースか?」
「NHK、民放各社ですから、また集中するでしょう・・・が、視聴数は少ないでしょう
」
「じゃ、もうひとラウンド向けてスタンバイ・・・オイオイ、女性人は帰っていいよ。もう十一時前じゃないか・・・」
「そういうわけにはいきません」
「深夜残業ってこともあるし、管理職は徹夜するんだから、今帰らないと帰れなくなるよ
」
「皆大丈夫です・・・皆さんにお茶も入れませんし、夜食も出しませんけど、十一時のニュースの対応したら帰りますから・・・」
「遠い人はもう帰って!」
「はいはい。皆終電の時間は知っています・・・大丈夫です」
「うちの部はどうなってる!」
「うちは全員いますよ!商品企画が先に帰るわけにはいかないじゃないですか・・・」
「いいから女性陣は帰っていいよ」
「また、そういう男尊女卑、女性差別する!」
「そうじゃないよ」
「うちの女性陣は、皆近くです!0時に帰りますからご心配なく・・・」
「俺と課長は残るから、係長以下も最終で帰るようにな!」
「また、そんなあ・・・我々は残りますよ」
「この感じだと十一時を乗り切ればなんとかなるから大丈夫だよ!」
「でも、そのあと反省会やって明日の体制を検討するんでしょう?明日現場で動くのは我々なんですから、今晩から参加しているほうがいいの決まってるじゃないですか・・・」
「うん、でもお前らが残ったら他の部のものも帰りづらくなるだろう・・・」
「商品企画は別ですよ・・・商品の関する問題は自分らにあると思っているでしょう?部長」
「ええ?うん。でも、お前らにはないさ・・・」
「またあ。企画責任者の自分だけにあると思ってんじゃないでしょうねえ」
「もしそうなら、我々は平尾さんに対する責任があります」
「我々の報告をもとに、部長はものづくりの管理をされているのですから・・・」
「一人で責任をとろうなんて・・・かっこよすぎます」
「そんな気はないけど・・・何かそのそのロジック、変だなあ」
「まあ、いいじゃないですか」
「十一時のニュース始まりますよ」
「でも、女性陣は、情況をみて帰ること!」
「感じ悪いわねえー」
「私達帰りますけど、始発できますからね!」
「我々が朝からスタンバイしているから、問題ないよ・・・」
「でも部長、こんな状況じゃ幾ら手があっても足らないじゃないですか・・・」
「うん、でも、長期戦になるだろうから、息切れしてもね・・・まあ、早く来ることのできる人は頼むよ・・・」
「了解!」
「終わったかな・・・」
「0時のニュース後30分位で収まりました」
「反省会しようか!」
「ええ・・・」
「常務は?」
「管理本部に行かれました」
「他の部門も付き合ってくれていたのか・・・」
「ええ、管理本部は、総務と広報が付き合ってくれています」
「徹夜で付き合ってくれているの?」
「ええ。電話回線と交換業務がありますし、
広報は、さすがに報道関係からの問い合わせはないでしょうが、ユーザーからの問い泡あわせに対応してくれています」
「あとは?・・・他の部門も付き合ってくれている?」
「サービスは、お客様相談窓口が残ってくれています。他の事業部は、9時の段階で残業していたものが対応してくれました。オーデイオ事業部は、PAMもHAMも7時のニュースの後がすごかったのでスタンバイしてくれて対応してくれました・・・十一時半を過ぎた頃から、問い合わせの電話がMAMから溢れることもなくなりましたので、常務が帰宅を指示されました。本部長も皆残っていて頂いていたようで、松本常務がお礼に回られていました。管理本部へは今行かれています」
「OK、じゃあ30分後位から始めようか・
・・買出し頼む!大会議室に飲み物、御握り、サンドイッチ用意してくれる。ちょっと休憩しながらやろう」
「何人?」
「課長、部長・・・係長も何人か残ってくれています・・・」
「帰らなかったのか?」
「手が離せなくて帰れなかったみたいです・・・」
「そうか・・・」
「誰か買出し付き合ってくれる?」
「芦田さん!いいですよ!我々が行きますから!」
「ああ・・・でも管理本部にも差し入れしたいから何人か来てくれる?」
「了解!」
「皆ごくろうさん。これ食べながらやろう・・・で、MAM以外は帰ってもらった?
「はい。管理本部の総務が最後になりました。大代表の電話は結局最後まで閉めることが出来ませんでした・・・0時に閉めました」
「交換の女性が最後まで残っていたの?」
「いえ、9時半頃に総務の男性陣と交代したようです」
「全社協力してくれて助かったな!・・・じゃあ、芦田頼む・・・」
「はい常務!・・・とにかくご苦労さん・・・混乱して最後は根性と気合で押し切った感があるが、問題を整理して明日行こう活かそう・・・課題ごとに整理して話したいが、その課題をリストアップするために、最初はフリーでディスカッションしよう・・・感想でもいいから何かないかな?」
「・・・」
「しかし、テレビの威力はすごいうですねえ・・・東京と米沢合わせて200回線が一瞬にしてパンクしたわけでしょうか?」
「足りると思っていたわけじゃないけど、発表の日程と工事の条件からあれが目一杯だったんだ」
「明日以降回線を増やす必要がありますよね」
「ああ、明日から新聞社告も入るし、雑誌の印刷媒体は、期間が長いし・・・」
「青木!どう、工事は?」
「総務と相談しますが、昨日までの感じでは、この本社ビル内はまだ100回線可能ですが、分配器の設置、コールセンター内の配線、電話機の設置、そしてオペレーターの採用と教育があります。米沢は、工事もありますが、採用が結構厳しいかと思います」
「9時以降は実際はどうなっていたの?」
「7時のニュースの反響がすごかったものですから、8時の時点で非公式に・・・公表はしないという前提でしたが、延長することとして、派遣会社に残業を依頼しました」
「急な残業は問題ないの?」
「業務一括での請負派遣ですので、我々が指揮命令はできないので、派遣会社から残業可能な人を募ってもらいました」
「契約は問題ないの?」
「ええ。基本契約に残業の場合の取り決めも入っています」
「で、何人体制でやったの?」
「派遣会社からは20人です。一応10時30分まで契約して、11時のニュースも心配だったので、さらに残業可能な人を募ってもらったところ8人残ってくれました」
「そんな少ない人数でやっていたの?」
「いえ。8時の時点での残業体制が20人しか見込めなかったので、社内で対応しなくてはと思いましたが、MAMはあのように誰も手が離せない状況だったので、サービス企画本部に応援を頼みました」
「で、結局何人?」
「途中で交代もありましたが、0時まで50人から60人で対応できました」
「最後は、サービスの人間だけ?」
「男性の派遣社員で0時までOKという方が5人いました。あとは、サービスの方で状況・・・コールセンターへの電話の掛かり方
を見ながら対応してくれました」
「有難いなあ!」
「ええ、明日にでも芦田さんから一言お願いします」
「いや。俺が行ってくるよ・・・社内に頭を下げて回るのは俺の仕事だ」
「有難う御座います。常務!」
「で、電話回線の仕組みってどうなってるの?」
「ええ・・・それはですね・・・コールセンターが満杯になるとMANの固定電話に流れるようにしてあります。それが一杯になるとその他の部署に流れるようにはしていません
。録音メッセージで『誠に申し訳御座いません・・・混んでいてつながり難い状態になっています・・・』と案内します」
「じゃあ、PAMやHAMへ何で掛かってきたの?」
「代表電話からの転送と、代表電話が掛からなくなったお客さんが番号案内で調べて直接掛けてくるパターンです」
「ええ?」
「電話番号案内には、大代表電話番号と、3事業の代表電話番号、それに国内の工場、支店、販社の代表電話番号が届け出てあります。その他の各本部は、個別の代表番号を持たずに大代表から転送することになっています。コールセンターが一杯になって、焦れたお客様が番号案内に問い合わせると、大代表が案内されます。大代表に掛かってくると、交換では、MAMへつなぐべきですが、MAMの固定電話は、コールセンターで溢れて回ってきたもので既に一杯になっていましたので管理本部の広報で受けてくれていました。しかし、広報の人数では対応できないし、報道関係からの問い合わせにも対応しなくてはいけないので、大代表への電話は、PAMとHAMの事業部で対応するようにしました。しかし、大代表の回線もすぐに満杯となり繋がり難い状況になったので、番号案内へ問い合わせたお客様が大代表の次に対応を期待したのが営業事業部のPAMとHAMで、両事業部の電話は、大代表からの転送とそれぞれの事業部の代表電話の応対に追われたようです
」
「回線の使用実績・・・時間毎ってのはわかるの?」
「総務に確認中ですが、明日になればおおよそ整理したものが出るようです」
「他もMAMみたいに、ずっと鳴りっぱなしだったの?」
「詳細確認してみませんが、かなりはっきりしていたみたいで、テレビニュースが放映されてしばらくすると増え始め、引くときは早いみたいです・・・ニュース毎にその繰り返しだったようです」
「コールセンターとMAMの回線が6時以降目一杯状態で、ニュースの放映毎に溢れたというわけか・・・その溢れ方が、時間帯、視聴率で変わったといことだろうなあ・・・」
「そんな感じです」
「今後の体制に参考になるかなあ?」
「テレビと新聞等の媒体の反応の違いがわからないし、記者会見の初日と続報でもインパクトが違うから何とも言えないよなあ・・・」
「PRSからはその辺の情報はなかったのですか?」
「いや、あった。とにかく200回線では足りないのは明らかだけど、企業、ブランド、リコールの内容といったニュース性からはまちまちで、参考データーは教えてもらったけれど、それを見ながら対応を考える余裕はなかったのは確かだ」
「とにかくできるベストの体制を目指したけど間に合わなかった・・・」
「じゃあ、じゃあ、今日の体制、結果、他事例を見れば、明日以降の体制の取り方って見えてきますね」
「ああ。でも・・・ちょっと今日はこれ以上頭が回らないって感じだよ・・・弱気だけど
」
「いやいや、みんな今日はいいよ。回線のデーターも明日にしか出ないのだから、明日もこの体制で進めながら、あさって以降の体制を明日中に考えるって感じでいいよ・・・今日は、これ食べながら感想、雑談程度の反省会をして休もう・・・ビールは用意してなくて悪いけど・・・」




