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リコール  作者: 別当勉
16/33

リコールの準備を進める「リコール対策会議」が開かれ、いよいよリコールに向けて秒読み段階に入る!

14:リコール対策会議


5月14日(土)

「平尾!ご苦労さん。朝イチのフライトで帰ってきたの?」

「いえいえ、9時の便ですので、結構ゆっくりさせてもらいました。すみません・・・」

「そんなのいいよ。午後に打ち合わせをしたかったから、昼までに帰ってくれれば良かったのに・・・それで、大阪と博多はどうだった?」

「杉江さんに有川さんから連絡があって、発火のメカニズムを聞きました。大阪のお客さんも博多のお客さんも充電回数が多いようでした。やはりトランスの短絡ですかね?」

「常務の話ではまずあのメカニズムで間違いないだろうとのことだ。それで、昨日電話で話したように香港とシンセンに行って欲しんだ。連日で悪いけど・・・」

「ええ、問題ないです」

「杉江と渡邊と一緒にいって、あのメカニズムに至る製造上の手配のミス、製造管理上の問題、製造実績の事実、現状、そして、リコール代替商品の手配について現場確認して欲しいんだ」

「事実を確認してリコールを行う事実について固めるということと、代替クレードルの手配について現場を確認してどのように進めるかを考えるのですね」

「うん、頼む。常務が言うには、山野は何か隠していて不安なところがあるって・・・」

「それは、たまりませんね。こっちは真正面から取り組んでいる時に足元から崩れるようなことがあってはたまらないですね」

「常務が、その懸念するニュアンスについて

後で話すって・・・今、社長に現状を報告している・・・」

「リコール対策会議は?」

「13時30分だ。有川に来てもらって、メカニズムの説明をしてもらう」

「お前は、午前中に、出張の準備と常務の話を確認して欲しい。チケットは、企画の誰かが手配してくれている。確認してくれる?」

「了解しました」


「常務。ご苦労様でした」

「出張続きで大変だろうかけど頼む!」

「商品企画の仕事ですから!それで、山野本社の具合はどんな感じですか?」

「それが気持悪いんだよ。今回のようなことが起これば、普通慌てるだろう?自分達でも急いで調査を進めるし、うちの米沢の調査にも立ち会だろう。そういうことがなかった。

いくらパフォーマンスが落ちたっていってもメーカーとして基本的なことだろう。それさえも出来ていなければ製造なんて回らないよね」

「ええ、そのように思います」

「業務品質が落ちても、製造不良に平然と居直るようなところまではいかないと思うんだ。

有川に聞いても、他の問題に関しては・・・度々問題が起きるというのも問題だけど、いつものように対応しているって言うんだ。今回のことは、問題が大きすぎて腰を抜かして手も足も出ないってことでもないようなんだ。それで、私の感だけど、何か隠しているんだと思う」

「彼らは、最初から発火のメカニズムを知っていた?」

「いや、それは無いと思う。有川が説明をした時、その内容が理解出来ていなかった様子だった。彼らは、変動手続きをしないで部材変更したことが問題だとわかっていて、その部材が他の商品で実績があっても設計条件が変われば品質レベルも変わるってことはエンジニアとしてわかっていて、その変更が原因で不良が発生するかもしれないということも理解しているということも、私にはわかる。しかし、その確認に積極的でないというか、動いていないのは、どういうことなんだ。それがいち担当者だけでなく、会社として動いていないのは何か事情があるのか?PL絡みで事の大きさが見えているからどうしても認めたくないのか?黙っていれば逃げ切れると思っているのかなあ?」

「そんなことはないでしょう?いずれウチの調査でもわかることでしょう?彼らは、わかるわけないと思っているのかなあ?でも、充電クレードルってそんなに難しいものじゃないからいずれ原因がわかる。実際にウチの技術は3日で解明した・・・あれは、真実の解明に至ってないってことですか?そんなことないと思いますけどねえ」

「なっ!気持悪いだろう。有川も検証試験は丁寧にするって言ってたけど・・・」

「或いは、上から・・・上って、あそこの場合、常務か社長でしょうけど、『動くな』という下命があったんですかねえ。でも、動いてはいけない理由って何でしょう?やはり、動かなければ自分達の責任が逃れる可能性がある・・・全部とは言えないまでも一部でも当社の責任に転嫁できると思っているのでしょうか?」

「製造物責任としては、社会的には当社が前面に出て責任をとるんだけど・・・山野の名前ももちろん出るだろうけど・・・それで信頼を失うのを恐れているのかなあ・・・」

「当然そういうところはあるでしょうが。最近の山野は大手家電メーカーの協力製造は既に減っています。それだけに残っている取引を大事にしたいということなのでしょうが、そういう点では、当社の比重は大きいはずですから尊重して欲しいし、しているはずですがねえ。費用を気にしているのかな?リコールの費用を当社から請求される・・・当然向うの責任ですから当社は請求するのでしょうけど・・・」

「ところがそうでもないんだ。PL保険について確認するように言った時、特にイヤな顔しなかったんだ。居直っているというか、既に決めたというか、自分達の責任に対して費用請求されたらPL保険で払えばいいというような感じなんだ。それに、あそこは、東京の工場跡地の殆どはまだ持っていて不動産利用しているから少々のお金には困らないはずなんだ」

「費用の問題でもないんだ・・・なんでしょうねえ・・・気持悪いですねえ」

「そうなんだ。我々は、正面きってお客様、市場、社会に謝罪しようとしているのだけれど、その誤っている最中に、或いは後からでも、誤った理由が違うってことが出てきたら誤ったことにはならないだろう?嘘つきながら頭さげてたのかってことになる。そうなると管理ミスという製造品質に対する信頼だけでなく、『志』に対する信頼を失うことになる」

「『生理的に嫌だ』なんて思われたら、ブランドはガタガタですよねえ?リコールだって大混乱になるでしょう。記者会見で社長は厳しい質問を受けるでしょうし、流通の協力も難しい。第一ユーザーの協力が貰えるかが一番でしょう。該当品だけでなく『当社の商品は全て悪い』ってことになる。そうなったら『雨降って地固まる』『災い転じて・・・』なんてことは吹っ飛んでしまいます」

「だろ?だから、リコールのスタート前に問題は全て把握して悪いことは全部出して体制は十分に固めておきたいんだ。それでも不慮の問題って出てくるだろうが・・・。だから気になることは全て洗い出して内容を確認しておきたい。山野が何か隠しているかも知れない懸念という問題以前に、問題が発生した現場を自分達で確認しておくのは当然のことだと思う。で、時間がない中悪いが、平尾!頼むな」

「了解です。常務がおっしゃらなくても現場へは行くつもりでしたので・・・」

「うん」


 土曜日にもかかわらず、MAMの部員は全員出勤していた。発火のメカニズムが判明したので、それについて米沢工場から有川が出張し説明することになっていた。リコールの準備で出社しているものは出席して確認するようにとの指示が芦田から出ていた。芦田にすれば、出社しているのであれば、説明を直接聞いて理解を深めておくようにとの考えであった。しかし、発火のメカニズムの理解は、今回のリコールの危機について理解し、リコールの作業の途上でしなければならない判断の際の背景となるものである。MAMの部員はその理解の重要性を認識して、説明会の始まる1時30分には、200名の部員ほぼ全員が大会議室に集まった。

 芦田の司会により会議は進められた。始めに、松本が休日にも関わらずリコールの準備を進めている部員を労った。そして、改めてお客様最優先でリコール対応することがこの危機管理には重要なこと。そのためには、逃げずに問題や課題に向き合うこと。その結果がお客様の安全を確保し、手数や面倒を軽減することにつながる。そして、そうすればX社や商品に対する信頼失墜は最小限に抑えられるだろう。さらに、本当に最後までやり抜くことによって「雨降って地固まる」「災い転じて福となす」ということが、対外的にも社内的にも実現することもある。それは、リコールだからではなく、この会社のことを思って働いてくれている日頃の皆の気持と変わることはない。従って、X社としては当然のことを当然にするだけである。だから、石塚社長を始め経営は前面に出て対応する。各事業部も協力してくれる。故に社内のことに気遣うことなく、お客様や店頭や流通で協力してくれる社外の人々を気遣ってこの仕事を進めて欲しい・・・という主旨の話をした。

 次に、有川が発火のメカニズムと不良が発生するに至った製造上の問題について説明した。製造の責任については、製造物責任上の問題は全面的に山野電機にあるだろうと言いながらも、当社側での品質検査でも発見できなかった事実と取引契約上の問題は法務担当の見解を待たねばならないということ。さらに、今回の問題は製造メーカーとしては非常にレベルの低い製造管理がもとで発生し、これについては厳しく追及しなくてはいけないが、山野電機とは、戦後に同社が創業したときからの古い付き合いなので、責任を追及するばかりでなく、その対応や今後についても考えて対応してあげなくてはいけないんじゃんないかという考えを、製造の現場の意見として付け加えた。有川の側らのテーブルで聞いていた松本と芦田もそこのところで頷いたので、会社の方針として部員に理解された。

 続いて、リコールの準備状況の報告と確認をするために、各課題の担当責任者である部長とその報告に関わる担当課長及び担当者が残り散会となったが、各自の課題を進めるための参考としたものはオブザーバーの参加となった。

 休憩を挟んで、芦川が再開を告げようと大会議室を見渡すと、参加者は休憩前と変わっていなかった。各担当の準備の進捗は、後からこの会議に参加する上司から報告と指示があるであろうが、直接に状況をつかめるのであれば確認しておこうという自主的な判断であった。それは、自分の持ち場だけをやれば良いとう指示待ち的な取り組みではなく、この業務こそリコール全体的な課題の中での自分の受け持ちの位置づけを確認しながら進めなければいけないという、仕事への取り組みとしては高いレベルのものであった。松本と芦川は手応えを感じた。不安で手探りのところはあるが、「これなら何とかなる」というような自信のようなものを感じた。有川は、三日三晩徹夜して原因をつきとめたエンジニアチームを「良くやった」と誇らしかったが、同じように真正面から労苦を厭わずリコールに取り組もうとしている姿が嬉しかった。製造と販売の一体感を感じた。それは、日頃のモノ作りでも感じる一体感とは違う、危機に対するからこそ感じるものかと思った。製造サイドにもまだまだ課題がある。この会議の様子を伝えて自分達もさらに気合を入れようと思いながら何か嬉しさがこみ上げ興奮した。

 芦田の進行で会議が進められた。

「では、リコールのアクションの順に準備状況の報告と確認、そして残る課題、新たな課題のリストアップをしていこう。最初は、リコールの届出からかな・・・これは、常務と私が経済産業省に報告することになる。経済産業省の報告要領では、事故の発生を知った時から一週間以内であるが、すでに、一昨日の12日木曜日に安全課長に面会して口頭では報告しました。正式な提出先は、商務情報政策局消費経済部製品安全課長・・・となる。報告書は2種類あって様式がある。この準備は、業務管理チームの青木のところでやってもらっている。説明してもらえるかな、青木!」

「はい。提出する報告書は、『電機用品事故等報告』と『電気用品点検・修理・回収等に関する報告』で様式一と三でそれぞれ一部提出します。提出は、Eメール或いは郵送となっていますが、お持ちになるでしょう?常務?」

「面会して提出する」

「用意できていますが、詳細を説明する資料を添付する必要があるでしょう。どうしまう芦田さん?」

「発火のメカニズムを説明する資料は一種類にしようと思う。何種類もあれば、当社とのコミュニケーションで行き違いが出て情報が撹乱する恐れもあるし、相手によって必要とする情報が違うだろうという善意でやったとしても、何か隠しているなんて思われてもまずい。もちろん社告の内容や店頭ポスター、チラシの文面は変わるであろうが基本情報が狂わないように元ネタを同じにしないといけない。やはり一種類で、記者会見でプレスリリースする広報資料に有川が先ほど説明してくれた内容を出来るだけ整理したものとしたい。記者、代理店、小売店はメカニズムについて知りたいだろうし、我々が一番伝えたくてお客様に知ってもらいたいのは、該当機種の確認方法と使用の中止だ。その辺のところをまとめた資料として欲しい。関係官庁には、製品安全課へのワンストップの報告というわけにはいかないだろうから、様式による報告書と広報資料のコピーを持ってまわって説明する。その資料原稿は、伊東のところで作るの?」

「ええ、販売促進担当のウチのチームで作ります。有川部長に説明頂きながら、プレスリリースのカバーページと添付する資料として発火のメカニズム、回収方法、当社連絡先を別紙とします。これが、プレス以外の社内外の広報の基本となります」

「当社で不具合品を出した。発火による事故の可能性がある。回収するので添付内容の社告を行う。問い合わせと回収に協力して欲しい。不具合で迷惑を掛ける上に回収作業でもお手数を賭けるが伏して協力をお願いしたいので宜しく頼む・・・というような内容になる?」

「ええ、そうです。社内の各事業部、工場、支店、関連会社、販売代理店、取り扱い販売店・・・配布を想定しているのは以上です。

この他に配布先があれば連絡下さい・・・それぞれの連絡文章を起こし、プレスリリース資料をつけて案内するということになるでしょう。その文章は、販売促進チームで用紙します。また、配布先ごとの必要枚数も合わせて連絡下さい。配布は、手渡しと郵送があるでしょうからそれも合わせて連絡下さい。原稿は、それぞれご担当に見て頂きたいと思いますが校正は一回でお願いします」

「情報資料の用意についてはこれでいい?また課題があったら質問、提案をしてくれ。次にプレスについて・・・プレスは、記者会見と媒体を使っての社告だが、これはどのようになっている?伊東!」

「管理本部の広報部にご協力頂きながらパブリック・リレーション・ストラテジー社(PRS)とともに進めています。先ず、記者会見ですが、経済産業省の記者クラブに案内したうえで記者発表と記者会見を行います。日時と場所ですが、20日金曜日、日本プレスセンタービルの日本記者クラブで、13時記者発表、15時記者会見です。記者会見に臨むに当たり、記者発表の方針、発表内容、想定問答を用意してリハーサルを行います。それで、記者会見は、石塚社長が臨まれるのでしょうか?」

「自分が出るといって聞かない。リコール対策室の責任者は私だと言っているんだけど、私じゃ軽いようだ。社長には再度確認するが、社長で準備を進めてくれ。その他の出席はどうしたら良い?もちろん私は出るが・・・」

「司会は、管理本部の広報部長の宮田さんにお願いします。詳細は、一両日にまとめますが、社長にまず謝罪とリコールの大方針について説明頂きます。常務には、対象商品の事業の概要、当該商品の販売状況、不具合品の発見からリコールに至った経緯、対象機種、メカニズム、回収方針、対象数、告知の方法

、問い合わせに対する受け入れ態勢、発火の件数、事故の発生の可能性について説明頂きます。さらに、記者からの質問に対して、方針や責任について出た場合、社長が出ている場合、全社に関わる大きな質問は、社長が子答え、事業部に関わる質問は、常務が答えるという感じでしょうか。詳細については芦田取締役にお答え頂きたいと思います。技術的なことに対する専門的な質問は、有川部長でよろしいのでしょうか?」

「ああ、有川にも出て貰う。頼むよ!」

「はい、了解しました」

「それでは、4人が出席されるという前提でシナリオを作ります。ただ、私がここで言うのも問題かも知れませんが、まだ怪我人が出たわけではないので、社長が出て直接やりとりするということもないということもPRS社では言っておりました・・・他社では、事業責任者で対応しているそうです」

「それは、広報の宮田からも聞いたが、社長としては、事故が発生していなくても『お各様の安全を保証できなくて危険に晒す』ってのは経営トップの責任といしては重く大きいということだ。自分としては自ら謝罪して説明する責任があるということだ。決意は固い。しかし、万一、その日までに事故が起きたら相当念入りな準備をして貰わなくてはならない」

「我々、販売促進チームは裏方をやりますが、他にも難しい質問が出た場合に回答を調べて作ってもらうスタッフが要ります。その時は宜しくお願いします」

「とにかくこれが実質リコールのスタートになるので、しっかり準備をしてスムーズなスタートを切れるようにしよう」

「次に社告ですが、全国紙、日経、毎日、朝日、読売、サンケイ、それに地方紙は、中日新聞、信濃毎日をはじめ全紙に社告を打ちます。場所は、第三社会面の下で一段です。ちなみに謝罪広告の場合は割引はありません。そういうものだそうです。また、当社の宣伝広告の一部にリコールのお知らせを載せたりすると割引はなくなり基本料金になるそうです。プロモーションの担当としてお恥ずかしいですが初めて知りました。どの新聞社も同じだそうです。個人的には意見がありますが当社の置かれている対場を考えれば社内といえども発言は控えます・・・雑誌は、週刊誌は、新潮、文春、朝日、毎日、現代等主要なもの全て、月刊誌は、リコールの状況が変わる場合もあるので普通利用しないようです。

商品に若者をターゲットとしたバージョンがありますので週間漫画にも出そうと思います。あと、リビング紙なんかもどうかと思い、フジサンケイリビングを検討しています。自治体が出している広報誌は、PRSなど広告代理店経由というわけにはいきませんので、個別に陳情に行かなくてはいけません。ただ、消防庁は、ひょっとすると上手く行くかも知れません。上手くいくというのは、消防庁に報告をするときに頼めば、全国の消防署の所長あてに連絡が回り、各消防署の広報活動になっけて頂くことができるかも知れません。この場合、消防署からのお知らせという形で都道府県市町村が出している広報誌に掲載される可能性があるということです。ただ、フォローは、こちらからやらなくてはいけないのですが、私は、この広報誌は結構有効かなと思います。営業のテリトリー担当者に分担してもらって陳情に行く価値は大きいと思います。それで、この記者発表と社告でリコールがスタートするのですが、夕方から夜の新聞は時間的に首都圏に限られると思いますが、テレビ、ラジオ、インターネットの報道で流される可能性があります。記者会見にテレビ取材が入って報道されるとそのインパクトは大変なものです。特にNHKの7時の全国ニュース、9時のニュース番組、民放の10時から11時台の全国ネットのニュース番組で流れると相当なインパクトがあると思います

・・・最近、企業の不祥事が多く、その対応がまた悪く、ニュース性を大きくしている傾向があります。また、発火という人の安全に関わる内容ですので、やはりニュース性がもとより高いのでテレビ取材の可能性もあります。それだけに、会見の準備が重要であることを念を押しておきます。常務!宜しいですか?」

「覚悟はできている。きちんと準備するだけだ」

「有難うございます。それで、様々な準備や対応はそういった状況を想定して進めるべきだと思います。殺到する問い合わせに答えきれないことで2次クレームになることのないように手厚い準備をするべきかと思います。手厚すぎるぐらいが良いかと思います。最近の企業の不祥事は、この辺の応対ができなく混乱が混乱を生み問題を大きくしているように思えます。従って、即応対が求められるのは、コールセンターだと思いますが、これはサービスの石本さんから説明があるかと思います。販促チームとしては、まず、ホームページへの社告のアップがあります。これは、記者発表の時間に合わせて行います。それと社内社外のレターです。社内、関連会社へは週明けから準備状況を順次イントラで流していきます。我々の準備していることが現場の営業の実態と外れていないか確認してもらい、もし、まずいことがあれば指摘してもらい対応するようにしていきます。社外は、記者発表前に連絡すべきところと発表後でよいところの2つがあると思います。事前に連絡しておかなくてはいけないのは、お客様の問い合わせ商品の回収に協力をしてもらう販売代理店、販売店です。ここへの案内をするための方法が情報管理の点で難しいと思います。早くに連絡して外部に漏れる・・・漏れるのはしょうがないでしょうが、あまりに広がり過ぎて混乱や間違った情報が流れて混乱する。インタネットでは転送が容易にされてしまう。日頃お世話になっている販売店さんを疑っては申し訳ないですが・・・それで、事前の告知は、紙で案内して・・・紙でもFAXで転送されてしまいますが、対象の範囲が違います・・・営業の皆さん、大事な取引先を疑ってしまってすみません・・・」

「そんなこと気にしなくて大丈夫だよ!」

「有難う御座います。それで、やはり事前の案内はコピーでお願いしたいと思います。内容は、リコールの原因、規模、記者発表と社告のスケジュール、当社体制、回収手順です。

この辺のところを丁寧に説明し協力をお願いするといった内容でしょうか。配布先の会社で社内回覧できるような体裁にしておくことも必要かと思います。何れにしましても、藤井部長の営業の皆さんにご確認頂いたうえで原稿を固めて印刷手配をしたいと思います。

当社から、或いは販売代理店から直接案内できない店も出てくるでしょうし、各店へ確認のためにという依頼もあると思うので、インタネットでの配信もやはり必要かと思います。インターネットを通じての配信は、記者発表と同時にホームページにアップしてその後すぐに配信します。配信すべきアドレスは、イントラのリコール対策の中の販売促進フォルダーにフォームを入れておきますので、そこにアドレス等を入れて頂き返信下さい。あと広報ポスターですが、これは、社告後デリバリーできるように手配します。店頭、公共団体、社内、関連会社、取引先にも協力頂き晴らせて頂く・・・そういったためのポスターですが、それも手配致します。部数をまとめたいと思います。販売促進チームでの準備状況は以上です。芦田さん如何でしょう?」

「ご苦労さん。広報活動としては、広く情報がいきわたるようにしたいが、正確でなくてはならない。混乱して2次クレームは避けたい。営業先への案内が神経を使うところであろうが、そこのところは藤井のチームとつめたいと思う。次は、・・・広報をスタートすると問い合わせが入る。問い合わせは、フリーダイヤル、当社及び関連会社の電話やホームページの窓口、販売代理店、販売店ってとこか?その辺の準備状況は、サービスの石本が説明してくれる?」

「はい。説明します。リコールの対象機種と数量が未だわからなかったものですから、詳細にまとめるまでは至っていませんが、まず基本はフリーダイヤルのコールセンターで受けることです。PRSから聞いた他者での経験は、例えば一般消費者向けの商品で販売履歴がほとんどない電気シェーバーの場合、商品ラインナップ全部で年間100万台の販売規模で15万台の回収をするために記者会見をしてNHKと民放数社のニュースで放映されたところ電話回線は、200回線では間に合わなかったそうです」

「間に合わないと通話中が続くの?」

「回線のセットの仕方にもよるのだそうですが、リコールのコールセンタのフリーダイヤルへの回線がパンクすると通常の回線にながれていくようにすることができます。リコールのコールセンターが満杯になったら、サービスのコールセンター、そして、一般の社内への回線へと広げていくことができます。しかし、お客様への応対は当社の社員なら問題ないと思いますが、MAMの範囲で止めておかないと、我々の事情で他事業の業務を邪魔することになりますし、電話のつながりが悪いことで各事業本来の取引先やお客様からの2次クレームを頂くことが懸念されます」

「それは、MAMだって同じだろう。サービスのコールセンターがリコールで満杯になったら通常の問い合わせを受けられずにクレームになる。MAMのオフィスで受けるのはいいけど、全部塞がってしまうと困る。社内や社外の取引先とはケイタイで連絡をとることにして固定電話へ周ってきても大丈夫かなあ」

「どれくらい回ってくるかだと思います。要するに手数の問題で、全員が問い合わせに対応してしまいますと、通常業務やリコールの手配、変更、連絡、調整っていったことが出来なくなってしまいます」

「各チームの固定電話の半分だけ回すというセットは出来ないの?」

「それは出来ないようです」

「すると、やはりリコールコールセンターで対応する前提でキャパを考えないとね。で、石本の読みはどうなの?」

「とても読めませんが、ウチのモバイルオーデイオのラインナップ中、国内の年間販売は300万台で、今回の対象がざっと16万台です。先ほどの電気シェーバーの場合と比較しますと、回収対象数はほぼ同じですが、年間販売数量は3倍ですし、アスリートZの販売累計は、120万台になりますし、モバイルオーデイオという点では、ウオーゥマンに対抗してモバイルオーデイオのコンセプトで発売してからの累計でいきますと、国内だけで5000万台を超えます。全て危ないと疑う人は少ないでしょうが、『自分のは大丈夫か?』と思って電話を掛けてくるお客様もいると思います。実際、電気シェーバーのリポートを読んでいると、そのメーカーの他の商品や他メーカーのシェーバーの問い合わせもまれではなくあったそうです。コールは、やはりテレビ報道の後が一気に増えるようで、そのメーカーは、当初100回線設置したコールセンターの電話がパンクしてオフィスの固定電話に溢れ出し、それでつながらないお客さんが、代表電話や他部門の電話を調べて掛けてきたそうですが、それがどれもクレーム状態だったそうです。それでも裁ききれなくて、即倍の200回線にして漸くなんとか凌いだそうです。テレビの報道の問い合わせは、ピークの時間は短いそうですが、それでもNHKのように毎正時のニューズで断続的に報道すると・・・これは、回収には効果があるので感謝しなくてはならないのですが、

その問い合わせの波が、断続的に続くとのことです。さらに、新聞社告は、朝刊が届く早朝から昼ぐらいまでがピークなのですが、テレビでの問い合わせのように急激に減るわけではなく、ある一定数で一日続き、数日掛かって緩やかに収まっていくそうです。オペレーターもそうですが、回線が溢れた時のために我々はスタンバイしなくてはならないので、相当な体力の消耗戦になるそうです」

「で、回線の見積もりは?」

「全くの『感』ですが、400回線で何とか間に合い500回線あれば安心というところではないでしょうか?」

「じゃ500回線で行こう。で、コールセンターをどこに設置にする?」

「500ですからね、どこか一ヶ所というのは難しいと思います。幾つかオフィスを借りて、オフィス家具や事務機器を設置して、さらに電話回線工事をする。加えてオペレーターの採用と教育を行わなければなりません。

・・・300回線で想定していたのですが、

米沢工場の生産稼動していないフロアーがありますか如何でしょう。米沢に200回線、東京に100回線と思ったのですが・・・有川部長如何ですか?」

「うん。第3の3階は空いています。この間中国移管しましたから・・・。他に、大会議室や、職場環境は悪いけれど体育館なら500人入るけれど、問題は、人だな。オフィス家具なんかは、レンタル業者が東京からでも運んでくるくるだろうけれど、オペレーターを500人集めるのはちょっと無理じゃな一かなあ」

「200人は如何でしょう?」

「簡単じゃないけど何とかなるのじゃないかなあ。ちょっと派遣会社に確認しなくてはいけないけど・・・」

「では、200回線は米沢工場ということにします。山野電機の場所を使ってとも思ったのですが、オペレーターの採用キャパもあるので米沢はもう無理ですね」

「その理由もあるけれど、山野電機のこのことに対する認識が未だ甘いので、お客様対応を彼らの管理でするのは心配だから止めよう。

うちが出向いてオペレーションを管理するとしてもパフォーマンスが下がる。手元で行うようにしよう」

「了解しました常務。では、このような体制は如何でしょう。米沢に250回線を設置して、200回線を選任オペレーター、50回線を社員が交代で対応、そして250回線を東京に設置して、200回線をこの会議室で選任オペレーターが担当し50回線を別の会議室に設置してMAMの部員が交代で対応するというのはどうでしょう。コールセンターを4ヶ所に分散することになります。社員もお客様の様子を直接聞いたほうが良いと思います」

「それで500回線か・・・社員の対応もいいんじゃないか!」

「で、実際に電話はどのように掛かってくるの?4ヶ所のコールセンターにアットランダムに掛かってくるわけ?」

「いいえ、優先順位をつけて、一つのコールセンターの回線が目一杯になってビジーになったら次のコールセンターに回すという設定がができるそうです・・・NTTの説明では

・・・この辺は、当社のシステム部でも有史以来初めてのことなので難しいみたいですが、

・・・従いまして、回線が溢れると優先順位で次のコールセンターの電話が鳴るということになります」

「で、優先順位はどうするの?」

「全ての名称は、『リコールセンターとか、リコールお客様窓口』で統一しますが、東京コールセンター、米沢コールセンター、MAMコールセンター、設計開発コールセンターの順で如何かと思います。東京の次に米沢を持ってきて、次に東京にしてさらに米沢というように交互に持ってくるのは回線管理としては複雑のようですが・・・400回線を超えたらMAM、450回線を超えたら技術開発というように回るようです」

「500を超えたら?」

「MAMの固定電話に回りますが、50人はMAMのコールセンターに配置していますから、そうなれば少しパニックというか混乱すると思います」

「MAM以外には回らないの?」

「それは止めようと思います」

「そうしてくれる?米沢を含めてMAM内で対応したい」

「固定電話が溢れたら米沢に回してくれてもいいですよ!」

「有川!それは、やめよう。設計開発の業務のペースに影響でてはまずい。事業の継続を考えたら、技術案件は別として、本当はお前らのところは、リコール業務にとらわれることなく現状の課題を進めて欲しいんだ。マーケテイングサイドが混乱しながら進んでいいことはないが、原因調査と代替品の製造手配以外は市場サイドの課題だ。マーケテイングサイドで対応させたい」

「わかりました」

「HAM部、PAM部や他の事業部、それに管理本部からも応援の申し出が来ています。東京サイドで対応の選択肢がありますので、それでお客様対応は何とかしたいと思います

「じゃ、石本のところで進めてくれる手配を確認してくれる?」

「先ず、フリーダイヤルの確定。確認出来次第伊東部長に連絡し各原稿に入れて頂きます。

コールセンターの設置は、管理本部の業務部と米沢の管理部と連携して会議室の確保、オフィス機材、電話回線の増設、電話器の設営、オペレーターの採用は、管理本部の人事に手伝ってもらいます。そのオペレーターの教育は、記者会見当日の午前中に米沢と同時になります。MAM部員へのユーザー応対のためのインストラクションは、オペレーターの教育に使うインストラクションマニュアルで行いますが、原稿が出来上がったらイントラネットに掲載しますので各自自習して頂くこととします。特別注意事項がある場合、管理職にメールを配信しますので各職場で徹底してください。サービスでの手配は以上です」

「次に各論となる。問い合わせを受けて、対象商品であった場合、どのように対応するかということ。広報、社告にどれだけ明記するかは別として、その方針と体制は明確にして準備をした上で対応しないと現場で混乱することになる。対象商品であった場合どうするか?」

「芦田さん。こんな感じではないでしょうか?回収品は確実に我々の手元に戻して廃棄の管理をしなくてはいけません。お客様の手元やお店、代理店に残して置いては安全管理が出来ません。素早く手元に集めて管理することです。その回収に当たり、良品交換するのか返金するのかということと、対象品の返品も含めての物流の問題もあります。また、これらの対応の窓口として、我々が直接行う場合も、リコールセンターが行う場合。サービス窓口が行う場合。販社が行う場合。販売店頭で行う場合・・・代理店は、お客様との直接の対応はないと思いますが、販売店のお客様対応を促進するフォローがあります。社告や記者会見での広報と連携しますけど、各論は課題がさらに細かく連携しますから、それぞれ課題を360度見渡しながら検討する必要があると思います」

「平尾!サンキュー・・・じゃ、どうしよう?流通への案内の仕方もあるけれど、お客様視点でリコールの作業をどのように進めていくかを見ながら検討しよう・・・で、記者会見の報道や社告を見たお客様は、自分はXのモバイルオーデイオを持っていると思う。品番と製造番号を確認する・・・」

「まず、基本的なパターンとして、直接当社のリコールフリーダイヤルに問い合わせてくる場合から考えましょう。この場合、テレビニュースの内容をメモを出来たお客さん、新聞社告を見ながら電話を掛けてくるお客様になります」

「先ず、『お電話有難う御座います』と申し上げて、担当者の名前を名乗りリコールについての問い合わせであることを確認する。この辺からは、こちらからの確認事項が多くなりますが、一方的にならないでお客様がお聞きになりたい様子を察知しながら応対を進めることが重要です」

「一方的にこちらから話してお客様に話す間を作らないとフラストレーションになってしまいます。あくまで、電話を頂いたことに対する感謝の気持を忘れないで応対することが重要です」

「そうですよね。こちらも手間を取らせたくないと思うから、一方的に矢継ぎ早に聞くような感じになって、お客様の方も言いたい事を言える間がなくイライラしてしまう」

「商品をお手元にあるかどうかを確認して、品番と製造番号で該当品の確認をする」

「その品番と製造番号についても、順番に場所を優しく説明しながら進めた方がいい」

「『品番と製造番号を確認します・・・』と言うように一緒に言ってしまうと、どちらが品番だか製造番号だかわからなくなってイライラさせてしまう。だから、ひとつひとつ順番に区切って確認していくことが結果的にスムーズな応対につながる」

「お客様のストレスはフリーにすること。ストレスは我々が被ること。これが大事だよ」

「なるほど・・・。で、該当品だとして、次にどうする?」

「該当品を引き取らせてもらって、交換品をお渡しするのが一番スムーズでしょう」

「該当品は、充電クレードルですよねえ?本体は含まない?」

「充電クレードルだけ。リコールの基本方針の内容になるけど、今回リコールするのは、

アスリートXの充電クレードルRCC―100であることを明確にしておかなくてはいけない。だから、回収するのも返品するのも返金するのも全てこのクレードルが基準になるということだ。常務そうですよね」

「そうだ。リコールの届出も広報も社告も、そこのところを明確にしなくてはいけない。

お客様にも、流通にも徹底しなくてはいけないが、お客様で本体ごと変えてくれと要求されたり、返金してくれと言われるお客様も出てくるかもしれない。『こんな危ない商品は使えない。持っているのもいやだ』っておっしゃる方も居るかも知れない。そんな場合は、

あくまでクレードルで徹底交渉するって立場ではないからなあ・・・でも、本体は全く問題なく安全で、クレードルの交換をお願いするってことだろう。それでもご理解頂けない場合は、コールセンターの責任者というか、サービスの責任者の石本が営業判断で対応して応じることになるということだろう」

「でも常務、その対応がネット何かで流されたら、個別対応が違うといった批判が出たり、頼めば本体も新品になるということが知れ渡って、自分のものも変えてくれって要求が殺到することはないですか?」

「うーん。私は、当社のブランドに好意を持ってお買い上げ頂いたお客様を信じたい・・

・情緒的だけど・・・。食品のように食べてしまって商品も残っていないし、買ったときのレシートもないけどって話が食品のリコールであったけど、我々の場合、手元に商品があることが前提で、該当品については、お客様の不便をお掛けせずに交換させて頂くっていう方針は強く意識して行った方が良いと思う。安易に返金の要求を受けると、信頼性に自信がないって言うような雰囲気もある。該当機種以外の返品、返金は尚更のこと受けちゃいけない。クーリングオフのような条件もないのに応対の方針をあいまいにすると、信頼性に対して疑問や疑念を抱かせるおそれがあると思う。ブランドに対する信頼性につながることだと思う。ここは、強気というのではなく、気持をしっかりと持って応対することが大事だと思う。当社を理解したうえで、リコールの方針も理解して頂けるとはずだ。

『X社はそういう会社だと・・・融通が利かないではなく、きっちりしている・・・』という風に・・・ただ、他に不良を出すようなことがあってはこのストーリーはダメだ。そこのところはバッチリ固ってなくてはいけない。商品企画と製造で他の商品のことも確認しておいてくれ。有川と平尾で頼むよ」

「はい。了解しました」

「それで、該当品をお持ちのお客様に対して不便と手数を掛けずに対応するには、迅速な商品の引き取りと代替の充電クレードルの引渡しをすることだろうけれど、その場合、代替品の手当ての問題と物流の問題があると思う。その辺はどう?米沢は、有川じゃなくて製造部の豊田統轄部長と、MAM製造の安川で対応を考えてくれているのかな。物流は、富田?」

「ええ、芦田さん。先ず製造の方ですが・・・とにかく昨日の今日で、リコール方針を勝手に想定して、米沢の豊田さんと電話で相談して、さらに今日、有川さんが豊田さんの今朝段階の示唆を持ってきて頂くださったので、先ほど少し打ち合わせた内容でしかありません。代替品の製造を幾つ用意するかですが、対象商品が16万個ですから、100%回収が目標ですから最終的にはこの数量を用意しなくてはいけませんが、回収の進捗に合わせる必要もあります。普通販売履歴のない消費財の回収には数年、いや十数年掛かるとのことですから、代替品を作り置きしたなら、その商品管理と品質管理が必要になります。初期対応がどの程度のものかということが少し読めればいいのですが・・・或いは、情緒的ですが、こういった場合は、そんな数量を読むべきではないのかもしれません」

「安川が言うように、我々は、効率を考える立場にないが、かといって全数用意することもないだろう。他社の例は誰か知ってる?」

「一般に問い合わせは殺到しますが、該当品の回収は、最初に一ヶ月で20%。断続的に社告を繰り返して50%超えるのに2年位掛かるようです。商品の正確にもよるようですが、家電製品の場合はそんな感じだそうです。ただ、先程来出ています電気シェーバーの場合、当社の場合と大体同じ数量の回収目標に対して2年で80%程度の回収をしたそうです。家電商品としてはかなり良い回収率だそうです」

「で、一方で回収開始と同時に、同時交換できる物流体制は問題ない?富田部長!」

「ええ、芦田さん。大手宅配業者に引き取りと配達を同時に手配することは可能です。その辺のところを少し打診してみたのですが、独占でやらせてもらへないかという申し出を受けています」

「大手なら全国何処でも行くの?」

「そうみたいです」

「で、製造キャパはどうなの?」

「どこで製造するかです。普通は、山野のシンセン工場で正規製造手配通りにフル製造することになりますが、今回の製造管理状況からみてそれで良いのかと?」

「米沢でやる?」

「ええ、山野電機は、当社の米沢の製造部の協力工場で、山野シンセンはその下請けという位置づけです。シンセンがダメなら、山野の米沢で製造して同価格で納品してもらうか、或いは、豊田さんの製造部で作ってもらえば品質も納期も全く安心ですが・・・」

「コストは高くなるが、この際コストは関係ないし、いずれ山野に請求することになる。

有川!どう思う?」

「金型は中国にありますし、その他パーツの手配は全て香港と中国手配になっています。

成型パーツを日本に持ってきて、電子部品を日本国内手配が出来たとしても、品質管理は大変な手間になります。成型パーツの選別、電子パーツの変更ですから5M変動手続きから対応しなくてはいけません。山野の本工場でもウチでやっても同じです。それに、山野としましても孤剣に掛けても自分達に挽回させてくれと主張すると思います」

「そんなこと言えた義理じゃないですよねえ」

「まあ、そうなんだけど・・・。ただ、代替品の手配から言うと、山野シンセンでの手配が一番早いのは確かで、あとは品質管理をどうするかが問題だ・・・」

「トランスとウレタンのポッテイング材は即納できますかねえ?」

「それもある。しかし、私が思うには、ベストウエイは、山野シンセンでアセンブルさせるが、我々の製造と品質管理が立ち会うことにする。部品の納品から出荷まで全て管理する。それで、米沢に納品してもらって再度検品する。山野は自分達の米沢本工場で検品すると主張すると思うが・・・でも、シンセンで我々が立ち会う限り品質保証の責任が当社側に来る。その保証を裏付けるためにも米沢で当社の品質プロセスを通す必要がある」

「我々のシンセン工場では問題ですか?」

「同系統のUSBクレードルを作っているから問題ないと言い切れるけど、こういう場合だから、人が居て全ての体制が整っている米沢でやるのが良いと私は思うんだけど・・・

常務、どう思います?」

「うん、有川の案で行こう。今製造ラインを変更するのは、品質面からも製造手配面からも得策ではないけど現場の製造管理と品質管理が不安だ。そこは、こちらが立ち入って管理しよう。しかし、それだって臨時の対応だから米沢で再度品質プロセスを通して全数検査して出荷しよう。品質保証については、シンセンの生産へのっ立会いは、あくまでアドバイス、支援、監査ということを山野に理解してもらわないとまた品質が出ないことになる。そうなると米沢での作業が混乱する。米沢の作業は、山野シンセンの生産品の納品時の受け入れ検査と同時に我々の出荷検査で、通常よりレベルを上げて行うというスタンスで行こう」

「わかりました」

「で、明日から平尾、設計の杉江部長、製造設計の皆川課長に香港とシンセンに出張してもらう。目的は、不具合のメカニズムに至った製造管理の不手際の確認を現場で検証してもらう。現場で確認しないと今一不安だ。幾ら我々の検査で裏づけが取れたとしても、何でそんなことが現場で起きたのか確認しておきたい。内容がシンプルすぎて・・・お粗末すぎることが返って問題の根が深いのではないかと心配だ・・・不良部品の購入数、使用数、在庫数とその現在の管理。今後の製造の問題・・

・それを確認してもらう。さらに、代替品の製造準備と課題についても調べて欲しい」

「そのためには、米沢から二人では大変ですから、豊田さんにも行ってもらおうかと思います。人選は、豊田さんに任せますが、私のところのメンバーが必要なら、品質管理でも購買でも出します」

「ああ、その方がいいな。私から連絡しよう。3人は、明日の最終便?」

「そうです」

「じゃ、彼らも大変だけど、席が空いてるかもあるけど、対応してもらおう」

「問題ないと思います。スタンバイしているはずです」

「それで、代替品の製造だけど、納期について有川はどう思う?」

「今晩から規格品の部品の調達だけは進めておいて、明日の晩に彼らが香港に入って、月曜から現場確認しながら製造の下準備をして

・・・ラインは止めたままでしょうから、部品の管理と組み立て管理を確認して当社の立会い体制を考える作業を火曜日の夕方までに終える。そして、その体制をこちらへ連絡してくれて派遣の準備をして出発するとなると木曜発で金曜から製造準備に入ることになります。記者会見の日になります。そうなると生産したものから順次米沢へ送り検査をして出荷したとしても、初日500個から数量を挙げて日産4000個まで上げて通産で20000個に到達するのに1週間、さらに40000個まではあと5日か掛かります。感覚ですけど・・・リコールの発表から1週間は、引き取りと代替品の同時交換は難しいかと思います」

「USB充電だけなら他の充電クレードルでできます。その間はそれで代用して頂きますか?」

「そのお客様には再度お届けするっていうこと?」

「そうです」

「充電できないから使えないっていうクレームはないか!」

「急速充電に慣れた人には不便だけど・・・」

「その在庫はあるの?」

「あります。しかし、付属品としての在庫はそんなにありません。販社も極わずかしか在庫を持っていませんから・・・あるのは、本体とのセット組みするための製品仕掛在庫です」

「それを使うと、他のシリーズが欠品するおそれがある?」

「ええ」

「リコール発表を1週間遅らせることは出来ませんか?常務!」

「いや、それは出来ない」

「代替品の生産をもう少し早められない?」

「芦田さん。それなら、商品設計、製造設計、購買、品質管理の担当者で生産管理部隊を組んで送りましょう。先発体の報告を待たずに見込みで送ります。さすがに明日というわけには行きませんが、月曜の最終で香港に向かわせます。火曜日にシンセンに入り現場確認して人員が足りなければ追加で送ればいい。

しかし、生産管理の基本セットで派遣すれば問題ないと思います。その体制で管理しきれないほどの課題があるときは、山野シンセンでの対応は無理だと思います」

「よしわかった。不具合品と代替品の交換はその体制で行うことを基本としよう。これが商品手配のベストウエイだろう。常務、如何ですか?」

「ベストウエイだけどそれだって簡単な作業ではない。製造課題で求めるのはここが限度かなと思う。これ以上を求めると無理が生じてリスクも高まる。米沢の皆には頑張ってもらって完璧にこなして貰おう。芦田!これを機軸に対応をシュミレーションしよう」

「ここからは、営業課題だ。この対応でも恐らく最初の1週間は、代替品が間に合わない

のは明白だ。で、どうする」

「言い方は悪いけれど1週間をどのように乗り切るかだよね」

「1週間後には代替品を送る旨を説明して待って頂く」

「半数の人、いや殆どの人は待って頂けると思う。ただ、単に『しょうがない』と思う人と、『不便だ』と不満を持ちつ理解する人がいるだろうなあ」

「最初は、理解はしても、しばらくして本体の充電池が切れて不便が出てくると不満が生じてきてクレームになる・・・或いは、もう2度と当社の商品は買わないという風にブランドに対する不信感を持つ」

「そこまで行くかなあ?・・・行っても16万人の数パーセントだろう?」

「でも、それはブランド商売じゃまずいんじゃないかなあ?」

「わかるけど・・・」

「回収は1週間後?」

「いや、即やった方がいい。手元にあって、不便を感じて『1回位大丈夫だろう』って使って不具合が出て事故になったんじゃ、何のためのリコールかわからない」

「最初の1週間は回収に専念する・・・」

「せっかく引き取りに行くのだから・・・宅急便のドライバーかも知れないが、せっかくのお客さんとの接点なのに何か出来ないかなあ」

「メッセージを渡す?」

「それは必要だろう。宅急便のドライバーだって応対はしっかりしているだろうが、当社からのメッセージは必要だろう」

「別料金になります」

「代替品との交換もせずに別料金かあ・・・もったいないなあ」

「この場合、その程度のコストにとらわれている場合じゃないんじゃない?」

「そういうことを言っているではなくて、当社の社告に気づいて、自分の商品を確認してフリーダイヤルに問い合わせてくれてお客様に対してのせっかくの接点だから有効に使いたい・・・使えないかなって思うわけ。メッセージもいいけど、もう一歩踏み込んで『我我の『申し訳ない』って気持とか、『お問い合わせ頂き有難う御座います』って気持ち、それに『今回はご迷惑をお掛け致しましたが今後とも宜しくお願いします』っていう、そういった気持ちをもう少し強く伝えることが出来ないかなって思うわけです』

「電話料金もフリーダイヤルだから掛かってないし・・・粗品をつける?キーホルダーやボールペンじゃ形式的で返って気持を逆なでするんじゃないかなあ。当社商品を買えるクーポンとかバウチャーとか?」

「あっ、それいいじゃない?或いは、図書券とか音楽ギフト券とか」

「音楽ギフト券はいいんじゃない」

「で、お渡しする対象は?当初代替品をお渡しできないお客様?それとも該当機種をお持ちの方全員?」

「うーん。当初1週間位のそういった方には当然お渡しするべきだろうが、それでごまかしているって思われないだろうか?」

「金額の問題だろうな。500円じゃそう思われても仕方ない。千円?いや、2千円かなあ」

「問題は、1週間の不便の補償とブランドの信頼性の回復というか、メンテナンスの可能性につながるかということだと思うんだ」

「USB充電クレードルを貸し出すとして物理的に可能なの?正確な在庫は確認してくれていると思うけどざっと1万は供出できるの

?」

「仕掛在庫は、今月の製造分、海外向けも含めれば10万個はありますが、リコールの問い合わせ状況を見ながら仕掛から抜いて対応するのは生産管理上やりたくないですよね。やるのであれば、最初から1万個なり2万個を見積もって、生産品の受注アロケーション(配分)から機種ごとに除外して対応するというやり方がいいかと思います」

「そのUSBクレードルは貸し出しですよね。

代替の充電クレードルが出来てお持ちするときに返してもらうわけですよね。それは、どうしますか?全数廃棄ですか?検品して再生作業して良品として製品に組み込むのでしょうか?個装箱は、お貸し出しの時には必要ないでしょうが、取り扱い説明書はお渡ししなくてはいけないでしょう。コストは数円ですが・・・。1週間では、充電残量がある方は実際には使わないかもしれない。それでも。1週間後に引き取ったあちは全て検品しなくてはいけないし、傷や汚れが認められるものの外装ケースは交換しなくてはいけない。部品コストは大したことはありませんが、ハンドリング費用は大変なものです。外観に問題ないものは、表面を拭くといった作業をすることになります。そして品質検査にまわして

良品として扱うのでしょう。生産管理上は問題ないでしょうし、再生も通常やっていることですから問題ないのかも知れませんが・・

・情緒的で申し訳ないですが・・・どうもちょっと引っ掛かってしまうのです。製造管理上も品質管理上も真正な良品でありますが、最初のパーツ一つから完成まで一期に正規ラインで組み立てられた製品とは違うような感じがして・・・こんなこと言えば、当社の製造や品質管理、品質保証、ブランド価値を否定することになってしまいますが・・・情緒的な発言ですみません」

「USB接続で使えば問題ないのですから、その使い方を説明して1週間気を使って待ってもらう」

「リコールの本質をはずれない?」

「そうですよね。それなら修理対応って話も出てくる。しかし、当社のサービス体制で対応は現実的じゃない」

「1週間に本当に必要な人だけでに貸し出すことでは如何でしょう」

「フリーダイヤルのオペレーターに説明させる?」

「ええ、それぐらい出来るでしょう。ちょっと応対が長くなりますが・・・」

「いろいろ出たけど、誰かちょっとまとめた意見を言ってくれる?平尾、どう?」

「ええ、こんな感じは如何でしょう・・・基本はあくまで充電クレードルの交換で対応する。同時交換が出来るまでは、日数を伝え不便を掛けることを詫びてお待ち頂くことを願う。ただ、当社ショールーム、サービスセンター、店頭デモ機のある店へ来ていただければ充電サービスを提供する。最寄の場所は、該当品の引き取りの時にコピーでご案内する。そのことをフリーダイヤルへお問い合わせ頂いた時に説明しお願いする。やはり不便は困るというお客様には、急速充電は出来ない旨を説明の上貸し出しする。引き取りは、お客様に手を煩わせないことを基本とする。当初の1週間は引き取りだけで代替品の配達に再度伺うことになります。そして同時交換の場合は1回の訪問ですみませが、何れの場合も希望の時間帯に訪問し引き取り商品のパッキング、包装は一切不要とする。引き取り訪問時は、該当品かを確認したうえで商品を預かり当社からのメールを手渡す。そのメールには社長名でお詫びとリコールの呼び掛けにご協力に対する謝辞を書いたコピーと音楽ギフト券を同封する。その金額は、同時交換できないお客様には2000円、同時交換のお客様には1000円で如何でしょう。これは、やはり傷ついたブランドのメンテナンスのたねに必要と思います。徹底したリコール対応で信頼も得られるとは思いますが、でも言ってみればそれは製造者の責任としては当然のことで、わざわざご連絡して頂いたお客様には何かプラスアルファをするべきだと思います。それで、お問い合わせ頂いた時のやりとりの最後に、ささやかだけどご協力頂いた御礼として音楽ギフト券を同封したことはさらりとお伝えして電話のエンデイングとする。というのはどうでしょう。一言言っておかないと、メールを開けないで捨てる人もいるかもしれませんし、訪問時やその後のやりとりが必要なときにもスムーズに進められると思います。しかし、それは、あくまで副次的なもので、主な目的は当社の感謝です。情緒的すぎるかもしれませんが・・・。金額は、500円ではささやか過ぎてケチってこの程度で済ますのかと・・・お客を甘く見ているのではないかと思われて逆効果だと思います。

2000円のギフト券をお渡しするお客様の中でUSBクレードルをお貸しするお客様と交換の充電クレードルをお待ち頂けるお客様が同額のはどうかということもありますが、ここで細かく差をつけて、そのことが露見して不便を感じて厳しい意見を持っているお客様の気分をさらに害することになってもまずいと思います」

「その反対はない?」

「ええありますよね。そうすると、ウルサク言われたからUSBクレードルを貸し出すというのではなく、そういう対応もあるけど、1週間お待ち頂けないでしょうか。ご足労掛けますが最寄のサービスステーションかお店で充電のサービスはもちろん致します。満充電していただけると通常使用で40時間お使いなれます。という説明の仕方が必要ですよね」

「皆は、この対応をどう思う?営業部隊はどう?流通でも理解得られる内容だと思う?藤井の意見を聞かせてくれる?」

「ええ、これを基本として対応するのが良いと思います。ホームページでの対応、販売店へ直接持ち込まれた時、当社サービスセンターへ直接持ち込まれた時、など引取り方、交換品の渡し方、コミュニケーションに差が出てきますが、該当品の顧客管理をきちんとして、後からでも社長名のメールと粗品の音楽ギフト券がきっちりお届けできるように管理できれば、我々の謝罪と協力頂いたことに対する感謝はご協力頂いたお客様に平等にお伝えすることが出来るのでいいんじゃないかと思います。代理店、販売店に対しても、当社の方針と対応について具体的に協力を依頼することが出来ます。ただ、販売店によっては協力費を販促援助金のような形で求めてくるところはあると思います」

「大手量販?」

「ええ、幾つかは・・・」

「代理店は、そんなことないよね」

「当然ありません」

「常務。費用の見積もりはしますが、この対応は妥当だと思います。これを基本に未確定なことを確認しながら、プレスリリース、記者会見問答集、店頭ポスター、コールセンターの応対マニュアル、社内連絡、販売店、代理店への連絡内容と連絡の実施要領、物流対応などの詳細を固められます。この基本れでいきたいと思います。如何ですか」

「ああ、いいと思う。未だ気づいていないケースもまだまだあるだろうから、今のを基本対応にして、お客様に不公平感が出ないようにシュミレーションをして対応をまとめて欲しい。それと費用についてだが、お客様の生命と財産の安全を最優先にどのような手を打つべきかを考えて欲しい。費用に捉われてそういったことを犠牲にすることは絶対にないようにして欲しい。効果を考えて対応すれば自ずと過剰な対応や無駄な費用の発生は防げる。個別の費用管理は、業務管理の青木のところでやっているので、各担当でまとめた上で相談や報告をして欲しい。それと、リコールに関わる費用は、当社はもちろんリコール保険に入っているが、PL保険で支払われる範囲は、お客様に万一被害が出た場合の補償に対して支払われるが、こういったリコールに関わる費用はカバーされていない。そういった内容の保険契約もあるが保険料が非常に高いので入っていない。しかし、それ以前に製造物責任は何処かという問題があり、その責任を持つところが費用を負担すべきである。今回のリコールに至る法的責任が何処にあるのかということで、山野電機にあれば山野さんに費用は持ってもらわなくてはいけないし、当社にあれば当社が負担しなくてはいけない。しかし、仮に山野電機の責任であったとしても、それは当社と山野との間のことであってお客様への責任は当社にある。当社の商品が原因起きた不法行為は当社が責任を持って果たさなければならない。その不法行為の原因が我々の落ち度であるなら我々が負担しなければならないということで、山野電機の落ち度であれば山野さんに相談しなくてはいけない。但し、仮にそうであっても感情的になってはいけない。諸君達管理職は問題ないと思うが、若い社員には気をつけて欲しい。あちらにも若い社員がいる。今回の件で商品企画や仕入れ購買以外にも山野電機との連絡で接点を持つ者が増えるだろうけど、このことには気をつけて欲しい。感情的な仕事で上手くいくはずはない。こういうことだからこそ冷静に進めて欲しい。責任は責任できちんとしたいと思う。安川工場長にも連絡しておくけど、米沢工場は、日常的にやりとりが頻繁だから気をつけるように・・・有川、現場での対応は頼むよ!」

「了解しました」

「それでは、リコールを進める方針と大きな流れが確認できたと思うので、個別の課題についての進め方も見えたと思う。各担当及び担当間で連絡を取り合いながら進めて欲しい。

時間は限られているけど、メンバーの体調も見てチームワークで対応して欲しい。宜しく頼む」

「芦田、有川、平尾はちょっと残ってくれ」



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