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幼馴染の魔女と、彼女の願う夢

第四回小説祭り参加作品

テーマ:魔法

※参加作品一覧は後書きにあります

 夕食を食べ終えた後、自分の部屋の扉を開けたら、一人の少女が窓枠に座りながらこちらに手を振ってきた。


「やあ、しずく


 一瞬、意識が明後日の方向に行きそうになる。俺はそれを強引に引き止め、そっと扉を閉めた。


「ち、ちょっと。それは酷くない? もっと久しぶりの再会に喜ぶとか、そんなリアクションは無いのかい?」


 扉越しに空の慌てた声が聞こえる。俺が再会に喜ぶとか、本当に思っているのだろうか


「なら、勝手に他人の家(ひと)に入って来んな。そもそも、何で窓の戸締りしたのに入ってこれる」


「それは魔法でちょちょいと?」


 彼女はきょとんとした表情で、当たり前の様にそんな事を言う。そこには悪気も悪意も全く見えない。……だからこそ、指摘はしても怒る事は出来なかった。




 彼女の名前は空、俺の幼馴染だ。癖っ毛のある、少し色素の薄めな髪の毛をヘアゴムで縛り、男装をそこそこ着こなしている少女である。だけど、俺は空の苗字も住んでいる家の住所も知らない。そもそも彼女が何者かすらも分からない。だから、幼馴染といってもその関係は微妙なものだ。


 昔から、たまに俺の部屋の窓から侵入しては漫画を読んだり、外で遊びにつきあわされたりした後、気のままに帰っていく。それだけ書くのなら、ただのお隣さん系幼馴染じゃないかと言われるかもしれないが、……俺の部屋、三階な上に隣に窓から侵入できそうな手頃な高さの家や樹木、雨どいすらない。


 一度、じゃあどうやって入ってきたんだ。そう、空を問い詰めた時、彼女が放った言葉は、ただ一言――。


「――僕、魔女だから」


 彼女は自分のことを魔女だと言ったのだ。


 俺は空のことがよく分からない。何故、彼女が魔女と名乗るのか。何故、俺になんかちょっかいをかけるのか。ここ最近現れなかったくせに、何でまたちょっかいをかけに来たのか。現在の俺は受験生で、自由気ままな空なんかにかまっている暇なんてない。だが、部屋の中に侵入を許してしまっているから、顔を合わせないわけにはいかなかった。


 部屋の中に戻ってきた俺を、空は足をぷらぷらさせながら出迎える。外履きは、俺の部屋が土で汚れてしまわないように手で持っていた。そんな配慮が出来るなら勝手に入ってくるなと言いたい。


「前にも言ったでしょ? 僕は魔女なの。この程度の窓なんて僕には簡単に開けられるから。長い付き合いなんだから、いい加減諦めなよ」


 空はそんなことを当たり前のように言う。……魔女が本当だったとして、不法侵入に使うなんてもったいないような気がする。


「信じてないからな。……それはそうと、空。今日は何しに来たんだ?」


「あ、そうそう。忘れるところだった。




 ――僕、魔女をやめることにしたんだ」




「ふぅん、で?」


 正直、空が魔女をやめることに興味なんてない。この返答以外にこたえようがない。


「割と重要な事言ったのだけどな……。嬉しくないの? 迷惑掛けているはずのに」


 俺は、空にビニール袋を渡し、靴を入れるように促す。彼女はそれに従った後、大げさに窓枠から飛び降りて、俺の部屋に着地した。結んだポニーテールが小さく揺れる。


 俺は勉強の続きをしながら、空を適当にあしらっていく。迷惑かけている自覚あったのかよ、と内心で突っ込みは入れておくが。


「興味ないし、いきなり現れなければこっちも気が楽だ」


「……そっか。で、本題はここからなんだけど。魔女としての最後の大仕事に、滴の願い事を叶えようと思うんだ」


 空は本棚から前回来た時読んでいたマンガの続きを取り出し、俺のベッドの上にクッションを置いて、そこに腰かける。あのマンガは結構前から、空が気に入っていたものだ。


「はあ、何でまた……」


 本題の件だが、やはり空の言うことは訳が分からない。百歩譲って彼女が魔女だとして、何故俺の願いを叶えようとするのだろうか?


「別にいいでしょ? 最後くらい魔女っぽい事をやってもいいじゃないか。ただ、僕が叶えられる願い事は本当に小さなことだけ。例えば、君が行きたい大学に合格させてくれとかはできない」


「言うわけないだろ。自分の力で合格できなければ意味無いんだよ。こういうのは」


「滴なら言うと思った。だから、タイムリミットを合格発表の1週間後としよう。それまでに僕に叶えてほしい願いを考えてほしい。それまで、僕も滴の受験勉強を手伝おうと思う」


 意外な提案を空は切り出した。空は事あるごとに俺にちょっかいをかけに来るような奴だが、ああ見えて頭が良い。テスト前に来た時は、半ばあちらから無理やり気味に勉強を教えてもらったこともある。……それで成績が上がって、こうして志望校に手が届きそうになっているので、そこだけは空に感謝しなければならない。


「それで君はどの大学に進学したいと思っているのかな?」


 突然、背後に現れた空が肩越しから俺の机を覗き込もうとする。ちょっと待て。今、立つ気配を見せなかったぞ。


「瞬間移動」


「いや、それ、たった数十センチの距離を縮めるために使うような代物じゃないだろ。て言うか、重いから背中に乗っかるな!」


「別にいいでしょ? 減るものじゃないし。それで、君はどこを目指しているのかな~」


 俺の机が空の目に入った途端、空の動きが止まる。どうやら何かを考えている様子だ。俺に体重が掛っているから余計に重い。


「……ふ~ん。その参考書なら、僕の家にもあるから今度持ってきてあげるよ。でも、その前に。レディに『重い』なんて失礼」


 すぐにいつもの空に戻ると今度はそんな事を言ってきた。


「まあ、空の参考書を見せてくれるのはありがたい。そして、レディ発言は自分の服装を見てから言え」


 男装しているのに自分をレディと呼ぶのはどうなのだろうか。別に否定はしないが、それってあべこべではないのか少し疑問に思う。……そういえば、俺は空の普通の私腹を見たことがない。顔が整っているから、女の子らしい服はすごく似合うと思うのだが。


「空は女性らしい服は着ないのか?」


「いつもは着てるよ。こういう服を着ているのは君の前だけ。…………。――あ、今の無し。忘れて」


 つい口から出てきたようで、珍しく動揺する空。いつもは着ているのなら何で俺の前では男装しているんだ? 聞いても答えてはくれないだろうが。


「今日はこれくらいにしておくよ。今度来た時の用意もしなくちゃいけなくなったしね」


 空は窓を開けると、再び縁に腰をおろした。もう帰るつもりのようだ。


「次からは普通に玄関から来てくれ。俺の親と会ったことあるんだし。態々不法侵入するくらいなら、玄関から入ったほうが俺としては助かるんだが」


「有難いけど……断っておくよ。突然現れたほうが、反応が面白いしね」


 言い終えると、彼女は窓から身を投げ出した。


 俺は窓の下を覗き、下に空がいないことを確認すると窓を閉めて再び鍵を閉めた。恐らく、落ちた途中でどこかに移動したのだろう。最初はさすがに心配したが、もう何度も目撃しているから慣れてしまった。心臓には悪いが。


 ……手伝ってくれるというのなら、その行為は無下にできない。絶対に受かって見せるさ。




 数日後、いつものように彼女はやってきた。今度は何冊かの参考書を持ちながら。ノートもいくつか持ってきている辺り、彼女も勉強するようだ。


「そこは、ここをこの文章とこの文章を使って説明するんだよ」


「成程。現国は苦手だから助かるよ」


 空の説明は丁寧で、分かりやすい。彼女の書く文字は女の子らしい丸文字ではなく、綺麗に整っているのでとても読みやすかった。習字などを習っていたのかもしれない。また、理解力も高く。


「空、ここの計算間違えてる」


「本当だ、直しておくよ。ありがとう」


 数学などは少し計算式を示すだけで、大体察してくれるのでこちらもやりやすい。普段は適当にしているが、集中している時の空の立ち振る舞いや、鉛筆の動き一つとっても俺と同い年に思えないほど洗練されているように見える。


「そういえば、空は俺と同い年なんだよな」


「? 何か気になる事でもあるのかい」


「空は受験勉強はしないのか?」


「さあ、どうだろうね。滴とは別の方法で受験しているかもしれないし、受験すらしてないかもしれない。そこは君が好きに考えてくれて構わないよ」


 そう彼女ははぐらかそうとするが、あまりにも不自然すぎる。


「それ、まったくはぐらかせてないからな。どこかの大学に入ったら、連絡をくれよ」


「……そうだね。ほら、手が止まっているじゃないか。話すのはいいけど手は動かす事」


 この日。この瞬間、彼女が少しだけ悲しそうな表情をしていたのが印象に残った。もしかすると、


 そうして、時はどんどんと過ぎ、合格発表の日――。




「……で、何で着いてきたんだよ。空」


「べ、別にいいじゃないか。君の受験結果が少し気になっただけだよ」


 空の笑顔が何処か引きつっている。俺より緊張している気がする。


 受験票、筆箱、財布、その他諸々を鞄に詰め込み、自分の部屋を出る。空は外から降りて玄関で待っているようだ。彼女はいつもの服装で、バッグなどを持っている様子は無い。違う点をあげるとするならば、マフラーを首に巻いていることぐらいだ。


 他愛もない話をしながら、電車に乗り大学へ向かう。そこまで家から遠いわけではない、時間的にも費用的にも負担がかからず、なおか俺の目指していた大学である。そんな事よりも未だに俺よりも表情の硬い空の事が気になって仕方がない。緊張するくらいなら自分の大学の結果を見に行けばいいのだが。服装と荷物を見る限り、今向かう大学とは別の大学なはずだ。


 改札口を降り徒歩十分程度で大学に辿り着いた。大学の校内は受験生で溢れかえっており、流石に歩きにくい。


 空がはぐれていないかふと横に目をやると、既に彼女は姿を消していた。人の波に呑まれたか、波に巻き込まれない様に魔法とやらで自分から姿を消したか……、どちらかは知らないけれど別に放っといてもいずれひょっこりと現れるだろう。


「きゃっ!」


「おっと」


 そんな事を考えていたのがいけなかったのか、近くを歩いていた日傘を差した少女とぶつかってしまった。分かれ道で、お互いの進む方向が交差してしまったのも原因だろう。


 ぶつかったひょうしに、少女の手から何か大きな物が落ちる。拾い上げてみると、それは現国の参考書だった。かなり使いこんでいるのか、所々すれてしまっている。だが、丁寧に使われた事が良く分かった。


「落としましたよ」


 少女に参考書を差し出すと、可能性はそれを少しためらいながらも受け取った。


「あ、ありがとうございます」


「よく使いこまれてますね、その参考書」


 何でこんな事を聞いているのだろうか。自分でもよく分からないまま、俺は彼女に話しかけていた。


「え、ええ。これは御守りみたいなものなのです。持っていればきっと受かるような……そんな気がするのですわ」


 今時珍しい話し方をする人だったが、知り合いに男っぽい喋り方をする空がいるから気にはならなかった。


「そうですか、受かるといいですね」


「貴方も受かるといいですね。それでは、時間がありませんので」


 そう言って彼女は俺とは別の分かれ道へ歩いて行ってしまった。


「滴、何してるんだい? 君の学部はこっちだよねー!」


 いつの間にか道の先の方に空がいた。先に行ってしまったから見失ったらしい。


「というか、先に行くなよ。はしゃぎすぎだろ」


 駆け足で空に追いつくと空は笑って話してくる。


「遅い滴が悪いだけさ。それに、僕は他人から見えなくなる魔法をかけているからね。ここまで来るのは簡単だったよ」


「それだったら、電車に乗る時、端末はいらないんじゃ……」


「いくら魔法で姿を消せるからって、そういうずるい事はしてはいけないんだ。それくらいわかるだろう? そんなことよりさ、君の名前はあるかい?」


 俺は番号の張り出されたホワイトボードを眺める。少し時間がかかったが、俺の受験番号を見つける事が出来た。


「……あった。あった!」


 その言葉に、空が俺の受験票を覗き込み、ホワイトボードから俺の番号を探していく。


「本当だ、あった! 良かったね、空!」


 その番号が見つかった時、空はパッと笑顔になる。そして、番号を指さして俺以上に喜んでくれた。


「ああ、良かった……。ありがとな、空。受験勉強を手伝ってくれて」


「暇なときに空に教えてただけだよ。それに……これで心おきなく君の願いを聞けるしね」


 そうだった、空は合格発表の1週間後までに願い事を考えてきてほしいと言ってきたのだった。しかし、俺は未だに何も思いつかない。とくに叶えて欲しいものなんて、無かったからだ。


「一週間後、また君に会いにくるよ。その時までに……本当に考えてきてね」


「あ、ああ……。考えておくよ」


 俺はそれしか返す事が出来なかった。


 帰り道、お互いに話しかける事が出来ず、無言で最寄り駅に着いてしまう。


「じゃあ、僕はこれで失礼するね」


「ああ、また一週間後」


「それじゃあ。――……あれ?」


 手を振った空だったが、その後すぐに首をかしげてしまった。


「どうかしたのか?」


「いや……。うん、何でもない。それじゃあ今度こそ、またね」


 一瞬だけ感所は苦笑いを浮かべた後、恥ずかしそうに走って帰ってしまった。どうしたんだろう。




 そして、一週間後。遂にその日が来た。だけど、俺はまだ何も思いついていなかった。


 朝食をとって自分の部屋に戻った時、そこにはいつものように、空がそこにいた。いつもより不安そうな顔をしている。


「おはよう。タイムリミットだよ、君の願い事を聞きに来た。これで僕が会えるのはたぶん最後だからね」


「ちょっと待て、会えるのがたぶん最後ってどういうことだ」


 空は最後の方にとんでもない事を言ってきた。会えるのが最後ってどういうことだ、魔法を使わなくなるから?


「言葉の通りだよ。もうすぐ僕は魔法を使わなくなる。二度と使わない決心をするんだ。だからもうここへ来ることはできない。そもそも、この家の場所を知ったのは、この前の合格発表の日だったんだ」


「じゃあ、何故俺の部屋に入ってこれた。場所が分からなければ、来ることもできないだろう?」


 その問いに対して彼女は苦笑いで応えた。


「魔法って便利だよね。場所が分からなくても、君の所へ行きたいと思ったらここへ来る事が出来た。でも、それももう終わりだ。もう、都合よく夢だけ見る時間は終わったんだ。だから、最後に君の願いを叶えたい。時間もないんだ、だから、早く!」


「そんな事をいきなり言われても困る。今まで、いくら考えても思いつかなかったんだ。何も……、だけど、こんなのはあんまりだろう。もっと早く言ってくれれば……」


「言って、どうなるんだ!」


 空が俺の言葉を叫んで遮った。


「……ごめん。でも、最後まで話すつもりは無かったんだ。だけど、何でかな。この前から自分の口に戸が立てられないみたいでさ。つい君に伝えようとしてしまったんだ。それで結局は言ってしまった。……本当にもう時間がないの。本当に何でもいいから、願いを言ってはくれないかな」


 彼女は俺に自分の腕を見せる。彼女の腕は薄く、消えかかっていた。時間がないとはこういう事なのだろう。


 本当に悲しそうな彼女を見て、俺は察した。ああ、会えなくなるのが辛いのは、何よりも彼女じゃないか。10年近く、一緒に遊んだり、バカに付き合わされたりしたんだから、それは当然だ。俺もいやいやながらも結局空を拒絶しなかったように。


「だけど、やっぱり思いつかな……あ。なあ、空。本当のお前ってどんな奴なんだ。それを聞かせてくれよ」


 ちょっとした直感だった。何がきっかけだったかは俺にも分からない。でも、確かに空は俺に何かを隠している事は知っていた。


「僕の事を知りたい……。それで本当にいいのかい?」


「ああ、そして空を絶対に見つけて、もう一度親友になってやる」


 彼女は後ろを振り向き、空を見上げながらため息をひとつつくと、いつもの定位置――窓の淵に座った。


「……まさか、ね。うん、いいよ。僕の――いいえ、私の事、時間の許す限り教えてあげる。でもそれこそ数分だけだよ?」


 私口調に変わったところをみると、それが本当の彼女の話し方なのだろう。


「数分間だけなのな。まあ、大丈夫だ」


 彼女は着きものが落ちたような表情を俺に向けた後、ゆっくりと話し始めた。


「じゃあ、何で私が君の家に現れたか。単純に言うとね、君が羨ましかったんだ」


「……は?」


 意味が分からない。何で俺なんかを羨ましいなんて思ったのか。空の方が頭も良かったじゃないか。


「本当の私はね、とても体が弱いの。だから、窓の外で遊んでいる子供たちを羨ましそうに眺めていた。そして、ある日。いつものように窓を見つめていたら、外にいた男の子がこっちに気付いたの。私も手を振ったんだけど、遠すぎて話す事も出来なかった。……だから私は魔法で『僕』を作って、男の子として君に会いに行くことを決めたの」


 そんな、小さな事で、俺に会いに来たのか。そんな事、俺が覚えているわけないだろう……。でも、空にとってはそれが何よりも嬉しかった出来事だったのか。


 彼女の姿がさらに薄くなっている気がする。魔法のタイムリミットを迎えつつあるのか。


「魔法を使えるようになったのは本当鬼偶然で……。覚えた時、何で魔法が存在するのかを知った。本当に叶えたい願いがある時、人は魔法を使えるようになるんだって。私は皆と一緒に遊べるようになりたかった。あのときは叶えられなかった夢だけど、滴と遊ぶことで希望が持てた。今はね、激しい動きをしなければ、外で遊べるようになったんだよ?」


「だから、俺に会いに来てたのか……。ただ、誰かと遊びたい。ただそれだけで」


「うん、あの家はもう売り払っちゃったし、君は私の苗字を知らない。それにね、魔法には制約があって……、自分の事を何か秘密にしないと願いは絶対に叶えられなくなるんだ。私は、私の正体を秘密にした。ここまでは言えたけどこれ以上はたぶん話せないから。それにもう、時間だしね――」


 もう半分以上、彼女の姿は消えていた。時間はほとんど残っていない。何かを、伝えなければ。


「もう一度だけ言う。絶対に俺は、空を見つける。そしてもう一度友達になるさ。また、今度は他の人も含めてバカなことやったり、色んな事を楽しもうぜ。前みたいに一方的に押し付けたりしないでさ」


「そうだね、そうなったらいいな。ありがとう――」


 最後にそう言って、空は姿を消した。






 ――入学式が少し過ぎて、俺は大学生活を満喫していた。もちろん、空の事は忘れてはいない。ちょっとずつ探す範囲を広げながら、会いに行けるのを楽しみにしている。


 そういえば、彼女の進んだ大学はどこなのだろう。あの様子では大学に勧めたかどうかは分からないけれど、きっと聡明な彼女なら大学に進学しているはずだ。そこで何らかの理由で有名になれば……俺の目にと舞うこともあるかもしれない。


 でも、その前に俺は目の前の事を楽しもう。きっといつもの俺と、空は友達になりたいはずだから。


 正門に向かった時、日傘をさした少女を見つけた。彼女もどうやら合格する事が出来たみたいだ。俺は彼女に会釈をして通り過ぎる。彼女も軽く手を振って返してくれた。


 だけど――、彼女の呟いた言葉を、その時の俺は知らなかった。






「いつか……会える日を楽しみにしていますわ。滴」

 書き終わったのが、投稿時間ぎりぎりという……次は余裕を持ってやりたいと思います。……ちょっと見直すので細かい所が変わるかもしれません。


 ……ブランクとかなり長い話になってしまったのが文章力を引っ張りに引っ張ってしまっている……。




第四回小説祭り参加作品一覧(敬称略)

作者:靉靆

作品:煌く離宮の輪舞曲(http://ncode.syosetu.com/n4331cm/)


作者:東雲 さち

作品:愛の魔法は欲しくない(http://ncode.syosetu.com/n2610cm/)


作者:立花詩歌

作品:世界構築魔法ノススメ(http://ncode.syosetu.com/n3388cm/)


作者:あすぎめむい

作品:幼馴染の魔女と、彼女の願う夢(http://ncode.syosetu.com/n3524cm/)


作者:電式

作品:黒水晶の瞳(http://ncode.syosetu.com/n3723cm/)


作者:三河 悟

作品:戦闘要塞-魔法少女?ムサシ-(http://ncode.syosetu.com/n3928cm)


作者:長月シイタ

作品:記憶の片隅のとある戦争(http://ncode.syosetu.com/n3766cm/)


作者:月倉 蒼

作品:諸刃の魔力(http://ncode.syosetu.com/n3939cm/)


作者:笈生

作品:放課後の魔法使い(http://ncode.syosetu.com/n4016cm/)


作者:ダオ

作品:最強魔王様が現代日本に転生した件について(http://ncode.syosetu.com/n4060cm/)


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[良い点] ミステリアスな性質を保ちつつ柔らかな雰囲気で気持ち良く読むことができました。 [気になる点] 誤変換が多く目立っていたように感じます。 盛り上がっている所で挟まってくると勢いがそがれてしま…
[良い点] ほんわかしたいい作品でした♪ すぐに再会出来そうな最後でよかったです。空の切ない感じも「僕」といってるのにちゃんと少女らしさがでていました。 魔法で思い浮かべるとその人のところにいけるとい…
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