流星群との邂逅
ナニカとの対話…
自分とは何者なんだろうか。
どこに向かい生きているのだろう。
今漆黒の闇の中を自分の状態も形状もわからないまま進んでいるようなかんじ。
漆黒に支配されたとき、自分と黒の境界線とはなんなのか。
自分という光を示すものはなんだろうか。
心地よい風が肌をなでる。
見晴らしのいい丘の上。
リン♫
鈴虫が鳴いている。
カチッ、
「おい、そろそろだぞ」
ソアトは最小限の光を灯し、時間と空を見る。
「うん。いつでもどうぞ」
リュスは今かと待ち構えている。
ヒュン
ヒュンヒュン
それはいきなり現れた。
目を輝かす、2人の前に現れた。
いま2人の前に星の雨が降り始めたのだ。
「凄い、星が落ちてくる。 ねぇ、ソアト。いまルート地方に落ちたけど、大丈夫なの?」
「リュス、大丈夫。流星っていうのは地上到達する前に燃え尽きるんだよ」
リュスの好奇心を損なわせないように説明する。
こんなにもワクワクさせるものはソアトの十数年の人生上にそうそうない、流星というのは宇宙の花火、
リュスをいつも連れてはこれを見せる。
かいもあってか、最初の頃は眠そうにしていたリュスもいまとなっては流星を好きになってしまった。
いつだか一度聞いてみた。
「流星好き?どこがすき?」
「好き。私の目の前で流れて行く流星。その光はきっと誰かの夢や希望だと思うの。
そしてその誰かの手元に舞い降りる。
宇宙から降ってくる素敵なプレゼント。
ソアト、素敵じゃない?
私にも降ってくるんじゃないか、だから待ってるんだよ」
リュスの目は輝いていた。
満点の星空の下、一等星をも凌ぐ星がソアトの目の前に舞い降りた。
そんないつだかの記憶を思い出しつつリュスの横顔を眺めるソアト。
「ん?どしたの?」
「あ!なんでもない、変な顔してんなぁ〜ってさ」
ソアトは思わず、反対のことを口走る。
「えー!ほんとに⁈見ないでよぉ〜」
リュスは暗闇だけれども、頬を染めているのであろうと安易に想像つくような素振りでソアトから逃げるように顔を背ける。
「あっ!大っきいの来た!」
「え!どこどこ⁈」
「もう流れちゃったよ」
「もー早く言ってよー!」
ソアトはなんとか話しを背け、流星に視点を戻した。
目の前の流星に助けれたソアトだった。
ヒュン
「そろそろ落ち着いてきたかな」
流星群は終わりに近いのであろう、流れてる頻度に間隔が空いてきた。
ふと隣を見ると
「ンー」
なんとも言えない寝言を浮かべながら少し震えるリュス。
「やっぱ寝たか、さぁ帰るか」
ソアトは自分の上着をリュスに羽わせ、
起こさないように背負い、帰路に着き始める。
流星に目を輝かせながら見ていたリュス、
すこし強引に連れてきて、帰ろうとも言わず
肌寒いのも我慢してソアトの隣でいつの間にか寝てしまったリュスに若干の負い目を感じたため、せめてもと思い楽しいまま眠ってもらおうというソアトなりの優しさがあった。
カツッ カツッ
夜も更ける、石畳みの歩道に乾いた足音が響く。
昼間賑わうフィスク通りもやはりというべきか誰もいない。いるわけない。
いるのは無垢な寝顔を浮かべる少女とその寝顔を背にうけ、黙々と家を目指す少年だけ。
パチパチッ
バチバチバチッ
ソアトは振り返る。
「街灯が点滅?
いや不可思議な点滅だ。ナニカの影響か?」
パチパチッ バチッ バンッ!
「うぉっ!街灯が爆ぜた!
しかも3つ同時に」
街灯が爆ぜたのだ。リュスを背負うソアト
が20mばかりか通過した辺りの街灯が。
不思議なことに3つ、そこは細く薄暗い路地の入口辺り、ナニカを拒んだかのような、
それともナニカが拒んだかのような消失。
ソアトもなにか感づいていたのかもしれない。その路地にナニカいると。
だが長らく流星を眺め、丘からリュスを背負い帰路に着いているため、正直早く帰って寝たいのだ。
ソアトは次の日、見に行こうと決め再び歩みを進めるのであった。。