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星騎士  作者: ぱんだまる
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第八章:決行前夜

ディ・ラオール神国と隣接している国は3つ。

船があれば海路という選択もあるが、

神国の港は密輸を取り締まるためにも警備がかなり厳重になっている。

そこに、反逆者の知らせがくればどれほどの警備になるかわからない。


よって、陸路から魔皇国バレス、ブリトニア皇国、トルアノ連邦の

いずれかの国に亡命する方が、まだ安全と言える。

魔皇国バレスと神国は敵対関係にあるが、あそこは魔族が住まう魔境の地。

人のみでは受け入れられるとは思えない。


となると、ブリトニア皇国かトルアノ連邦のいずれかになる。

距離的にはどちらも変わらないが、ブリトニア皇国と神国は

敵対関係ではないものの、軍事力を牽制しあう微妙な膠着状態にあり

国境間での警備も厳重になっている。


それよりは、行商人が多数行き交うトルアノ連邦との国境が越えやすい。

そういうわけで、俺とユウキ先輩は人目をさけ南へと進んでいった。


関所をさけて進めば国境付近まではそれ程苦もなくたどり着くことができた。

後は国境警備隊の監視の中、どうやってここを越えるか、だ。


周囲の警備状態を確認しながら、国境付近で野宿をする。

ユウキ先輩の怪我の手当もちゃんとしたいし、早く国境を越えたい所だが・・・。


その時、西の空に狼煙が上がっているのが見えた。

軍隊の連絡用で使われることがあるが・・・追っ手が迫っているのか?

だが、よく見ると、これは軍事用で使われるいずれとも異なる。

これは・・・・だが、まさか・・・・。


「どうしたんだ、カナート・・・。

 あの狼煙、意味がわかるのか?」


ユウキ先輩が俺の表情をみて、何かを感じ取り問い掛ける。


「いや、でも罠だと思います。

 さすがに、ここまで来てないと思うし。」


「どういうことだ?」


俺はユウキ先輩に事情を説明する。


「あの煙、俺とマルミが昔つくったオリジナルの狼煙なんですよ。

 ほら、普通の軍隊の奴より、同じ場所の煙が1つ多いでしょう?

 まだ士官学校に入る前に、見よう見まねで考えた奴です。

 正規の奴で解釈すると意味がめちゃくちゃになるんですけどね。」


「マルミ・・・あぁ、最後にきていた子か。

 その子はなんて言ってるんだい?」


「えっと、そんな詳しい情報が伝えられる奴じゃないんですが、

 今上がってる奴だと、明日の正午決行、って意味になりますね。

 疑問系なので、決行してもいいか?という感じでしょうか。」


マルミとセルフィアは、きっとあの後俺達とあったことがばれてしまい、

何らかの形でこの手段を聞き出されたのだろう。

無事でいてくれればいいんだが・・・。


「カナート、決行って言うと、マルミという子は

 何をする気なんだろうな。」


ユウキ先輩はしばらく考え込んでいたかと思うと、

突然そんなことを言い出した。


「だって、たぶんあそこにマルミはいませんよ?

 これ神国側の罠ですって。

 返事を返させて居場所を特定する気ですよ。」


「カナート、君らしくない。冷静に考えるんだ。

 私たちは追っ手の目を逃れながらとは言え、

 乗り合いの馬車を利用してかなりの早さでここまで来た。」


確かに、俺達はここまではかなり順調にきた。

神国は人通りが多いため、途中の道はそれ程警備が厳しくない。


「いいか、私たちと別れたマルミちゃんが、

 あの後、仮にすぐに私たちと一緒にいるのが見つかったとして、だ。

 そこから、あの狼煙のことを話すのに、どれだけの時間がいると思う?」


そうか、俺は狼煙の存在を知っているからいいが、

普通はそういうものがあるとは思わない。

もっと他のことを聞き出そうとする。


狼煙のことなんて、自ら積極的に話そうとしない限り、

聞き出そうとしても、聞き出せるような内容ではない。


「あの子は自ら進んで、カナート。

 君を売り渡すような子なのかい?

 そうでないのなら、あの狼煙は、真実だと思うんだけどね。」


ユウキ先輩の言いたいことはわかった。

この短期間の間に、マルミから狼煙の存在を聞き出し、

俺達の逃げる場所をある程度推測し、そこに狼煙を上げる。

こういったことを行うためには、俺達と別れてすぐに

マルミからこの情報を聞き出す必要があるだろう。


だが、すぐに聞き出せるような内容ではないし、

となると、マルミが自発的に話さない限りこの早さで狼煙は上がらない。


マルミはおちゃらけてはいても、裏では一本芯の通ったところがある。

友達を簡単に売り渡すようなことはしないだろう。


「マルミは信用できます。

 すいません、よく考えればわかることでした。

 あの狼煙、信じて良いと思います。」


「うん、そうだろう。誠実そうないい子だったしね。

 それで、話は戻るんだけど、あの決行の意味する所なんだけど

 君はどう考える、カナート。」


マルミが、あそこで狼煙を上げている、ということはだ。

彼女はあの後、何らかの事情があって神国を抜け出した。


別れる間際、セルフィアはファルナ先輩にかけあって

ユウキ先輩の罪を許してもらうよう、話をすると言っていた。

マルミもセルフィアにつきそって、行動していただろう。


だが、ファルナ先輩はあの場にいたので、ユウキ先輩の罪が

どういうものかは知っているだろうし、その上でユウキ先輩は追われている。

ユウキ先輩はあの場で何があったのかは、未だに話してくれないが

恐らく、ファルナ先輩にもどうしようもなかったことなのだろう。


ファルナ先輩でも無理だとわかった二人が、その後どういう行動をとるか。

マルミが、後を追って助けよう!と言い出してもおかしくはない。


国境を越えることは話していたから、ある程度この場所も想像はできただろう。

そして、この場所で狼煙をあげたということは、

俺達が国境付近で足止めをくらっていている、ということを考えた上で、だ。


そうなると、考えられるのは俺達が越境するための何かだろう。


「マルミが何をするかまではわかりません。

 ですが、マルミは明日の正午に、

 俺達に国境を越えろ、といっているんだと思います。


「うん、やはりそうなるか。

 わかった、私たちもそのつもりで準備はしておこう。」


決行・・・か。

早まったまねをしなければいいんだけどな・・・。

俺はマルミの後先考えない性格に、一抹の不安を覚えながら

返事の狼煙をあげていた。

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