第六章:反逆者
勝敗を告げるドラが鳴りやみ、両騎士団が
演習場の中央に集まった。
この後、レルアレーゼ神王による表彰の儀がある。
「勝者、白騎士団!」
模擬戦の勝敗をつげる審判員の宣言が行われる。
同時に、周りの観客から拍手喝采が鳴り響く。
「負けたわ、ユウキ・・・。」
ファルナ先輩がユウキ先輩の元によって声をかける。
「ふふっ、私だけでは君にかてなかったさ、ファルナ。
カナートが私の足りない所をよく補ってくれた。」
ユウキ先輩が俺を褒めてくれている?
だとしたらちょっとうれしいな。
「では、白騎士団の団長、ユウキ・ミツカセは前へ!
神王レルアレーゼ様への謁見が許可される。」
審判員がユウキ先輩に向かって告げる。
これより、神王直々にお言葉が頂ける。
「はっ!」
ユウキ先輩は返事をして、演習場から
王侯の観覧席へと続く階段を上っていく。
王侯の席でのやりとりはこちらからは伺えない。
騎士団長のみが、神王と謁見できるのだ。
だが、しばらくしてもユウキ先輩が帰ってこない。
しかも、何故かファルナ先輩が呼び出されていた。
「紅騎士団の団長、ファルナ・ファルシオン!
神王陛下がお呼びだ。新王の間へと参られよ。」
「は、はっ!」
ファルナ先輩も少し驚いた様子で、ユウキ先輩と同じように階段を上っていく。
おかしい・・・今まで見てきた模擬戦では敗者の騎士団長は
神王との謁見することはなかったんだけど・・・。
ファルナ先輩が王侯の席へと言ってからしばらくすると
突如、ドラの音が鳴り響く。
ドンドンドンドン!ドンドンドンドン!ドンドンドンドン!
これは・・・この音は、緊急招集を告げる音だ。
敵の奇襲や内乱の発生時にしか使われない、有事の際の合図だぞ?
すると、階段から駆け下りてくる人影が見えた。
よく見るとユウキ先輩だが、白騎士団の鎧は紅く染まっていて・・・
そう、あれは血の色だ・・・。
「ユウキ先輩!どうしたんですか!」
俺はユウキ先輩にとっさに声をかける。
「か、カナートか・・・。
ふぁ、ファルナが・・・ファルナが・・・くっ!」
話し終える前に、階段の奥からさらに神王の警備兵がやってくる。
なんだってんだ、一体!何が起こっている!?
「カナート、私に関わるな!」
そういって、ユウキ先輩は俺をおいて、階段を降りていく。
なんだよ、何だって言うんだよ!
「反逆者ユウキ・ミツカセを捕らえろ!
捕らえた者には神王陛下より恩賞が授けられる!」
後ろの警備兵がそう叫びながら追いかけているのが聞こえた。
ユウキ先輩が・・・反乱?
ワケがわからない、なんだってそんなことになっているんだ!?
「ユウキ先輩、まってください!」
とりあえず、俺はユウキ先輩から話を聞きたくて後を追った。
短くともファルナ先輩と共に戦い、勝利を収め、喜びを分かち合ったんだ。
その中で見ていた彼女は、まじめで実直で、
ひたむきで・・・とても、反逆罪で追われるような人には見えなかった。
何か誤解があるのかもしれない。まずは話を聞いておきたい。
俺はユウキ先輩の後を必死で追いかけていく。
これが、全ての始まりだった。




