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星騎士  作者: ぱんだまる
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第五章:模擬戦

日も高くなり、いよいよ模擬戦の時間が迫ってきた。

会場には、見物客の他にも、各騎士団の団長クラスが観客席に集まっている。


国立星士官学校の卒業生は大抵は神国の軍事関連に従事する。

各騎士団は、ここから有能な候補生を見つけだし、自分たちの騎士団に招き入れる。

そのスカウトの場としての役割もこの模擬戦にはある。


俺は特に入りたい騎士団があるわけじゃないけど

有名な騎士団員の面々が見ている中で戦うと言われれば少しは緊張もする。


早々に受付をすませ、俺は模擬戦で所属する騎士団の装備を受け取る。

所属は希望通り白騎士団に決まっており、役割は遊撃部隊に決まっているようだ。


白騎士団の集合場所に行くと、配布された白の鎧に身をまとった

多数の騎士と、その中央には先ほど出会ったユウキ先輩の姿もあった。


「やぁ、カナート!

 白騎士団へようこそ。君には期待しているよ。」


ユウキ先輩と目が合うと、彼女の方から話しかけてきた。

まわりからの、なんだこいつ、ユウキ先輩に話しかけられて!という目線が痛い。


「今日はよろしくお願いします。」


「うんうん。

 君は遊撃隊に配属しているが、君の部隊は自由に動いてくれてかまわない。

 私はたぶん、ファルナの足止めだけで精一杯だと思うからな。

 スキをついて、本陣を狙ってくれてもかまわないし、

 私が優勢だったら、加勢してもらって、ファルナを一気に倒してしまってもいい。」


お互いの騎士団には、それなりに有望な騎士が多数いるし、

英騎の位をもつ者もいる。だが、士官学校時代に公騎を叙任されるような

強者は、ファルナ先輩とユウキ先輩ぐらいなものだ。


俺か?俺は騎士位なんてものは、当然もってないさ。


盛大なファンファーレが模擬戦の開始をつげる。


「お、そろそろ時間のようだ。

 ではみんな、いざ出陣といこうか。」


ユウキ先輩の号令とともに、白騎士団は模擬戦の戦場となる

ディ・ラオール神国の演習場へと向かう。


模擬戦では、鎧にゴム風船のようなものをつけて、それを3つ割られると退場となる。

ゴム風船といっても、結構厚手のものなので、結構強くたたかないと割れない。

中には塗料がはいっているので、割ると鎧の色が染まるため、

遠目からでも風船が割れたことはすぐにわかるようになっている。


勝利条件は2つで、相手の騎士団長を倒す、もしくは

相手の本陣にある団旗を倒すこと。


ユウキ先輩は隊をいくつか率いて、紅騎士団の団長であるファルナ先輩を狙う。

残りの隊は本陣警備だが、俺は遊撃隊となって、戦況に合わせて動くことになる。


しばらくは本陣警護で状況をみて動くのがいいだろう。


ドーン!


両騎士団が配置についた所で、開始のドラがなる。

このドラが3回聞こえたら戦闘開始だ。


ドーン!


ファルナ先輩はどう攻めてくるだろう。何かひょっとすると

意表をついたやり方をしてくるんじゃないだろうか。

ユウキ先輩はファルナ先輩と戦う気だったけど、そううまくいくだろうか?

ファルナ先輩もかなり強いけど、ユウキ先輩はさらにその上をいく。

まともにぶつかってくるとは思えない。

そう考えた俺はユウキ先輩に耳打ちして、俺の考えを伝えた


ドーン!


戦闘開始のドラがなると共に両騎士団が動き出す。

本陣と本陣が、正面でぶつかり合う。

本来、この本陣には相手の騎士団長がいるはずだが・・・。


紅騎士団の本陣にはファルナ先輩はおらず、

守備力重視の重歩兵部隊で固められていた。

ユウキ先輩をここで釘付けにして、その間にファルナ先輩が

敵陣へと攻め込み、旗を倒す作戦のようだ。


だが、こちらも本陣に騎士団長であるユウキ先輩はいなかった。

俺が直前にユウキ先輩の影武者になって、本陣を進めていたからだ。


ユウキ先輩は端から本陣めがけて攻め込んできたファルナ先輩と

激突していた。


「ユウキ、あなたが旗狙いの部隊を相手にしてくるなんて、

 どういう風の吹き回しかしら!」


ファルナ先輩の木刀とは思えない、強靱な一撃を難なく交わすユウキ先輩。


「カナートの助言だよ。ファルナと戦いたかったらこちらの方がいいってさ。

 なかなか、どうして、あの子はやるものさ。」


そういってユウキ先輩の目にもとまらぬ剣裁きがファルナ先輩の1つ目の風船を割る。


「くっ、この人数でユウキを相手にはできないわ。

 さがって、下がるのよ!」


ファルナ先輩の部隊が引き上げる所を、ユウキ先輩が追撃している。

不利になったファルナ先輩を守ろうと、本陣の部隊もそちらにかけつける。


他の白騎士も、ほとんどがこの流れにのって、ファルナ先輩を追い始めた。


だが、俺にはあの人が単に逃げているとは思えない。

俺は本陣の部隊を引き留め、この隙に別の場所へと移動するよう指示した。


「ファルナ、いつまで逃げるつもりだ!

 逃げてばかりでは私に勝てないぞ!」


ユウキ先輩や本陣の大半がファルナ先輩を追い立てている。

白騎士団が紅騎士団を囲むような形になっており、見た目は

かなり白騎士団が優勢のように見える。


だが、見通しの悪い木立を抜けた所でファルナ先輩は振り返り

一斉に号令をかける。


「突撃!」


木立の中から伏兵が現れ次々と白騎士団をうち倒していく。

大仰な重歩兵が本隊として、人目を引きつけている間に

軽装の兵を伏兵として配置しておいたのだ。

実際、紅騎士団の本隊はよくみると、白騎士団の本隊に比べて

人数は半数ほどしかいなかった。


「くっ、この程度!」


ユウキ先輩は健闘しているが、多勢に無勢。早く決めなければ。


「ユウキ、あなたにしてはずいぶん・・・。

 おかしいわね、敵の数が少なすぎる・・・。」


ユウキ先輩を予想以上に追いつめていることにファルナ先輩は疑問を持っていたようだ。


ドーン!ドーン!ドーン!


その時、勝負の終了をつげるドラが鳴り響く。


「なっ!」


ファルナ先輩もユウキ先輩も驚いて辺りを見回す。

そこには、本陣で紅騎士の旗を落とした俺がいた。


「あの子、ユウキを囮にして本陣を落とすなんて・・・。

 ふふっ、私を二度もまかすなんて、侮れない子。」


ファルナ先輩ににらまれたような気がするが、この距離からは

もちろん、顔が見えているわけじゃない。

き、きっと気のせいだろう。


そうして、今回の模擬戦は終わりを告げた。

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