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星騎士  作者: ぱんだまる
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第十八章:新たな侵略者

ファルナ先輩との間では、撤退の日取りが決められ

それまでに俺が連邦側が攻撃をしかけないよう話をつければいい。


ホルンのメイ・ロミーネ大将には、フィルバレス将軍から話をしてもらうことにした。

フィルバレス将軍は俺の話に驚いてはいたが、すぐに信じて使者を送ってくれた。

やっぱり、この人はいい人だな。


トルアノからの攻撃部隊は俺達の中隊だけだが、

念のため付近の守備部隊にも将軍から話をつけてもらった。

こうして、約束の期限を迎え、神軍は何もなかったように撤退し、

俺達は、無傷でライム砦奪還を果たすことができたのだ。


「まったく、カナート、君はすごいものだね。

 確かにファルナを何とかすれば、とは言ったけど

 まさか、全軍撤退までさせるとは、思わなかったよ。」


「俺だって、予想外でしたよ。

 たまたま、ついていただけです。」


神軍がなぜ、ライム砦を落としたのかはわからない。

いくつか想像がつかないことはないが、どれも想像の域を出ない。

ともかく、連邦に居候する身としては、

それなりの恩をうることはできたのではないかと思う。


「カナート、おまえ、たいしたものだな!

 中隊1つでライム砦を陥落させるなんて、前代未聞だぞ!?

 メイ様が、1個師団を率いながら攻めあぐねていた砦なんだからな!」


一応、俺達の部隊はフィルバレス将軍の指揮下なので

フィルバレス将軍の中隊がホルン砦を陥落させた、となるため

将軍はかなりご機嫌のようだ。


「領王陛下と、サルターラがもうすぐここに到着される。

 今回の恩賞と、今後の作戦について話し合うためだ。

 ふふふ・・・サルターラの悔しがる顔が目に浮かぶなぁ!」


将軍もサルターラ参謀には苦労させられているようだ。


翌日の夕刻頃、領王と参謀が到着し、軍議が開催された。

だが、参謀殿はこういう所だけは謀略が得意なようであった。


「なんですと!いま、なんと申された、サルターラ参謀!」


驚きの声をあげて、椅子から立ち上がる将軍。

軍議で今回の論功行賞と今後の戦略に関して、参謀から報告がされた直後であった。

軍議には、領王や参謀の他、フィルバレス将軍とその指揮下の士官が数名、

他に今回の立て役者となった、俺と中隊長のユウキ先輩が出席していた。


そこで告げられた作戦に少なくとも俺とユウキ先輩は絶句してしまった。


「フィルバレス将軍、もう一度言うが、これは決定事項だ。

 我々トルアノ連邦は、ボルトーナ王国、ブリトニア皇国と軍事同盟を結び、

 神国への侵攻を開始する。すでに、ブリトニア皇国との盟約は締結し

 ボルトーナ王国ともおおむね話はついている。」


参謀殿は俺達が砦を落とるわけがないと思っていたし、

だからこそ隣国の力を借りて、砦を奪還するつもりだったのだろう。

所が俺達が簡単に砦を落としてしまったものだから

その行き場がなくなり、無理矢理に神国への侵攻を決めているようにも思える。


「神軍からライム砦を奪還したとは言え、相手は大陸最大の軍事力を持つ

 ディ・ラオール神国ですぞ!星騎士をもたぬ我が国が

 まともにやり合うのは危険すぎます!」


「そのための盟約であろう。ブリトニア皇国には星騎士もいる。

 同盟で力をあわせれば、神国とて、恐れるに足りないわ。」


この参謀、本当に何も考えてないよな。

確かにブリトニア皇国には星騎士がいる。だが、たった一人だ。

対して、神国の星騎士は、ファルナ先輩もいれて5人。

公騎士の数からしても、圧倒的に違う。

まともにやりあって、勝てるはずがないんだが・・・。


「意見を申し上げたいのですがよろしいでしょうか?」


怒り沸騰の将軍に変わり、ライム奪還の功により連隊長に昇格した

ユウキ先輩が手を挙げた。


「よろしい、ミツカセ殿、意見をもうしてみなさい。」


領王からの許可をもらい、ユウキ先輩が話し始める。


「今回の戦は神軍から、不意打ちに近い宣戦布告を受けました。

 非は一方的に神軍にあり、今までの戦いは連邦に正義があることと思っております。」


「そうであろう、そうであろう。

 まったく、神軍の卑怯な戦のせいで、何人が犠牲になったことやら!」


参謀がここぞとばかりに相打ちをしてくるが、ユウキ先輩はまったく

相手にせず、次の言葉を重ねる。


「ですが、ライム砦も無血開城となり、神軍からは積極的な交戦意欲を感じられません。

 ここは、ボルトーナ、ブリトニア両国との軍事同盟を背景にして、外交政策で有利な

 停戦交渉を行う方がよろしいのではないでしょうか?」


まぁ俺としてはユウキ先輩に賛成だ。

例え神国であっても3国相手には無傷ではすまない。

神国の勝利だとは思うが、それなりに被害もでるだろう。

ファルナ先輩の口振りからも、目的が達成されたのであれば、

無理に戦おうとはしないはずだ。


「陛下、ユウキの意見に私も賛成ですぞ。

 連邦の民は戦争など望んではいません。

 いま神国へ侵攻をすれば、100年は続く大戦となってもおかしくはありませんぞ!」


「ふむ・・・フィリコもそう思うか。

 うーむ・・・。」


領王は悩んでいるが、そこで参謀のちゃちゃがはいる。


「陛下、悩んでいる場合ではありませんぞ!

 すでに、ブリトニア皇国には出兵の要請をしております!

 いまさら、なしにしてください、等と言えば相手の面目をつぶしてしまいます!

 その時、なんと申し開きをなさるおつもりですか!」


相手の面目というより、参謀殿が先走りすぎただけだと思うんだが。


「うーむ・・・。」


この領王、悪い人ではないんだろうけど、優柔不断っていうかなんて言うか。

参謀みたいな押しの強い人に言いくるめられてしまうタイプだな・・・。


そこに伝令が現れ、参謀殿に何事かを報告して去っていく。


「お喜びください、陛下!

 ボルトーナ王国も盟約を結び、軍を差し向けてくれたとの報告が入りました!

 もはや、二国が軍を向けてくれている以上、いまさら覆せないでしょう。

 ミツカセ殿の案も悪くはないですが、いささか時期を逃した感がありますなぁ!」


まったく、この参謀殿は変なところで根回しがいいようで。

今の伝令のタイミングも偶然じゃないだろう。決定的な材料を

ここぞというタイミングでもってくる。そういうタイプだな。


「仕方あるまい、ミツカセ殿。

 我が国も、同盟の盟主という立場にあり、弱気になるわけにもいかない。

 停戦の話も考えてはおくが、まずはこちらの力を

 神軍にみせておくのも悪くはなかろう。」


「そうですか・・・。

 陛下がそうお考えなのであれば仕方がありません。」


ユウキ先輩はおとなしく引き下がった。

まぁ俺達のような新参にはこれ以上どうにもできない。


神軍の侵略から守るため、連邦に荷担したはずが

今度は俺達がその侵略者にまわることになったのだ。


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