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03

 トルドフィメシス城より西方へ向けて馬車で一刻程度走ると、広大な森林へと行き当たる。内部には古びた木造の家が建っており、十数年前には食人鬼の老夫婦が暮らしていた。現在では二人とも故人なのだが、その事実は彼等の同族には知られていない。公には「居住者は遠方へ転居し、空き家は別荘にして他の者に管理させている」ことになっている。実際には夫妻は殺害され、管理人として居座っているのは彼等を殺めた犯人なのだが。

 ともあれ、城より攫われた家畜達が連れて来られたのは、元の居住者の死後にこの家に増築された地下階であった。反抗的だった所為か、ササラは他の家畜達とは引き離され、狭く冷たい個室に入れられている。煉瓦で囲われた頑丈な部屋で、用を足す場所以外に物はなく、扉には外鍵が付けられている。見る者が見れば一目で牢屋と分かるだろう。しかし、模範的な家畜たる彼女にこうした知識はない。ただ、今迄遭遇した中で一番劣悪な環境だという印象を抱いた。

 薄汚れた壁に主人から貰った服を触れさせたくなかったので、ササラは少し手前に脚を抱えて座った。そうして顔を伏せ、考え込む。見覚えのない無音空間は、彼女の気分を一層陰鬱にした。城はどうなったのか、クシャトカトラは無事だろうか、他の家畜達は何処へ連れて行かれたのか――ササラの頭の中は心配事で満たされる。だが奇妙にも、我が身に関する不安は一切湧かなかった。

 暫くして、廊下から足音と人の声が聞こえてくる。

「8tqcGca2q3vtv」

「sacDeaJqfG」

 声音から数名の男女であるのは推し量れたものの、何を言っているのかは理解不能だ。十中八九、トルドフィメシス城を襲撃した犯人か彼等の仲間だろう。

 やがて、かちゃかちゃという金属音が響き、扉が開かれた。間を置かず、女性が一人と男性が二人入ってくる。先頭に立っている女性は、犯行現場でササラを見出したあの人物だ。彼等は何故か全員片耳のみに耳当てを装着しており、訪問者の女性は部屋に入るなりそれを触って「あーあー」と発声練習を行う。次に、しゃがみ込んでササラと目線を合わせ、笑顔で話し掛けてきた。

「私の言葉が分かる?」

 どの様な理屈かは不明だが、今度はササラにも分かる言葉を女性は発する。彼女が手を伸ばしてきたので、ササラは思わず短い悲鳴を上げて身を退いた。すると、女性は笑顔を少し歪ませて自身の手を引っ込めた。

 女性は対話を続ける。

「怖がらないで。私達は貴女の味方だよ」

「一体どの口が言うのか……」

 そこで漸くササラも言葉を返す。女性は微かに安堵の息を漏らした。

「言葉は通じてるみたいだね。でも、やっぱり私のことは覚えてないか。同じクラスにいた……ああ、『クラス』って分かる? 沢山の人が集まって勉強する『学校』という場所があって、そこに通う人達を幾つかの組に分けるの。その組を『クラス』って言うのね。で、私と貴女は昔同じ組で勉強していたの」

 言葉は理解出来ても話の内容の方はさっぱりだった。ササラは返事に窮する。胸の内に不快感が広がっていく。恐怖もあるが、苛立ちが勝っていた。

「駄目みたいだな」

 女性の背後に立つ――此方もトルドフィメシス城内で見掛けた――男性の一人が腰に手を当ててそう言った。女性は何時の間にか笑顔を完全に消しており、背後を振り返らないまま、ササラに向けたものよりも低い声で彼に答える。

「うん。言葉もこっちの世界のものを使っているみたいだし、今まで救出した人達と同じで記憶を書き換えられているんだと思う」

「ひでえことしやがる」

 場に沈黙が落ちた。女性は渋い表情になって考え込んでいたが、ややあって話を再開する。

「兎も角、私達は本当に味方なの。信じて。貴女には絶対に危害を加えない。だから、私達の話を聞いてほしい」

「『すぎしろ』?」

杉白千和すぎしろちな。貴女の本当の名前だよ。それも多分覚えてないよね」

 訝しむササラを安心させようと、女性は再び微笑む。当のササラは最初面食らい、口をぽかんと開けていたが、直ぐに憤怒の形相へと変わった。

「違います! 私の名前は『ササラ』です。御主人様が下さった大切な宝物です。変な風に呼ばないで下さい!」

 女性は気圧され言葉を詰まらせた。片や先程彼女に話し掛けた男性は憤慨する。如何にも短気そうな彼はササラに怒りをぶつけようとするが、隣にいるもう一人の男性――眼鏡を掛けており、他の二人よりもやや年嵩のある人物――が片腕を出して制止した。二人の男は睨み合う。一方、彼等の足元にいる女性は憂いを帯びた口調でササラに尋ねた。

「『御主人様』って、あの城に住んでる食人鬼のことを言っているの?」

「『食人鬼』……?」

 聞き返すササラに答えたのは、少しばかり頭を冷やした男性であった。

「この世界を支配する人食いの化け物の呼び名だよ。にしても、こりゃ重症だな。間宮、もう問答無用で例の装置に放り込もう。その方が早い」

「どうします?」

 眼鏡を掛けた男性が初めて口を開く。短気な若者の方も女性を見て指示を待っているので、恐らくは三人の中で一番地位が高いのは彼女なのだろう、とササラは推察した。それにしては、若者の方が礼を失している気もするが。

「駄目。待って。無理強いはしたくないの。ちゃんと理解してもらってからにしたい」

「でもよお」

 短気な若者は不満気を表す横で、ササラは彼等の遣り取りを心配そうに観察していた。自身の行く末を憂う行動ではない。話題は彼女の処遇についてだが、理解が追い付いていない当の本人は然して関心を抱いていない。彼女にはもっと憂慮すべき問題があった。

「御主人様はご無事なんですか? お城の方々は? 貴女達はどうしてあんな酷い行いを?」

 眼前の相手を悪人と決め付けて責め立てるササラに、女性は驚きに依って、短気な若者は怒りが原因で黙り込む。代わりに、冷静さを維持する眼鏡を掛けた男性が返答した。

「城主は無事ですよ。建物や使用人には多少の被害が出たとは思いますが、本作戦は城に拘束されていた同胞の救出が目的なので、彼の許までは行っていません。ですよね?」

 彼の口振りは丁寧で、ササラに柔和な印象を抱かせる。自然と視線が其方へ吸い寄せられるも、次に重要人物たる女性が話し始めたので、ササラは顔を元の位置へ戻した。

「先生、作戦の詳細を外部に漏らすのはちょっと……」

「おや、駄目でしたか。それは失礼しました」

 眼鏡を掛けた男性は肩を竦め、張り詰めていた場の空気が僅かに緩む。ただし、ササラだけは他の者と別の思いも含んでいた。

「良かった……」

 ササラは薄っすらと涙を浮かべて安堵の溜息を吐いた。その様子に、彼女と向き合う女性は焦燥を募らせる。

「聞いて。杉白さんの置かれている状況や私達について説明するから」

「嫌です。話を聞く限り、貴女達は二足獣なのですよね。にも拘らず、尊い方々におかしな綽名を付け、更には住まいを襲って大勢の人に怪我をさせるなんて。悪い獣。何を言っても騙されませんよ。早く私達を解放して下さい! 私をお城へ帰して!」

 以前、城の使用人達が二足獣の賊徒に関する噂話をしていたのをササラは思い出す。もしかしたら、眼前にいる彼等こそが件の賊なのかもしれない。ならば、ササラが彼等の言葉に耳を貸す訳にはいかない。下等な獣が人間を害しようなどとは、考えることすら許されるべきではない。それが食人鬼の城で暮らす理知ある獣の思想であった。

 他の者は面食らう。特にササラの懐柔を積極的に狙っている女性は衝撃を受けた。けれども、彼女は諦めない。まずは興奮するササラを宥めんとしてこう言った。

「お願い、落ち着いて。分かった。無理に話を聞かせようとはしない。これからする話は全部私の独り言。言い終わって、杉白さんが落ち着いて、その後にまだ城へ帰りたいと思っていたら貴女を解放する。どうかな?」

「おい、間宮」

「ね、お願い」

 咎める声を無視して、女性はササラの目を見詰める。彼女の懸命な姿が誠実な気質の表れの様に思えて、ササラは少しだけ気を鎮めた。悪印象は拭えないものの、取り敢えず弁明位は聞いてやる気になった。

「結局其方の要求に大きな変化はない様にも感じられますが、それで貴女の気が済むなら、勝手にしたら良いのではないでしょうか。ですが、何を聞いても私の気持ちは変わりませんよ」

「うん、聞いてくれるだけで十分。有難う」

 女性は表情を明るくし、膝を折り畳んで座った。ササラも姿勢を正し、長話を聞く態勢を整えた。

「じゃあ、まず自己紹介からね。私の名前は間宮斎まみやいつき。此方の風習に当て嵌めると『斎』が名前で『間宮』が家の名前なんだけど、取り敢えずは『間宮』の方で呼んで。私は貴女の元クラスメイトで、今は食人鬼から人間を救済する組織に入って活動しているの。で、私の隣にいる人は佐藤勝さとうまさる君。私と同じく元クラスメイトで組織のメンバーの一員だよ」

「あ、僕も構成員の一人ですが、貴女の学友ではないですよ。と言うか、同郷でもないです。僕は貴女達とは別の世界から召喚されたんですよ。今回は年長者として若者を見守る為に立ち会わせて頂きました」

 話に割って入ったのは、眼鏡を掛けた男性だ。イツキは眉を落として彼を見る。

「先生、早い。杉白さんが混乱する」

 男性は肩を竦めて苦笑した。イツキはササラの方へと向き直り、眼鏡の男性について「あの人はメルーゼルさんだよ」と教えた。

「私達はね、この世界の外から来たの。『異世界』って言うのかな。一つの世界の外側には、全く違う文化を持った沢山の世界があるんだって。それで食人鬼――多分貴女は『人間』とか『浄種』とか呼んでるのかな? あいつら、魔法を使うでしょう? その力を利用して、他の世界の人間を自分達の世界に無理矢理連れて来るんだよ。食料とする為にね。私達も同じ。クラス丸ごと攫われたの」

 後半、イツキの表情は険しくなった。膝に置かれている彼女の両手は、織目の荒い服を握り締めて皺を作っている。

「この世界には元々食人鬼と人間の両方が暮らしていたそうなんだけど、人間の方はもうずっと昔に食人鬼に食べ尽くされてしまって……。でも、食料がなくなり掛けた頃に食人鬼達が他の世界の住人を攫うことを思い付いて、今も色んな世界の人間を連れて来ては食べてを繰り返してるの」

 続いて、メルーゼルが補足説明を行う。

「そもそも彼ら自体が別世界から渡って来た種だったのではないか、という説もありますね。故に、人や物を世界間で移動する術を有しており、食料が尽きた時の回避策もあったので加減をしなかった訳です。ただまあそれも過去の話で、近年では養畜が主流となっている様ですが」

 彼が視線を送ると、イツキは「ええ」と肯定の言葉を入れて話を続けた。

「でも、食人鬼は私達を制御し切れなかった。時々家畜にされていた人達が逃げ出し、やがて集まって抵抗組織を作ったの。人間達は生き残る為に、そして食人鬼に捕らえられている仲間を助け出す為に戦った。救出した人が増える度に加入希望者も増えて、組織もどんどん大きくなっていってね。けど、時が経つと食人鬼側も警戒し出して、家畜にした人達に記憶操作や洗脳を施す様になったみたい」

「私もそうだと言いたいんですか?」

 敬愛する主人と彼に対する思いを侮辱され、言葉の奔流に呑まれて呆けていたササラの顔は敵愾心をはっきりと表したものへと戻ってしまう。彼女の心境の変化はイツキにも伝わったが、相手は説得目的の媚は売らなかった。

「杉白さんはあいつらに騙されてるんだよ。あのままあの城にいたら、きっと遠くない未来に食べられてしまってたよ」

「有り得ません。御主人様は二足獣を殺さず必要な栄養のみを取り込む方法を模索しておられます。お城にある畜舎は、その為の実験場と伺いました。だから、あそこで二足獣の犠牲者が出る筈はないのです。なのに、貴女達と来たら……」

 不意にクシャトカトラの姿が脳裏に黄泉返り、ササラの目が潤む。彼女の前では語られなかったが、その崇高な夢を実現させるには並々ならぬ苦労があったに違いない。そして彼の計画が上手く行けば、二足獣と食人鬼双方の利害に釣り合いが取れ、血を流すことなく共存が可能となったであろう。ある筈だった輝かしい未来――それが今、短慮な獣の身勝手で潰えようとしている。彼等の同胞たるササラの胸は、申し訳なさと恥ずかしさで一杯になった。

 けれども、相手はササラの心中もクシャトカトラの高潔さも知り得ない。イツキは疑わし気にササラに尋ねた。

「その話、本当?」

「まさか。化け物共にそんな理性があるものか。どうせまた騙されてるんだよ」

 ササラが答える前に、歪な笑みを浮かべたマサルが否定する。だが、口に手を当てて考え込んでいたメルーゼルはこう述べた。

「否、ないとは言い切れません。複数の世界を貫通する大規模召喚魔法を都度都度発動させたり、他の動物よりも成長の遅い人間が育つのを待つ労力を考えると、家畜を生存させ再利用する方法は効率的ではあります。具体的にどういった手段かは分かりませんが」

「でも、そういった情報は組織には入ってないんだろ? 杉白さんが奴等に捕まってから何年も経ってるのに。釈然としないなあ」

「ですが、内部の反発は容易に想像が付きませんか? 食事というのは栄養を吸収するだけでなく、文化や娯楽としての側面もありますし」

 頑ななマサルとは違って、メルーゼルは少しだけ食人鬼側の内情を理解した発言を行う。「先生」と呼ばれていることから察するに、彼は頭脳労働者なのかもしれない。冷静、寛容とも取れる姿勢ではあるが、ササラはそこはかとなく冷淡にも思えた。

 ふとイツキへ視線を戻すと、彼女は会話には混ざらず渋面を作って俯いていた。今の所、イツキはササラに好意的な感情を向けている様に見える。故に、食人鬼への忌避感を持ちつつも何とかササラの言葉だけは信じようとしてくれているのかもしれない。ならば最初に説き伏せるべきは彼女だ、とササラは確信した。

「もし、仮に将来浄種様に殺められるのだとしても、私は本望です。御主人様には御恩がありますので」

「『恩』?」

 やや俯いていたイツキが顔を上げる。ササラは頷いた。

「私が生き残る道を提示して下さいました。それにとても大切にして下さいましたし」

「ああ、さっきの生かして吸収する話ね。貴女も何かされたの? 怪我はなかった?」

「大丈夫です。特別な食べ物を作る為に血を少し採られるので、暫く小さな跡が残るだけで」

「そんな程度で大丈夫だったのか。だったら、何で今まで肉まで食ってたんだ」

 乱暴な口調でマサルが横槍を入れる。次にメルーゼルが困った様な呆れた様な顔をして応じた。

「それはまあ、やっぱり娯楽ですから……」

 嫌悪、侮蔑、嘲笑――。抵抗組織の面々はササラがここまで説明しても負の感情しか抱かなかった。彼等はどうあっても相容れない存在だ。ササラはそう最終判断を下した。

「貴女達が戦う理由は分かりました。他の件についての真偽の判定は私では出来ませんが、生存目的という一点だけは恐らく真実なのでしょう。けれど、私は浄種様に仕える家畜です。貴女達の思想と活動に違和感を覚えますし、行動を共にする気にはなれません」

「城主の気が変わるか、守り切れなくて命を落とすことになっても?」

 イツキの問いに、ササラは迷わず答えた。

「構いません。私は浄種様の糧なのですから」

「そう……」

 イツキは悲し気な顔をして目を伏せた。ササラの方も少しだけ胸が痛んだが、考えは変わらない。彼女の決意はイツキにも伝わり、この様な言葉が返ってきた。

「分かった。私は貴女の味方だから、貴女の意思を尊重する。ただ、仲間の説得に時間が必要なの。少し待ってもらっても良い?」

「大丈夫です。余り長くは待てませんが」

「うん、何とかする。有難う。ご免ね」

 それに対してササラが首肯のみで答え、面談は終了を迎えた。不満に思ったマサルが「おい、正気か?」と食って掛かるも、イツキが「黙って」と睨め付けて制したので事なきを得る。

「じゃあ、もう行くね。返事を持って来るまでゆっくり休んで」

「分かりました」

 そうした遣り取りの後に、イツキ達は部屋を出た。扉には再び外から鍵が掛けられる。その音を聞いたササラは一瞬苛立ち、やがて溜息を吐いた。



   ◇◇◇



 薄暗い廊下を歩きながら、マサルは耳当てを外す。この道具は防寒具ではなく、彼の母国語と他の言語を相互変換してくれる翻訳機だ。便利な品だが食人鬼と関わる為の道具でもあるので、彼は忌々しいとも感じていた。それを懐に仕舞って僅かに留飲を下げた彼は、同じく翻訳機を外そうとしているイツキに落ち着いた口調で話し掛けた。

「本気であいつを逃がすつもりなのか?」

 イツキは振り向きもせず即答する。

「まさか。死ぬって分かってるのに、解放する訳がないでしょ」

「じゃあ、何であんな風に言ったんだ?」

「杉白さんが冷静になるのを待つの。無理強いしたくないのは本当だから、あの人が落ち着いて此方の話を聞く態勢になった所で説得するつもり」

「そんな悠長な……」

 唐突にイツキは足を止め、振り返る。彼女の表情は険しく、声は低く冷たい。

「杉白さんには負い目がある。忘れたの? 私達を恥知らずにしないで」

「けどさあ……」

 マサルは尚も不満を垂れる。口論になる気配を察して、翻訳機を装着したままのメルーゼルが割って入った。

「落ち着いてから、という点については僕も賛同します。今の様な興奮状態で解除装置に掛けても失敗する可能性が高い。最悪の場合、植物人間になってしまうかもしれません。無論、落ち着いていたとしても必ず成功するとは言えませんが、少しでも悲劇を回避出来るよう努めた方が良いでしょう?」

 冷静な指摘を受けて、マサルは短い時間黙ってから「まあ、先生がそう言うなら」と手を引いた。すると、イツキはむっとして言った。

「何、私の言葉は信用出来ないってこと?」

「否、そうじゃなくて……」

 頬を膨らませるイツキを見て、マサルは顔を引き攣らせた。口論を止めようとしたら別の話題での口論が始まり、付き合いきれないと思ったメルーゼルは、これ以降彼等を仲裁しなかった。

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