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流転の國 vol.1 〜突如として世界を統べる大魔術師になった主人公と、忠実で最強な配下達の物語〜  作者: 川口冬至夜


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最終話 流転の國

渡したかったのは、あの日のお礼。

伝えたかったのは、永遠の愛……。

「貴女の欲しい物は何かしら」

マヤリィは突然そう言った。

ここはルーリの部屋。二人きり。

「私を看病してくれたお礼に何か欲しい物はないかって訊ねた時、貴女はメールで返事をくれたわ」

『「私には、今欲しい物がございます。今度お目通りかなった時にお願い申し上げてもよろしいでしょうか…?」』

「マヤリィ様…覚えていて下さったのですか?」

「忘れるわけないわ。あの日、貴女が来てくれなかったら、私はどうなっていたか…。貴女には本当に感謝しているのよ」

「勿体ないお言葉にございます、マヤリィ様。貴女様のお役に立てますことは私の最上の喜びにございます」

ルーリは跪いて頭を下げると、少しだけ頬を染めた。

「今も、欲しい物は変わっていないかしら?」

マヤリィが微笑みながら訊ねる。

「はっ。今も変わっておりません…!しかし、本当に、よろしいのでしょうか?」

「言ったでしょう、約束は必ず守ると。ルーリ、貴女の欲しい物は何?言ってご覧なさい。きっと、私になら用意出来るわ」

「…で、ではお言葉に甘えさせて頂きます。…私は……………」

ルーリの言葉をマヤリィは最後まで聞いて、

「分かったわ。…そうね、衣装部屋にもないかもしれないわね」

「…やはり、流転の國には存在しない物なのでしょうか?」

「その可能性が高いけれど、心配しないで。私の部屋に行きましょう」

マヤリィはルーリを連れて自室へ転移。

そして、クローゼットに向かって詠唱する。

「我が愛しき人の願いを叶え、流転の國へ顕現せよ。『刹那なる世界』発動」

宙色の耳飾りが光り輝く。

マヤリィが詠唱を終え、クローゼットの扉を開くと、そこには綺麗な花柄の包装紙とピンク色のリボンでラッピングされたひとつの箱が置かれていた。

それはこの世界には存在しない物。そして、マヤリィの元の世界には存在する物。

流転の國と元の世界を繋ぐことは出来ないが、マヤリィの魔力をもってすれば、彼女が思い浮かべた物を流転の國に顕現させることは出来るらしい。例えば、ケーキとか。

「ルーリ、遅くなってごめんなさいね。あの日のお礼よ。受け取って頂戴」

「マヤリィ様…!ありがとうございます!謹んで頂戴致します…!」

ルーリはプレゼントを受け取ると、綺麗にラッピングされた箱を開けるのが惜しいような気持ちで、しばしの間それを見つめ続ける。

その後、マヤリィに促されて、ルーリはようやくリボンをほどき、丁寧に包装紙を広げ、長方形の箱の蓋を開けた。

「こ、これが…………!!」

「大丈夫?それで合ってる?」

「はいっ!これこそが…私の欲しかった品にございます…!マヤリィ様、私の我儘をお聞き届け下さり、ありがとうございます!!」

ルーリはプレゼントを広げて、大喜びする。

「貴女が喜んでくれて、私も嬉しいわ」

プレゼントに大はしゃぎしているルーリ。

(ルーリ、可愛いわ…!)

マヤリィは微笑みながら見守っている。

箱の中身を愛おしそうに広げては大事そうに抱え、再び丁寧に箱にしまう。中身だけではなく、包装紙もリボンも綺麗に保管しておくつもりらしい。

「…ねぇ、ルーリ」

マヤリィが甘く優しく可愛らしい声で、愛しい人の名を呼ぶ。

「今夜、ずっとここにいてくれる?」

綺麗な瞳が優しい眼差しで、真っ直ぐにルーリを見つめている。

「マヤリィ様…!」

ルーリは頬を紅潮させ、美しい微笑みをたたえて、

「はい!ずっとここにおります!マヤリィ様のお傍近くにいられることが、ルーリの一番の幸せにございます…!」


世界も次元も超えて出逢った二人。

マヤリィを愛し、永遠の忠誠を誓ったルーリ。

ルーリを愛し、いつまでも傍にいると誓ったマヤリィ。

二人は主従関係をも超えて愛し合う。


マヤリィはルーリを抱きしめ、甘く優しい声で、ささやく。

「この上もなく綺麗な人。私と出逢ってくれてありがとう。…大好きよ、ルーリ」

「マヤリィ様、宇宙で一番美しい御方。私も貴女様を心から愛しています…!」


流転の國。

そこは自由に生きてゆくことが出来る世界。

流転の國。

そこは心穏やかに健やかに過ごすことの出来る世界。


そして…

運命に定められた永遠の愛が生まれる國。

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